ラバーガール&しずる“他事務所”対談! 2年5カ月ぶり単独ライブのチケットをなぜ吉本から!?

淡々とした独特なコントで人気のお笑いコンビ・ラバーガール(飛永翼、大水洋介)が、2年5カ月ぶりとなるラバーガールLIVE『史上最高の夏!』を開催します。人力舎所属の彼らですが、今回は新しい試みで吉本興業のチケットサイトでも販売。同世代で仲のいい吉本のお笑いコンビ・しずる(池田一真、村上純)との対談で、その狙いや経緯、ライブの意気込みなどをたっぷり語ってもらいました。

出典: FANY マガジン

売れている配信チケットを調べたら吉本だった

――ラバーガールの単独ライブが8月26日(木)から3日間、東京・下北沢で開催されます。まずは、そのチケットがFANY(吉本のサービスを統合したブランド)で販売されることになった経緯を教えてください。

飛永 単独ライブのチケットを売ろうとしたとき、現状で、Twitterとホームページくらいしか告知する場所がないなと困っていて。テレビのレギュラーがあれば、「今週あるんで来てください」と言えますけど……。

村上 『ライオンのごきげんよう』(フジテレビ系で2016年まで放送)が、まだあればね。あと、『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系で2020年まで放送)。

池田 『笑っていいとも!』(フジテレビ系で2014年まで放送)もなくなっちゃったしなあ。で、すいません、FANYってなんすか?

村上 なんで知らないの? 「チケットよしもと」とか「ONLINEチケットよしもと」とかがFANYに統合されたのよ。

飛永 そう、で、そのFANYのサイトを見たら、めちゃめちゃよかったんですよ。

村上 いろんなサービスが連動しているから、みんなの情報が入ってきますもんね。

池田 へー!

飛永 『マヂカルラブリーno寄席』とかバンバン売れてる配信チケットを調べたら、ぜんぶFANYだとわかって。「そうか、吉本を好きな人はこういうつながりでチケットの情報を得てるんだ」と気づいて、「じゃあ、これに入るのが、いちばん告知力が高いんじゃないか」って。単独には、お笑い好きの人たちに来てほしいから。

大水 そう。

飛永 もちろん僕らのファンの方が、これを機にFANYに登録して、吉本の芸人さんたちのライブを観ることがあってもいいですし。

村上 Win-Winだ。

出典: FANY マガジン

池田 でも気をつけないと、いつか吉本に飲み込まれちゃうかもしれないですよ。

大水 それはそれで。だって、事務所とかどうでもいい時代だもんね。1回、FANYでチケット売ったから、俺たちもこれから「吉本」って言ってくし(笑)。

村上 吉本もうれしいと思います。いままで吉本側が声を届かせられなかったファンに声が届くから。お互いのファンを共有し合って広がっていく感じもあるし。

飛永 そうだね。その親善大使みたいなのできないですか?

大水 FANY親善大使?

飛永 「吉本さんはいいよ」って広めていく係。「みんなでFANYプロジェクト」。

池田 「ファニプロ」。そこからユニットとか出てもいいしね。

大水 いいね、「Re:JAPAN」(吉本のタレント11人による音楽ユニット)みたいに「FA:JAPAN」をやろう。

飛永 「FANY住みます芸人」もできるし。

村上 ネット上に住むってこと?

大水 (笑)。「FANY新喜劇」やろう。

飛永 「ファニ本新喜劇」だ。

仲良くなったきっかけは「吉本ゴシップ」!?

――2組は仲が良さそうですね。

村上 飛永さんと池田が仲良くなったのって、楽屋で吉本の文句を言ってたのがきっかけだよね。

池田 文句じゃないよ、ゴシップ(笑)。

飛永 最初はライブで一緒になって、そのあと、池田くんが元ジューシーズの松橋(周太呂)くんとかと仲良くて僕がそこに混ぜてもらったり、村上くんとチャットモンチーのライブ行ったりして。

池田 ラバーガールさんの新ネタのライブにも呼んでもらったよね。

飛永 そう! 大阪のライブに来てもらった。

大水 本当は大阪の芸人さんを呼んだほうがいろいろ楽なんだけど、あまり知らなくて。

飛永 大阪→吉本→しずるってことで、2人を呼んだんだよね。

池田 僕、大水さんには、かなりむかしに一度、『エンタの神様』(日本テレビ系)の楽屋で、「結婚したい」という相談をされました。

大水 え、ウソ!? 俺が?

出典: FANY マガジン

飛永 それ本当に大水さん? もりやすバンバンビガロさんじゃなくて?

村上 シルエット似てるけど!

池田 もりやすさんは、横の楽屋でキャベツ食ってたんで違います(笑)。

大水 しずるのトークライブにも、僕ら何回か出たよね。

村上 そうそう。あの、僕、エピソードトークがあまり好きじゃなくて……。

池田 そうなんだ! トークライブでけっこう長く話すし、すごい好きなんだと思ってた。

大水 『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)で、池田くんのエピソードしゃべってたよね? 「池田の顔!」っていうやつ。

村上 めちゃくちゃスベったやつね。「池田の顔!」でオトしたつもりが、「ひゅ~ん」って(すべらない認定の)ハンコ押すやつが来なかった(笑)。そのエピソードトークが苦手な感じを、ラバガさんとは共有できる気がしたんですよ。お笑いとはこうみたいな感じを、ラバガさんには感じなくて。

大水 たしかに、段積みしていってオチはこれ、みたいな話をあまりしないし、得意じゃない。

村上 それがラバガさんと似てて、一緒にいて心地いいなと思います。

許可なしにセリフ変えたら更迭!?

――しずるの2人も単独ライブ『Black Treatment~その弾丸はお前を貫き、そして黒く汚れた~』がありますね(7月24日開催、31日までアーカイブ配信。取材は公演前)。

村上 さっきまでここで稽古してました。

池田 ま、別に本気の稽古じゃないですけど。

飛永 練習やってないのがかっこいい時代、終わってるよ?

池田 え、そうなの!? 実は俺、奥さんをセリフの練習に付き合わせてるから……。

飛永・大水 え!?

村上 僕もやりますよ。

飛永 奥さんを相方として? 信じられない。

村上 うちの奥さん、ちょっと感情入れて読むんですよ(笑)。ありがたいですよ。

池田 そうでもしないと覚えられないから。2人はネタ合わせの時間だけでセリフ覚えられますか?

出典: FANY マガジン

大水 いや、家で台本読むときもあるけど、1人で覚える。

飛永 しずるは変わった作り方だもんね。交互に1人が書いて演出して。

村上 そう、ゼロから覚えるから。ラバガさんは2人で作るんですもんね?

大水 一緒に作って、できた時点である程度、頭に入ってるからね。たとえば池田くんが書いたものを村上くんが覚えるとき、言い回しは変えてもいいの?

池田 すごく言いづらそうな言い回しとかは変えていいよって言います。

村上 変えるときは必ず許可を得るようにしてます。でも、「ここだけはこのままにして」というのはあって。

池田 僕の許可なしに変えたら更迭です。

村上 更迭(笑)。でも、そのほうがいいんですよ。相手が書いたものに対して「こうしたほうがいい」って意見しちゃったら、分けて書いてる意味がないから。

飛永 一緒に書いてるのと同じになっちゃうからね。

村上 そう。だから最初に台本見たときに「どうなるんだろう?」ということもあるけど、お客さんがそれで笑ったら正解じゃないですか。だから全乗っかりします。

地方営業でラバーガールに起こったドラマ

――ラバーガールは営業などで、客席にリクエストを募ってその場でコントをすることがありますが、これまでのコントはすべて覚えているんですか?

飛永 ぜんぶじゃないですけど、常時30くらいはいけるようにしてますね。

村上 え、「猫カフェ」と言われたらすぐにやれるんですか?

飛永 そうですね。でも「猫カフェ」は道具を使うからできないので、そのときは大水さんが「きょうはお休み」って言う(笑)。

村上 それ、ウケるだろうな。

飛永 いろんな芸人さんが出てるイベントで、人気の芸人さんはワーッとなるけども、僕らはどっちかというと、知ってはいるけどワーッとはならないグループ。でも満足してもらいたいから、「その場でやってます」という感じがほしくて。

村上 すごいなあ。サービス精神だ。

大水 一度、ある地方の営業でお客さんにリクエストもらったんですけど、そのネタを覚えてなくて、「次までに練習しとくね」ってことがあったんです。それで数年後、同じ地方に行ってリクエストもらったら、同じ人をたまたま当てたらしくて、同じネタリクエストされて、そのときはできたの。

池田 え!?

村上 なに、そのドラマ!

出典: FANY マガジン

大水 練習しといてよかったー!って。よく同じネタをリクエストしてくれたし、よく同じ人を当てたなって。でもね、ちょっと恥ずかしいのが、それがきれいな女の子で。会場をバーッと見たときに、その子が目に入ったんだよね。

池田 恥ず!

村上 いつもタイプの子を選んでるんだ!

飛永 ダセえ(笑)。でも、先週『エンタの神様』でこれやったからリクエストされるかもなとか、なんとなく予想できるんですよ。出番の直前に「あれやっといたほうがいいかもね」って練習して、実際、そのネタをリクエストされて「よかったね」というときもあります。

アゲアゲな気持ちで「史上最高の夏」に

――今回のラバーガールの単独は、どういうコンセプトで?

飛永 いま、みんなが何を喜んでくれるんだろうというのが難しいんですよね。ちょっと暗い気持ちになってるんじゃないか、だから単純に明るいものを見たいと思ってるんじゃないかなと思って、タイトルも『史上最高の夏!』にして。

大水 バカみたいなタイトルにしちゃった。

池田 いいっすね!

飛永 アッパーな、アゲアゲな。いまお笑いを観たい人って、明るい気持ちになりたいんじゃないかな。だから本来、お笑いが求められていることをやるのが正しいんだろうな、と作りながら思いますね。なにも考えなくても笑えるようなもの。

大水 だから、もちろん「面白い」と言ってくれるのもうれしいけど、「楽しかったー!」と言ってもらえるようなライブにしたいと思って。

飛永 「元気になった!」とかね。ふふふ。

出典: FANY マガジン

村上 でも歳とってくると、本当にそれはありますよね。面白いと思われたいって「自己欲求」だけど、自分がやったことで誰かが元気になるって、大げさにいったら「社会貢献」じゃないですか。

池田 エールですよね。

飛永 そう、エール。

村上 その人の人生にエールを送れるかどうか。

飛永 でも、自分もちょっと気持ちが沈んでいるから、できあがったのが少し暗めになっちゃって、「もっと明るい要素入れないと」と思ったりして。しずるさんはどうですか?

村上 今回は池田が作・演出なんですけど……。

飛永 じゃあ、なにも考えてないか(笑)。

池田 (キャラを入れて)うん、俺、やりてえことやってる。だからわかんねえや、難しいことは。俺バカだから……。
いや、でもいま話を聞いてちょっと納得しました。前はキャラクターもののネタをよく作ってたけど、今回そんなにないんですよ。もしかしたらいまの状況を反映しているのかな。

村上 無意識であるんじゃない?

飛永 でも、「いつもどおりのしずるだな」っていうのも、お客さんはうれしいから。2人は、むしろそっちなんじゃないですかね。

キングオブコントは“珍味”としてがんばる

――2組とも今年はキングオブコントに参加しますよね。決勝も経験しているみなさんは、若手芸人とはまた取り組み方が違うのかなとも思うのですが。

村上 参加し続けてるってことは、負けてる回数が多いんですよね。13回負けてるから。

飛永 いろんな悔しい思いをしてきてるというのはあるかもしれないですね。全然ダメだったときもあるし、いけたんじゃないかという悔しい年もあったり。

村上 出るからには優勝を狙うけど、ぬか喜びしないように予防線張っちゃう。

飛永 芸歴制限もないから、“最後の夏”感もないし。

村上 “一生出られる甲子園”みたいなとこあるよね。

飛永 だからちょっと……腐ってる。

村上 言葉にしちゃダメだよ(笑)。腐って見えるかもしれないけど、こっちからしたら“発酵”してる。

池田 チーズだって、発酵しておいしいのがあるじゃない。

出典: FANY マガジン

大水 味わい深くはなってる。

村上 手に取る人は少ないけど(笑)。

池田 でも、手にとったら絶対に逃さない。

大水 相当な珍味だよね。

村上 決勝の審査員の方々が、「今年は珍味がいちばんだ」と思うかどうか。

大水 そうなる可能性もぜんぜんあるよね。

池田 でも今回、ユニットというとんでもない珍味もあるからなあ(キングオブコントは今回から「即席ユニット」での出場が可能に)。

大水 だから、なんとか腐らないようにがんばる。

飛永 さっきまで腐ってたけど、がんばろうね。

池田 なんとか息吹き返した!

ぜひ気になる異性を誘って…

――最後に、単独ライブの見どころと意気込みをお願いします。

飛永 最高の夏になるように、会場で観る人も、配信で観る人も、楽しいものをいまつくっていますので、ぜひ観ていただきたいです。せっかくFANYさんで販売するので、ふだん吉本のライブを観ている方は、「違う事務所だとこんなに違うんだ」と新たな発見があったらいいなって思います。

大水 『史上最高の夏!』というタイトルにしたので、ぜひ気になっている男の子、女の子を思い切って誘ってもらって。

村上 ライブをきっかけに“史上最高の夏!”に。いいですね。

大水 そこからうまくいってくれたら、こんなうれしいことはない。

飛永 花火大会に誘う感じだ。

村上 客席を見たら浴衣だらけかも。

大水 最高じゃない!

出典: FANY マガジン

村上 そう考えたら、ネタの作り方も変わってきますね。ラバーガールをきっかけに付き合ったとか最高。僕らは今回は池田作・演出で。観たことのない人にも観てほしいし、いままで観てくれていた人の期待も裏切らないものであったらいいなと思います。それこそ“FANY(FUNNY)”な、楽しい気持ちにお客さんがちょっとでもなってもらえたらと、いま飛永さんの話を聞いて思いました。ラバーガールをきっかけに、いい夏になるかもしれない!

池田 まあ好き勝手喋ってましたけど、僕の単独なんでいまの話はぜんぶ却下で。

村上 なんでだよ! “しずるの単独”だろ?(笑)

池田 (キャラを入れて)僕はラバーガールさんと逆で、楽しませるとか考えずに、そのただ決められた時間に勝手にやってるだけなんで、それを観ろって感じです。

飛永 さっきと別人だ(笑)。

村上 “史上最高の夏”の話に手叩いて喜んでたくせに(笑)。

公演概要

ラバーガールLIVE『史上最高の夏!』
日時:
8月26日(木)開場17:30 開演18:00
8月27日(金)開場13:30 開演14:00※追加公演
8月27日(金)開場17:30 開演18:00
8月28日(土)開場11:30 開演12:00
8月28日(土)開場15:30 開演16:00(生配信あり)
会場:本多劇場(東京都世田谷区北沢2-10-15)
出演:ラバーガール
作・演出:ラバーガール
【チケット】
劇場:5,000円(FANYチケットで7月31日(土)10:00~発売)
配信:2,500円(FANY ONLINEチケットで8月7日(土)12:00~発売)

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しずる単独ライブ「Black Treatment~その弾丸はお前を貫き、そして黒く汚れた~」 作・演出 池田一真 bullet 1
7月24日(土)に開催されたライブの見逃し配信は7月31日(土)まで。

FANY ONLINEチケットはこちらから。


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