視えすぎ霊視芸人ヤースー、“ユタのおばあ”とのホッコリ怪談が漫画に! 「亡くなったおばあに漫画を見せたら…」

「視えすぎる」と話題の霊視芸人ヤースーが、ユタ(沖縄の霊媒師)である祖母との思い出を描いた漫画『ボクとおば〜のフシギな話』(リイド社)の第1巻を刊行しました。作画を担当したのは、『猫なんかよんでもこない。』『漁港の肉子ちゃん』などで知られる杉作氏。優しいタッチの絵で、子どもから大人まで楽しめるハートフル&ノスタルジックな作品に仕上がっています。これを記念して都内で開かれたトークショーのあと、2人にじっくり話を聞いてきました!

出典: FANY マガジン
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祖母から受け継いだ能力

ヤースーは東京NSC(吉本総合芸能学院)17期生で、沖縄県うるま市出身の霊視芸人。地域でもっとも力のあるユタだった祖母の血を引いているためか、自身も霊が見えるといいます。そして、その能力を生かして怪談を聞かせたり、霊視をしたりするYouTubeチャンネル「トクモリザウルス」は、登録者17万人強(2023年7月30日時点)という人気を誇ります。

そのヤースーが、昨年9月からwebマンガサイト「コミックボーダー」で始めた連載が今回、めでたく単行本となりました。

7月30日(日)に東京・青山ブックセンター本店で開かれたイベントでは、およそ1時間半にわたって、ヤースーと杉作氏がトークを展開。単行本を手にしたときの感想や、漫画には描かれていない幼少期の思い出、来場したファンとの質疑応答など、笑いあり異世界の話ありの不思議なトークで楽しませました。

出典: FANY マガジン
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泡盛を飲みながら描いていた?

イベント終了後、ヤースーと杉作氏に話を聞きました。

――漫画が単行本化となりましたが、まずはヤースーさんの感想を聞かせてください。

ヤースー 自分の体験が、こうして形に残ったことがすごく嬉しいです。杉作さんはこの漫画を描くにあたって、ご自分のなかに沖縄を取り入れる取り組みをしてくれたんですよ。そのおかげか、実家の形や沖縄の景色が、現実とすごく似ているんですよね。

杉作 主人公の気持ちになりきったり、その場所を身近に感じたりしないと、漫画を描けないんです。それで沖縄の画像を見たり、お酒を泡盛に変えてみたり、沖縄の音楽を聴いてみたりしました。

ヤースー 民謡とかですか?

杉作 そうそう。そういうのを聞きながら。イーヤーサッサーみたいな感じで。

ヤースー お酒飲みながら、イーヤーサッサーで描いていたんですか? ちょっとマイナスなイメージですけど……(笑)。

出典: FANY マガジン
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ヤースー でも、そうやってイメージをふくらませて描いてくださったから、読んだときにまったく違和感がありませんでした。「ああ、そうだった、そうだった。おばあちゃん、こんな顔してたわ」と思い出しながら読めて、ちょっと泣いちゃったくらい。泡盛と沖縄民謡が効いたんだと思います(笑)。

おばあのリアクションが薄かった!?

――今回、漫画化されたのはユタのおばあさんとの思い出の数々です。

ヤースー おばあちゃんとの思い出が形になったことも感動しました。おばあにも漫画を見せて、「おばあとの話が本になったよ」と報告したら、「そうねー」という感じでした。

――え!? 亡くなったおばあさんにも見せたんですか?

ヤースー しました、しました。漫画をいただいてすぐに。

――亡くなった方がそんなに普通にそばにいて、会話もできるんですか?

ヤースー いますね。ちょっと話があると言ったら来てくれるんで。

――ええ!?

杉作 それがもうすごいですよね(笑)。

ヤースー じいちゃんはまだ沖縄で生きていて、いま101歳なんです。めちゃくちゃ長寿で。それで、「じいちゃんに見せる前におばあに見せようね、じゃーん」って見せたら、「うーん、よかったねえ」って言われました。

出典: FANY マガジン
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――思ったよりも、リアクションが薄かった感じですか?(笑)

ヤースー あまりリアクションがなかったですね(笑)。たぶん、僕自身が頑張って描いたわけではなくて、僕の話をもとに杉作さんが漫画にしてくれたので、よくわかってないんだと思います。

幽霊は怖いものではない

――すごいお話です……。杉作さんは、ホラーや心霊がテーマの漫画は、いままで描いたことはあるんですか?

杉作 いや、心霊とかはいっさい拒否してきました。怖いんで。

ヤースー え、そうなんですか?

――では、なぜ今回の漫画化の話を?

杉作 最初は無理だと思ったんですけど、ヤースー少年の話は「怖いものを描くのではない」と聞いて、それだったらできるのかなと思いました。怖がらせるとか、おどかすような怪談漫画ではないじゃないですか。

ヤースー そうですね。

――それはヤースーさんからも、「怖くしないように」と依頼をされたんですか?

ヤースー そうですね。僕のなかで小さいころに見た幽霊って「怖い」ものではなかったんですよ。「みんなが見えない寂しそうな人たち」というイメージのほうが強くて、幽霊によっては同情しちゃったり、愛くるしい存在だったりもしました。そういう感覚が僕のなかではすごく大切だったんです。それで杉作さんが漫画を描き始める前に、「こんな感じになります」と絵を見せてくれたんですけど……。

杉作 最初のネームね。

出典: FANY マガジン
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ヤースー はい。それを見たときに、いろいろな幽霊の表情があったんですよ。怖いとかおどかすだけじゃなくて、ただニコーっと笑った幽霊とか、ボーっと何かを見つめている霊が出てきたり。それがすごくよかった。

――ヤースーさんが小さいころから見てきた幽霊と近かったのでしょうか?

ヤースー そうです。幽霊の表情というのは、なかなかお話のなかで伝えることはできないんですけど、漫画になるとこんなにわかりやすくなるんだなと思いました。

杉作 最初は自分も幽霊が「怖い」というイメージだけだったので、ヤースーさんの話を聞いたときにすごく驚いたんです。同時にヤースーさんが見ている幽霊を、きちんと描かなくてはいけないと思いました。それがこの漫画のいちばんいいところだと思いますね。ただただ怖いだけではないというね。

――確かに幽霊が出てくる漫画なのに、恐怖よりも「温かさ」や「ノスタルジックな気分」を感じました。子どもが読んでも楽しめそうな気がします。

ヤースー そうなんですよ。DM(ダイレクトメール)をいただいたなかでも、「中学生の息子が読んで、その次に小学5年生の娘、いまは小学3年生の息子が読んでいる」というお母さんがいて、めっちゃ嬉しかったです。子どもたちにも楽しんでもらえるんだと思いました。あと73歳のおばあちゃんの方からもほめてもらいましたね。

杉作 大先輩やね。

ヤースー 「ありがとう」って言いました(笑)。

杉作「中学生以降の話も描きたい」

――来年の夏ころに、この漫画の第2巻が刊行されると聞きました。現在、webマンガサイト「コミックボーダー」で連載中ですが、いつまで続く予定ですか?

ヤースー 決まってないんですよね。でも、「来年の夏まで待てません」という声は、たくさんいただいています。毎年夏にかけて新巻を出していくのもいいかもしれないですね。

杉作 夏の風物詩みたいなね。

出典: FANY マガジン
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ヤースー あと中学生とか大人になったときのバージョンも、出せたら出したいです。

杉作 僕はヤースーさんのYouTubeもぜんぶ聴きましたけど、中学以降の話もいいのがいっぱいありますからね。描きたいですね。

――ぜひ読みたいです。それでは最後に、この漫画を手に取る人たちに向けて、メッセージをお願いします。

杉作 かなり面白いと思うので、たくさんの人に読んでもらえたら嬉しいです。

ヤースー 杉作さんがすごく柔らかく沖縄感を表現してくださったので、沖縄気分も味わえて、不思議な感覚も味わえて、お得感がある漫画だと思います。大人は泡盛を飲みながら。子どもなら、麦茶やさんぴん茶を飲みながら。夏と沖縄を感じてもらえたらと思いますね。


YouTubeチャンネル「トクモリザウルス」はこちらから。

書籍概要

『ボクとおば〜のフシギな話』第1巻

出版社:‎リイド社
発売日:7月20日(木)
コミック:160ページ

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