“結成20周年”スーパーマラドーナが初の全国ツアー! 「僕らほど波乱万丈のコンビって、なかなかいない」

結成20周年を迎えたスーパーマラドーナ（田中一彦、武智）が、初の全国ツアー「なんとか、ここまで来れました」を開催します！　12月9日（土）の名古屋・大須演芸場を皮切りに、全国5都市（名古屋・福岡・大阪・愛媛・東京）を巡ります。これに先立って、12月6日（水）に吉本興業大阪本社で取材会が行われ、20年を振り返った思いと、ツアーへの意気込みを語りました。

武智「“花の22期”で僕らは劣等生だった」

——タイトルの「なんとか、ここまで来れました」は、どのように決めたんですか？

武智　僕が考えました。僕らNSC（吉本総合芸能学院）大阪22期は、“花の22期”と呼ばれて、ダイアン（ユースケ、津田篤宏）やNON STYLE（石田明、井上裕介）、南海キャンディーズ・山ちゃん（山里亮太）と、そうそうたるメンバーがいるなかで、僕らなんて下も下の劣等生で……。そんななかで20周年までやってこられたのは、すごいことだなと実感しまして。「よくここまで来れたな」っていうのが率直な感想です。
ふつうのコンビでも、揉めごとや事件、騒動、いっぱいあると思いますけど、僕らほど数が多い、波乱万丈のコンビってなかなかいないと思うんですよ。そういう意味でもタイトルに、ばっちり合ってるかなと思います。

田中　僕、2回飛んでて（逃亡）、よう20周年まで来れたな、と。（武智に付いていって）よかったのか、悪かったのか……。

武智　よかったやろ！　メシ食えてるやろ？

田中　そうですね。家も建てられましたし。

——田中さん、過去2回にわたって逃亡したときのことを教えてもらえますか。

田中　1回目は2007年で、鳥取のおばあちゃんの家にいて、鳥取砂丘の近くの山に入って死のうかなと思ったんですけど、入った瞬間、虫が多くて怖くて。「こんなんで怖いと思ってるなら死にたくないんやわ」と思って死ぬのをやめました。
2回目は2014年で、「パチンコでおカネを稼いで、ちょっとずつ南下していこう」と思ってマンガ喫茶を渡り歩いていたんですけど、風邪引いちゃって熱が出て、神戸の三宮のマンガ喫茶に1週間くらい滞在してたんです。
そしたら当時、付き合ってたいまの奥さんが、「（田中の）性格的にマンガ喫茶にいるはず」と探してくれて。僕の履いていたスニーカーを覚えていたのもあって、2軒目で僕を見つけてくれました。

武智　当時、警察にも協力してもらってたんです。で、三宮のATMの画像に、田中が3万円おろしている姿が映ってて、それで奥さんが「いてもたってもおられへん！」って探しに行ったら、1時間半後に「見つけた！」って連絡が来たんです。

田中　（連れ戻されて）よかったな、と思いました。パチンコで負けすぎて「もう（逃亡生活は）続かへんぞ」と思ってたからちょうどよかったです。

田中がナイツに「ジュース買ってこい！」！？

——5都市全国ツアーのうち、来年3月1日（金）は、武智さんの故郷である愛媛ですね。

武智　はい、“初凱旋”です。伊予市の「IYO夢みらい館」はすごくきれいで広いホールなので、埋まるんかな？って不安で。とりあえず、僕、（愛媛在住の）姉ちゃんがいるんで、姉ちゃんにビラを100枚、郵送しました。姉ちゃんと家族、武智家総動員で集客します。

田中　僕は、（全国ツアーでも）いつもどおりというか、仕事のひとつです。

——公演の内容を教えてもらえますか？

武智　新ネタです。寄席でウケるような新ネタと、「THE SECOND」（今年始まった結成16年以上の漫才師を対象にした漫才トーナメント）で勝てるような新ネタの2種類に分けて作っていきたい。あとは過去に作ったネタで、改良したらよくなりそうなネタもやろうかなという感じです。

田中　そうだったんですね。いま知りました。

武智　名古屋公演、9日（土）からやぞ！　まだ知らんかったんかい。こっから一気にネタ合わせします。

——ゲストは “同期芸人”ばかりですが、なかでも大阪公演は、ナイツ（塙宣之、土屋伸之）さんが来ます。2人をゲストに呼んだ理由は？

武智　「ナイツさんを大阪で観られるってすごくない？」というのがあるじゃないですか。いまの僕らのマネージャーさんが「ザ・ラジオショー」（ニッポン放送）の関係でナイツさんのマネージャーさんと親交があるから、お願いしてもらったところ、OKをいただきました。

田中　そこまで（ナイツと）親交はないですね？

武智　打ち上げの席で一度、塙さんとお話させてもらったり、ナイツさんがやってた「お笑い演芸館VS.」（BS朝日）にちょこちょこ出演させてもらったり、ぐらいですかね。だから、がっつりトークしてみたいです。漫才はもちろんですけど、お笑い論やM-1論の核心に迫りたいです。

田中　僕はお笑い以外の話をしたいです。「好きな食べ物はなんですか？」とか。できれば、敬語でしゃべらんようにしたいです。「おい！」とか。フレンドリーになれたらいいな。

武智　芸歴も一緒で、年齢も……僕とナイツさん2人とも同い年やから、だからお前は1歳年上やで。

田中　えぇっ、うそ！？　「ジュース買ってこい！」って言えるかなぁ？

4年連続M-1決勝が20周年につながった

——12月24日（日）には「M-1グランプリ」決勝が行われますが、かつての戦いを振り返ってみていかがですか。

武智　結果が出ないと続けていけない世界やけど、M-1が僕らに20年以降も漫才をやっていい権利を与えてくれたんで、そういう意味でもM-1には感謝していますね。

田中　M-1決勝に出たから、ギャラ単価も上がって。

武智　カネの話ばっかりやな！　僕らコンビは、M-1が得意と思われていたかも知れませんけど、じつは得意じゃなかったですね。M-1には向き不向きがあって、僕らは限りなく向いてなかった。
ほとんどのコンビがそうだと思います。でも稀に得意なコンビがいて、そういう人たちが決勝に行ったり優勝できたりするんだと思います。それでも僕らが4年連続で決勝に行けたのは、人並み以上の努力をしたから。それに尽きます。
僕らはどっちかというと “寄席”が得意なんですよ。子どもからお年寄りまで楽しめるような。とくに僕らは子どもにめちゃくちゃウケるんです。いまはのびのびできてますけど、「THE SECOND」が始まりましたからね。始まったからには、獲るしかない。

田中　イヤやなぁ……。

——20周年という大きな節目を迎えて、今後の目標や展望を教えてください。

武智　劇場とお客さんに必要とされる漫才師になりたい、というのがいちばんです。あと僕ら、とにかく子どもにウケるから、会社に「子ども寄席をやりたい」って言ってるんです。中川家さんやテンダラーさんが「お前ら、子どもにめちゃウケるな！」と言ってくれたから、あのお二方が言うなら間違いない。子どもにウケるメンバーを集めて、全国各地を回りたいです。

田中　僕は、営業に呼ばれたいです。舞台ギャラがいいので。