吉本新喜劇座員 桑原和男が8月10日(木)、老衰のため、神戸市内の病院で逝去しました。満87歳でした。
福岡県小倉市(現北九州市)出身。1955年、高校卒業後、教師を志し、福岡の教育大学を受験したのち、大阪で夢路いとし・喜味こいしに弟子入りし、同年に新芸座に入りました。
翌1956年、秋田實が立ち上げた上方演芸株式会社発足と同時に漫才師となり、「原こちら」の芸名で漫才の舞台に。3回コンビ別れを経験。3人目の相方は平参平で、地方巡業も行いました。
1961年、吉本新喜劇の前身「吉本ヴァラエティ」に入団、1970年代に座長に抜擢。1989年の『吉本新喜劇やめよッカナ?キャンペーン』ではベテランとして残留し、新喜劇の復活を支えました。1992年「上方お笑い大賞」金賞を受賞しています。
2000年7月に急性心筋梗塞で手術し入院、静養を経て2000年12月に舞台復帰を果たしました。その後、体調に配慮しながら活動を続け、2018、19年には「コヤブソニック」、2019年3月には「60周年だよ!よしもと新喜劇」に出演しました。2020年10月の「よしもと大笑い祭り寄席」が最後の舞台になりました。最近では、2022年11月になんばグランド花月に来場し、車いすで新喜劇を観覧しました。
座長時代までは普通の好青年役を多く務めましたが、その後は小柄でやさしい顔立ちであることから、母親役やおばあさん役といったいわゆる女形「桑原和子」を務め、和子ばあちゃんは新喜劇ファンならずとも関西ではお馴染みのキャラクターになりました。
代表的なギャグは、「ごめんください!(どなたですか?・・・)(お入りください)ありがとう」や、垂れ乳を取り出し自分で揉みだす一人芝居のほか、ツィゴイネルワイゼンのBGMに合わせて「神様、神様~!」と一人しゃべりを始めるものなど、記憶に残るものが多数あります。
吉本興業は「皆様には、故人生前に賜りましたご厚誼に深く感謝しますとともに、謹んでお知らせ申し上げます」としています。