さぁ、今月も始まりました。『ガクテンソク奥田のGossip Times』です。
突然ですが、皆さまはテレビドラマ『VIVANT』をご覧になられたでしょうか? 僕は没頭しました。壮大なスケール、ハラハラする展開、気持ちいい伏線回収、素晴らしいドラマだったと思います。ということで、絶賛VIVANTロス中の奥田でございます。
このドラマでは、日本の『ある組織』が出てくるわけですが、その組織はゴシップ&都市伝説界隈では昔から有名で、それがこのタイミングでまた世に出てきたということで、こちらの界隈では、そういう意味でも盛り上がっています。ここから先は、ちょっとドラマのネタバレを含むので、気をつけて読み進めてください。
その組織は『別班』という組織で、自衛隊の秘密部隊とされています。ただ、 VIVANTをご覧になった方は、散々ネットで調べ尽くしたと思うので、今回は違うテーマで書いていきます。別班が気になる方は、Googleで
『金大中拉致事件』
と調べていただくと色々出てくるので、そちらで楽しんでください。
さて、このドラマでは日本の別班、公安、アメリカのCIAなどの諜報部員、いわゆる『スパイ』が出てくるわけですが、今回は、そんなスパイたちの仕事っぷりをご紹介したいと思います。
そもそもスパイっているの?
と思われる方もいるかもしれませんが、確実にいます。なんなら、めちゃくちゃいます。外交官やジャーナリストのフリをして入国し、スパイ活動を行っています。
VIVANTの主人公は、総合商社に勤めながら、日本のスパイとして各国に潜り込んでいたわけですが、自分の任務遂行のために、一般企業に勤めるスパイも本当にいました。
尾崎秀実(ほつみ)という人物をご存知でしょうか? 元々は朝日新聞社の記者をしていて、中国情勢に詳しいということで、近衛文麿内閣の内閣嘱託となり、政界・言論界に重要な地位を占め、軍部とも独自の関係を持ち、日中戦争から太平洋戦争開戦直前まで政治の最上層部・中枢と接触し国政に影響を与えた人物なのですが、実はこの人、ソ連のスパイだったのです。
尾崎はソ連のスパイなので、もちろん共産主義者です。共産主義とは、みんなが平等なパラダイスみたいな国を理想としているので、それを実現させようとしているソ連のスパイになったわけです。なので、金持ちが優遇されていたり、政治家が権力を振りかざしていたり、軍部がやりたい放題の当時の日本は、尾崎にとって敵でした。世界中の国が、ソ連のような共産主義国家になるべきだと思っていたのです。
さらに共産主義では、
「この世界はバトルを繰り返すことで進化していく」
と考えられていました。ドラゴンボールのサイヤ人が、戦えば戦うほど強くなるように、世界は戦争を繰り返しながら、テクノロジーや学問を進化させてきたからです。
なので、世界中の国を共産主義に『進化』させるためには、バトル=戦争が必要だと考えていました。
さて、話は変わるようで変わりませんが、当時の日本は、なかなかの軍事力を持った国でした。国際連盟を脱退し、ドイツ・イタリアと三国同盟を組んだりして、かなりイケイケな国でもありました。
政府中枢に入り込んだ尾崎は、政府の機密情報をめちゃくちゃソ連に流していました。そして、政府の政策決定にも影響を与えるようになり、日本の中国への侵攻を支持します。
さらに、新聞や雑誌で国民の中国への敵対感情を煽り、政府を日中戦争の方向へ向かわせます。いざ戦争がはじまっても、休戦、停戦には断固反対し、戦争の長期化、規模拡大を主張しました。
これは、中国にはまだ弱小ではありましたが『中国共産党』という、同じ共産主義を掲げているグループがいることを知っていたので、日本と中国が戦えば、ソ連も守れるし、中国の現政権も倒せたら、中国を共産党の国にもできるので、一石二鳥と考えていたのかもしれません。
狙いどおり戦争は長引いたのですが、そのタイミングでドイツがソ連と戦争をはじめてしまいます。日本はドイツと同盟国だったので、もしかしたらドイツの味方をしてソ連に攻めるかもしれない状態になり、実際に政府も参戦する方向に傾いたのですが、そのとき尾崎は、ソ連とは逆の東南アジアへ攻めるべきだと提言し、政策の方向転換を狙いました。結果、それが上手くいき、泥沼の太平洋戦争に繋がっていくのです。
1941年、尾崎はスパイであることが発覚し逮捕され死刑になったのですが、逮捕されるまで、同僚や家族でさえ、尾崎がスパイだったことを知りませんでした。
尾崎を内閣に招き入れた近衛首相は、尾崎の正体を知った際に驚愕し、「全く不明の致すところにして何とも申訳無之深く責任を感ずる次第に御座候」と天皇陛下に謝罪しています。本当に、誰にも正体がバレなかったのです。
逮捕後の取り調べで尾崎は、
「我々のグループの目的・任務は、狭義には世界共産主義革命遂行上の最も重要な支柱であるソ連を日本帝国主義から守ること」
と答え、自分のことを
もっとも忠実にして実践的な共産主義者
と言ったそうです。
どうですか? もちろん1人のスパイの活動が戦争に繋がったわけではないですが、スパイは国さえも動かしてしまう力を持っているということも事実なのです。
そういえば、昨年ロシアがウクライナに侵攻した時も、実は、ある国とある国のスパイがロシアに潜入していて、さらに実は、、、
おっと、誰か来たようですので、今日はこの辺で。
※あくまでも本連載は個人の見解です。