悩み相談ロボットにAI避難ルートマップ…子どもたちの社会課題解決アイデアにエルフ荒川「この子たちは日本の宝!」

ロボットや人工知能(AI)を使って子どもらが社会課題を解決するアイデアを考える「ChatGPT × ロボット アイデアコンテスト」と「STREAMチャレンジ2024」のオンライン表彰式が、3月17日(日)に開かれました。人型ロボット「Pepper」などを手掛けるソフトバンクロボティクスが主催(共同主催:超SDGsラボ)し、MCには見取り図(盛山晋太郎、リリー)とエルフ(荒川、はる)が登場。YouTubeでも生配信された表彰式の様子を、芸人ライターとしても活動する“静岡県住みます芸人”ぬまんづの原いい日がレポートします!

出典: FANY マガジン
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ChatGPTは“ギャルパーティタイム”!?

「ChatGPT × ロボット アイデアコンテスト」は今回が初開催で、その名の通り、生成AIのChatGPTとロボットを組み合わせて社会課題を解決する新しいアイデアを中学生、高校生から募集しました。

一方の「STREAMチャレンジ」は、「テクノロジーでSDGsに貢献する」というテーマで、ロボットやAIを活用した課題解決の取り組みを小学生~大学生などから募集。「ロボット部門」と「AI部門」の2部門で表彰が行われました。

「STREAM」とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)を総合的に学習する「STEAM教育」に、Robotics(ロボット工学)、Reality(現実性)、Reviewing(評価)の要素を入れ、頭文字の「R」を加えたことばです。

出典: FANY マガジン
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まずは、「ChatGPT × ロボット アイデアコンテスト」の表彰式から。MCはエルフの2人です。“ギャル芸人”の荒川は「私たちもわからないことばかりで不安。ChatGPTも“ギャルパーティタイム”の略だと思ってた」と話して笑いを取りました。

数多くの応募の中から「特別賞」に輝いたのは京都市立京都工学院高等学校のチーム「KKHS」。ロボットとChat GPTを組み合わせて診察に活用することで医療従事者や病院内での感染を減らそうという試みで、学生時代にコロナの影響をリアルに受けた世代だからこそできる提案でした。

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また「優秀賞」には、広島大学附属福山高等学校の髙塚千尋さんが選ばれました。髙塚さんは、子どものためのAIスクールカウンセラーロボット「EMONI(Emotion+Monitoring)」のアイデアを提案。これはPepperやAIを活用して子どもたちの悩みなどに向き合うアイデアで、不足しているスクールカウンセラーの負担軽減も考えられています。

いずれも学生でないと見えない視点のアイデアが素晴らしかったです。2組のアイデアを見たエルフ・荒川も「この子たちは日本の宝!」と大絶賛でした。

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柔軟な発想で2つのロボットをひとつに

そして「最優秀賞」が贈られたのは、静岡県の浜松聖星高等学校のチーム「わらび」が提案したプロジェクト「あなたの優しいロミホン」。既存の2種類のロボットを組み合わせて、人には話しにくい悩みや打ち明け話を聞いてくれる人型ロボットを提案しました。

受賞の決め手になったのは、「2つの既存のロボットを一緒にしてしまおう!」という学生らしい柔軟な発想です。チームわらびの2人は、ChatGPTへ指示を出す「プロンプト」という言葉すらわからない状態からスタートし、AIやロボットの知識を勉強しつつ、校内でアンケートを取ったりしながら現場のリアルな声をデータとして吸い上げたそうです。

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表彰式を終えたエルフ・荒川は、こう言ってまとめてくれました。

「実現する・しないじゃなく、こうやって社会の問題について考えている学生がいるってだけで救われる人がいる。こんなにしっかりと意見を言う荒川を見られるのは、この表彰式だけ!」

オンライン授業をもっとリアルに

続いて「STREAMチャレンジ2024」の表彰式では、MCの見取り図が登場しました。見取り図・盛山は、最近は小学校からプログラミング教育が行われていることについて、「時代が進んでいてうらやましい。僕が小学校のころなんか、『どれだけ石を遠くに飛ばせるか』みたいな授業やってましたよ」と話して笑いを誘います。

ロボット部門では10チームがアワードを受賞。そのうち「優秀賞(ロボット賞)」に選ばれたのは、岐阜県の関ヶ原町立関ヶ原中学校のチーム「EPS(Enjoy programming関ヶ原)」による「欠席君でオンラインシステムをもっとリアルに」というプロジェクトでした。病気などでオンライン授業を受けるときに、教室で手を上げたり、黒板の見やすい位置にカメラを移動させたりできるロボットを、レゴを使って自分たちで組み上げました。

出典: FANY マガジン
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そして、もうひとつの「優秀賞(Pepper賞)」に選ばれたのは、京都府のプログラミング教室・寺子屋LABOのチーム「ほっかいやコロッケv1.1」のプロジェクト「『過剰除去』を減らそう」 。Pepperをフル活用して、チラシを配布することで食品ロスを削減しようという取り組みです。

大学生までが参加するなか、どちらも小学生や中学生とは思えないクオリティと行動力で大人たちを驚かせていました。

出典: FANY マガジン
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ロボットがプログラミング教育の先生に

そしてロボット部門の「最優秀賞」は、大阪の追手門学院大手前中・高等学校のチーム「Otemon Challenger」による「教育現場の課題解決に向けてペッパーを活用した教育体制の構築」というプロジェクトです。

もうタイトルを読むだけで賢いのがわかります。

小学校のプログラミング教育の指導教員不足や質確保などを解決するために、Pepperが先生となり、実際の先生は生徒のサポート役に回ることで授業の質向上などを目指しました。実際にこの形式で授業を3回実施し、事後アンケートをとったり、その様子を動画で確認したりして、成果と課題をしっかりと見出していたのが最優秀賞に選ばれた大きな要因です。

出典: FANY マガジン
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最優秀賞と優秀賞、さらに特別賞を受賞したチームには副賞としてAmazonギフト券やオリジナルグッズが送られました。見取り図の2人からその使い道を聞かれると、受賞チームのメンバーは口々に「大学に進学するので新生活の足しにします」「このプロジェクトの研究費として使いたいです」と回答。これを聞いた見取り図の2人は「堅実やなー!」と驚いていました。

「杖」の新しい可能性

最後の「AI部門」では、アワードを受賞した5チームの中から「最優秀賞」と「優勝賞」がそれぞれ1チーム選ばれます。

優秀賞に輝いたのは、新潟県立新潟商業高等学校のチーム「ワンダーランド」による「AI棒」。「AI棒」と書いて「あいぼう(相棒)」と読むこのプロジェクトは、高齢者の転倒による事故を減らすために、先端に可愛らしい犬型のカメラがついた杖を使って障害物を検知したり、遠くに住む家族に健康状態や危険を知らせたりします。

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このアイデアに対して、表彰式に参加した有識者たちが「杖を予防として使う層が見つけられるかもしれない」「個人に合わせたデザインなどまだまだ可能性が広がる研究。販売するところまで持って行ってほしい」と今後の展開を期待するコメントをしていたのが印象的でした。

見取り図・盛山「この子たちは人生24周目!?」

そしてAI部門の「最優秀賞」には、愛知県立東海樟風高等学校のチーム「MONA」による「AIマップ」が選ばれました。これは、ふだんスマートフォンで使っている地図アプリに機能を追加することで、災害時に避難場所までの安全な最短ルートをAIが導き出してくれるというもの。自治体によるハザードマップをはじめ、利用者が自ら危険な場所を情報としてカメラなどで入力することで、AIが学習してより精度の高いものになっていくというプロジェクトです。

「アプリに危険場所を入力することで、ふだん歩いている道を防災の観点で見ることができる」という点が評価されました。

出典: FANY マガジン
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最初はChatGPTに最短ルートを出してもらおうとしましたが、なかなか正解のルートを出せなかったそうです。そこにさまざまな情報や条件を入力していって、最終的に正解であるルートを導き出すところまで持っていくことができたといいます。

仮説で「こうなると思います」ではなく、実際に「こうしたらこういう結果が出せる」というところまでしっかりと検証しているところも最優秀賞にふさわしい姿勢だと感じました。

表彰式を終えて、見取り図・盛山は「この子たちは人生24周目ですか!?」とあまりの賢さに驚きを隠せませんでした。

出典: FANY マガジン
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今回のコンテストは、単に「子どもらしくていいね!」とか「発想が豊かだねー!」みたいな表面的な部分をみるのではなく、未来を担う若者たちがそのリアルな目線で考えて、社会課題を解決しよう、日本の未来を明るくしていこうと真剣に取り組んだ、これからの時代にもっとも重要な部分をみるコンテストでした。

コンテストで発表されたプロジェクトやアイデアのように、SDGsの各項目を自分たちのこととして捉え、そこに若い柔軟なアイデアが組み合わさったとき、また新たな課題解決のアイデアが生まれるのでしょう。ふだんの生活にそういった課題解決の視点を持つことが、このコンテストが生み出す新しい価値なのではないかと感じました。

今回のプロジェクトやアイデアのように、SDGsの各項目を自分たちのこととして捉え、そこに若い柔軟なアイデアが組み合わさったとき、また新たな課題解決のアイデアが生まれるのでしょう。ふだんの生活にそういった課題解決の視点を持つことが、このコンテストが生み出す新しい価値なのではないかと感じました。


表彰式のアーカイブはこちらから。

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