桂文枝、80歳で初の繁昌亭独演会! 新作&リメイクネタで熱演「自信がついた」

「六代 桂文枝 独演会」が10月21日(土)、大阪市北区の天満天神繁昌亭で行われ、文枝が新作ネタやリメイクネタを披露しました。7月に80歳となった文枝が、初めて天満天神繁昌亭で行う独演会の第1回。爆笑あり涙ありの多彩な話芸で、客席を魅了しました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

リメイクした「妻の旅行」に共感

開口一番は文枝の20番目の弟子である桂健枝郎。すっと高座に現れ、「強そうな名前ですが、病弱です」とご挨拶。マクラで「三匹の子豚」の話を持ち出し、養豚場が物語の舞台になった「考える豚」(桂三枝作)を披露しました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

続いては文枝の弟弟子である桂かい枝が登場。「本当に月日が経つのは早いもので、ついこの間、あさま山荘事件が起こっていたと思ったら、もう10月も後半です」という奇天烈なご挨拶を。そして小噺を次々と披露し、爆笑の渦を巻き起こしました。

そんなマクラから一転、本題では怪談めいた「丑三つタクシー」を。顔に暗い影を瞬時に落とし、おどろおどろしい雰囲気をまとうかい枝ですが、こちらもまたギャグの多い爆笑ネタで沸かせました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

そして文枝が高座へ。「80歳から始める独演会ということで、今日が第1回目。ひょっとしてこの1回で終わるかもしれませんが、そうならないように病院で健康診断もしてきました」と、元気をアピールします。

そして、自身と同じ80歳でフラダンスを楽しむ人もいることに触れながら、「パワフルな女性」のエピソードを披露しました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

ネタは「妻の旅行」(桂三枝作)。20年以上前に創作した本作をリメイクしての口演です。定年後に妻と1日中、一緒にいることになった父親が、そのストレスや愚痴を息子に吐露していくという物語。

妻への言動に対して夫がツッコむたびに爆笑が沸き起こり、夫への共感が客席に広がります。夫につかの間の「自由」のチャンスが訪れる場面では拍手喝采。観客も一緒になって物語の展開を楽しみました。文枝はたっぷり45分口演。大満足の一席でした。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「さっきので疲れました(笑)」

中入り後は鮮やかな黄色の着物で登場した文枝。「傘寿は黄色とか金色だそうで、こちらは先日の傘寿の会で作った着物です」と紹介します。

「天満天神繁昌亭での独演会は今回が初めてで、二席披露しますが、やっぱり一席でよかったかもしれません(笑)。さっきので疲れました(笑)」と、45分の熱演を振り返りました。

口演する「イタリアから来た男」は、10月1日(日)に行われた文枝の大阪市24区創作落語プロジェクト『参地直笑祭in平野区』で披露した平野区落語「しあわせのアモーレミオ」をさらに膨らませ、改題した一席です。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

大阪市平野区の畳屋とクリーニング屋の主人たちの会話から始まり、下町育ちの幼馴染の会話は、やがてイタリア・ミラノへと広がっていき、思いもよらない結末を迎えます。

登場人物のイタリア人の名前が平野区の地名に似ているなど、大阪の観客には親近感が湧く展開。途中、妻を亡くした夫が娘を思う気持ちを切々と語る場面では涙も誘いました。

こちらも約40分口演。万雷の拍手で終演となりました。

最後に「今日は新たにアレンジを加えた『妻の旅行』をやって、自信がつきました」と安堵の表情を浮かべる文枝。早くも第2回が待ち遠しい、充実の独演会となりました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン