桂文枝が上方落語の“聖地”「大阪市東成区」の創作落語を披露! 近鉄今里駅の「鉄板ネタ」で大ウケ

桂文枝による大阪市24区創作落語プロジェクト『参地直笑祭in東成区』が、1月13日(土)に同区のコミ協ひがしなり区民センター(東成区民センター)で開催されました。イベントには文枝のほか、桂枝三郎、桂小きんが出演。会場に集まったお客さんたちは、地元ゆかりの落語に大笑いしました。

出典: FANY マガジン
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「参地直笑祭」は、2018年3月に住之江区からスタートしたプロジェクト。大阪市と吉本興業が締結した地域活性化などを目的とした包括連携協定に基づいて、文枝が大阪市24区それぞれの特色を盛り込んだ創作落語を作り、地域の魅力を発信しています。コロナ禍による3年間の休止を経て2023年2月に再開、今回で第15弾を迎えました。

前説は、“東成区住みます芸人”の相乗効果(閑歳けいすけ、トキ)が務め、会場をあたためます。そして、文枝がゆったりとした所作でステージに登場すると会場は大きな拍手に包まれました。この日の文枝は、昨年7月に80歳を迎えたこともあり、「傘寿」を象徴する黄色の着物姿です。

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実は上方落語と縁が深い東成区

「参地直笑祭」では毎回、その区にちなんだネタ探しをしますが、文枝は東成区について「難しかったです。大きな声では言えませんが……あまり特徴がなかった」とこぼして、ひと笑い。そのうえで、東成区が文枝にとって非常に思い入れのある土地だと語ります。

東成区片江には、かつて「楽語荘」と呼ばれた5代目笑福亭松鶴の自宅があり、文枝の師匠である五代目桂文枝をはじめ、桂米朝、桂春団治などが集い、上方落語の隆盛の礎をつくった場所。文枝も当時、「楽語荘」によく足を運んだといいます。

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そうした歴史があることから、この日の「参地直笑祭」は文枝と、文枝の弟子の枝三郎、そして五代目桂文枝の孫である小きんによる落語三席になりました。

まず登場した小きんは、「“上方落語界の四天王”でございます五代目桂文枝の、ほんまもんの孫です」と陽気に自己紹介したあと、「煮売屋」を披露。2人の男と煮売屋の店主の軽快なやりとりで観客をぐっと惹きつけます。

続いては枝三郎が、昭和初期に東成区今里の自宅で一般代書人(現在の行政書士)を営んでいたという4代目桂米團治が創作した「代書屋」を口演。緩急のある名調子で客席を魅了しました。

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“地元あるある”に客席は爆笑

そして最後は、文枝による創作落語です。タイトルは「幸せの帰郷」。東成区で呉服屋を営む72歳の男のもとに、小学校の同級生だった“斉藤”から突然、電話が入るシーンからスタート。

斉藤は小学校卒業後、親の都合で南米コロンビアに移住したのですが、両親と妻を亡くし、60年ぶりに東成区に帰ろうとしています。2人は約束を取り付けて東成区で再会。近鉄今里駅に降り立った斉藤は、さっそく駅の出口で両親の位牌を並べ、東成区に帰ってきたことを涙ながらに報告します。しかし、実は近鉄今里駅の出口は生野区にあるという“地元鉄板ネタ”で客席は大笑い。

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再会を喜びつつ、60年ぶりの東成の街を巡る2人。「鶴橋商店街」「暗越奈良街道(くらがりごえならかいどう)」など、おなじみの地名も続々登場して斉藤は涙します。その理由は60年前と比べて街の様子がほとんど変化せず、「“そのまま”やから」。これに客席は「そのとおり!」と爆笑。サゲは誰もが幸せを感じる内容で、お客さんから大きな拍手が起きました。

エンディングでは、文枝と枝三郎、そして東成区の御栗一智区長が登場。御栗区長は、文枝に「楽しい噺をありがとうございます」と感謝を伝え、「次に斉藤さんがコロンビアから(東成区に)帰ってくるまでに、近鉄さんに出口を東成区側にも作っていただけるように頼んでおきます」と宣言してお客さんはまたも大笑い。これには文枝も、うれしそうな表情を見せました。

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大阪・関西万博が開催される2025年に区政100周年を迎えるという東成区。御栗区長は、「万博とともに東成区の100周年を盛り上げてまいりたいと思います」とアピールしました。

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