ロンブー淳「地方活性化のためにはコミュニケーションが大事」 地方創生とSDGsを考える“官民”国際フォーラム開催

持続可能なまちづくりや地方活性化について考える「地方創生SDGs国際フォーラム2024」が、3月4日(月)に東京・大手町の日経ホールで開催されました。田村淳(ロンドンブーツ1号2号)が登場し、ファシリテーターとしてパネルディスカッションを進行。パネリストらと一緒に、地方が直面している課題について理解を深めました。

出典: FANY マガジン
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淳が指摘する「地方の独自性」

このイベントは、内閣府と地方創生SDGs 官民連携プラットフォームが主催したもので、「サステナブルな未来へのメッセージ」というテーマを掲げて開催されました。また、約1年後に開幕が迫った大阪・関西万博に向けて、万博を起爆剤とした地方創生SDGsのムーブメント拡大もひとつの重要なテーマです。当日はオンライン配信も行われ、多くの参加者が持続可能な地方創生のあり方について考えました。

ロンブー・淳がファシリテーターを務めたパネルディスカッションの最初のテーマは「地域における事業創出」です。パネリストとして、A.T. カーニー 日本法人の梅澤高明会長、山口・長門湯本温泉で官民一体のまちづくりを担う「長門湯本温泉まち」のエリアーマネージャーである木村隼斗氏、岐阜・飛騨で森林の活用・循環・価値創造に取り組む「飛騨の森でクマは踊る(通称ヒダクマ)」の林千晶会長が登壇。地方での新規事業創出や官民連携についてのディスカッションを行いました。

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梅澤氏は「観光開発支援の選定の基準は『観光資源が充実していること』と『キーパーソンが見えていること』。新しいプレイヤーを拒否せず、一度はトライさせてあげてほしい」と提案。木村氏も「小さなことでもまずはやってみることが大事」と話します。

そして林氏は自らの経験をもとに「地域には驚くほど豊かな文化があり、ひとつずつ丁寧に紡ぎあげて事業にすることがこれから求められる」と語りました。

こうした議論を受けて、淳は「どこに行っても同じうどんが食べられるという街に僕は行かない。地方創生では、そこはすごく大事だと思う」と地方の独自性を残すことの大切さを訴えます。そして、「事業を興す際、わからないことは教えてもらえばいい。コミュニケーションが大事だということを改めて認識した」と締めくくりました。

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「自分たちでは良さに気づきにくい」

2つめのパネルディスカッションのテーマは「地方創生」。パネリストとしてAwaji Art Circus実行委員会の事務局長であるパソナグループのエレナ・ブジョラ氏、山梨県小菅村の舩木直美村長が登壇し、主に観光をテーマにした地方経済活性化の取り組みについて議論しました。

ブジョラ氏は、パソナグループが本社機能の一部を淡路島に移転させたことや、自身が立ち上げに携わった国際パフォーミングアーツフェスティバル『AWAJI ART CIRCUS』について触れ、「淡路島の認知が高まり、観光客が倍になった」と説明。また、持続的な活動のために「若者にとって魅力的な就職先を作るのもポイント」と話しました。

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舩木村長は、小菅村の近年の取り組みを紹介。そして村づくりの原点が「自分の村の魅力はどこにあるかを考えること」だと語り、「自分たちでは良さに気づきにくい。お客さんにいいところを発信してもらうことで、『これが資源になるのか』という気づきや発見になる」と述べます。さらに、人材育成のためのUターンの大切さなどについて語りました。

こうした話を聞いた淳は、「そこに住む人々が自分の住む地方のよさを理解したうえで、地方創生を自分ごととして捉え、みんなが同じベクトルを向いていないと、本当の意味での地方創生は難しいと感じた」と話します。そして、「一度、観光した地方にかかわったことで好きになって、そこから関係人口を増やしていくことが本当の観光といえるのではないか」とまとめました。

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大阪・関西万博でSDGs達成を

大阪・関西万博に向けたパネルディスカッションでは、慶應義塾大学大学院の蟹江憲史教授がファシリテーターを務め、「SDGsの達成」をテーマに議論。パネリストとして住友林業の飯塚優子執行役員、万博協会のウスビ・サコ副会長、建築家の永山祐子氏が登壇しました。

来年4月からスタートする大阪・関西万博は、開催意義のひとつとして「SDGs達成・SDGs+beyondへの飛躍の機会」を掲げています。蟹江教授は「SDGs達成に必要なのはトランスフォーメーション(改革)である」とし、「これからのアクションのために2025年の大阪・関西万博が重要になる」と話しました。

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一方、飯塚氏はSDGsの達成について、「感じること、信じることが大事。できると思ってアクションにつなげることでポジティブになれると思う」と述べます。サコ副会長は、万博は教育と実験の場だと話したうえで、「万博で世界を見ることで日本が見えてくる。響き合うことが重要。若者に博覧会で世界にもっと触れて共感してほしい」と呼びかけました。

永山氏は、自身が設計したドバイ万博の日本館の一部を大阪・関西万博のパビリオンでリユースすることに触れながら、「万博で試すことで実社会でも実装されることになれば。万博は規制にチャレンジするいい場だと感じている」と語りました。

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高校生たちの書道パフォーマンスも

この日のイベントでは自見英子地方創生担当相がビデオメッセージで登場し、こう挨拶しました。

「多様性と包摂性のある社会を築いていくため、 国際社会のSDGs達成に向けた努力に対して、もっとも効果的な形でさらに貢献していく必要性が示された。万博を起爆剤とした地方創生SDGsの動きの拡大にもつなげたい」

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一方、一般財団法人「住宅・建築SDGs推進センター」の村上周三理事長は総括として、「政府は官民連携による自律的好循環の形成を推進している」と評価したうえで、今後の課題として、官民連携だけでなく「官官連携」「民民連携」の必要性を訴えました。

このほか、愛媛県立三島高等学校(愛媛県四国中央市)と水戸葵陵高等学校(水戸市)の生徒による書道パフォーマンスがイベントに花を添えたほか、「2023年度 地方創生SDGs官民連携優良事例表彰式」では、次の団体が表彰されました。

【内閣府地方創生推進事務局長賞】
・「歴史的資源の活用と古民家再生でつなぐ持続可能なまちづくり支援」
岐阜県美濃市×株式会社十六銀行

【プラットフォーム会員間連携部門 優良事例】
・「楽しく買い物しながらロス削減と寄付をする無料の福利厚生施策」
神奈川県×株式会社ファーストクラス

・「既存施設のシェアリングにより周遊旅行の活性化を推進する取組み」
熊本県天草市×トラストパーク株式会社(九州周遊観光活性化コンソーシアム)

【一般部門 優良事例】
・「学校と社会人をつなぐ『ゲストティーチャーマッチングサイト』」
奈良県生駒市×株式会社ユニーク

・「『梅ワー』でウェルビーイングな地域活性と関係人口創出」
和歌山県みなべ町×一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会

・「カルビー miino(ミーノ)粟島 一人娘プロジェクト」
新潟県粟島浦村×カルビー株式会社

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