もはや夏の風物詩といってもいい、吉本新喜劇・辻本茂雄のイベント『辻本新喜劇』。今年も7月31日(月)~8月6日(日)に大阪・なんばグランド花月で『36周年50代ラストの辻本新喜劇inなんばグランド花月7DAYS』が開催されました。新喜劇座員で芸人ライターとして活動する吉岡友見が、イベントの締めくくりとなった千穐楽公演をレポートします!
茂造じいさん登場に「待ってました!」
毎年人気のイベントの最終日。大人からちびっこまでたくさんのお客さまが来場し、客席は満席です。期待が最高潮に達したところで、辻本の「辻本新喜劇!」というアナウンスを合図に幕が開きます。
物語の舞台は、清水けんじが演じるおばあちゃん・おしみがオーナーを務めるホテルカゲツ。ホテルのマネージャー、レイチェルが舞台回しとして物語を進行していきます。
永田良輔演じる従業員・キャンディと宿泊客である玉置洋行、たかおみゆき夫婦の軽快なやり取りで、最初の笑いが起こります。
そして辻本演じる人気キャラ・茂造の登場に、会場は「待ってました!」と割れんばかりの拍手。茂造シリーズでお馴染みの「階段落ち」といった大掛かりな舞台の仕掛けや、テンポの良いネタが繰り広げられます。
個性あふれる登場人物たちが続々
主役の辻本だけではなく、ほかの出演者も物語を盛り上げます。信濃岳夫のハンドフルートや、五十嵐サキの迫力満点のダンス、“カエルのネタ”をムチャぶりされる瀧見信行など、序盤から個性あふれる登場人物のオンパレードです。
平山昌雄と吉田裕の借金取りが登場すると、「座長になれた男」吉田と「座長になりたい男」清水(おしみ)の因縁の対決が始まり、観客は大爆笑。清水の繰り出す“私情の入った”乳首ドリルに吉田の体は真っ赤になっていました。
悪徳業者の清水啓之と多和田上人もそれぞれの持ちネタで会場を巻き込み、一体感を生み出します。
悪徳業者の助っ人として登場した吉田ヒロが盟友・辻本との息の合ったコンビネーションを見せたかと思うと、笑いだけでなく、高井俊彦と安尾信乃助はさすがの貫禄で芝居を引き締め、劇団往来の手島英治は新喜劇メンバーでもないのにイジられまくり、小林ゆう、生瀬行人、湯澤花梨、松本慎一郎といった若手の見せ場もそれぞれありました。
三人ヤクザで噛み噛みローテーショントーク
二景に入ると、なんと辻本は茂造からヤクザに早変わり。平山、吉田とともに“三人ヤクザ”として登場し、お馴染み「ローテーショントーク」に会場は大盛り上がりです。スムーズに三人ヤクザのやり取りが始まるかと思いきや、噛みまくる平山に辻本はツッコみまくり、拍手と笑いの渦でした。
3組の家に次々と起こる問題を、茂造とヤクザ・辻本が解決するのか、もっと複雑にしていくのか……。親子、兄弟、恋人、といったさまざまな人間関係が複雑に絡み合っていくハチャメチャ物語は、最後まで笑いの絶えない新喜劇でした!
「来年も思いっきり面白いものを」と抱負も
2時間を超えるまさに“お祭り”公演を終え、エンディングでは出演者ひとりひとりを丁寧に紹介する辻本。
「たくさんの方やキャストに支えられ、誰一人欠けることなく千穐楽を迎えることができ、たくさんのお客さまにも来ていただき、本当にありがとうございます」と深々と頭を下げ、感謝の言葉を述べました。
「座長を勇退して4年半経ちましたが、こんなにもお客さまが足を運んでくださり、まだまだやれるな、と思いました。来年の辻本新喜劇も思いっきり面白いものを作ります」と力強く今後の抱負も語っていました。
50代ラストとは思えないまだまだパワフルな辻本兄さんの作り出す「辻本新喜劇」。年々お元気になられているのでは……? とさえ思います。勢いの止まらない辻本茂雄の37周年も、みなさまお楽しみに!