ピース・又吉直樹がホストとなり、アーティストの秦 基博を招いて「朗読×音楽」でコラボするツーマンライブが、3月20日(水・祝)に東京・豊洲PITで開催されました。『隣人もまだ起きている』と題されたこのライブでは、又吉がこの日のために書き下ろした作品を朗読し、秦は弾き語りを披露。満員の客席は、2人の織りなす言葉と音楽の世界に酔いしれました。
この日のために書き下ろした作品を朗読
昨年、秦がナビゲーターを務めたラジオ特番に又吉がゲストとして招かれたことをきっかけに、同い年の2人が意気投合して、今回の「朗読」と「音楽」が融合したスペシャルライブが実現しました。
ライブは又吉の朗読からスタート。ピンスポットの下に現れた又吉は「僕がこういう明かりに入ると、怪談噺の雰囲気がどうしても出てしまうけど怖がらないでください」とさっそく笑わせながら、又吉が10年以上前に恋をした女性との交流の日々を描いた作品を朗読。秦の楽曲を通してすれ違いが生まれ、最終的には女性との別れをすべて秦のせいにするストーリー展開に観客は大笑いでした。
秦の曲で又吉がポエトリーリーディング
又吉が退場すると、ステージ中央のライトの光量がより強くなって秦が登場。そのまま1曲目の『在る』を披露しました。優しいアコースティックギターの音色と歌声が響き、会場が「朗読の世界」から「音楽の世界」へ移行して、観客も自然と体を揺らします。
直後のMCで秦は、又吉の朗読を振り返りながら、「さんざん(又吉の失恋が)僕のせいになっていましたけど、あれは僕が悪いんですかね?」と苦笑い。ツーマンライブならではのやり取りに、客席から笑いがこぼれました。
3曲目の『猿みたいにキスをする』では、又吉が再登場してコラボパフォーマンス! 本来の楽曲では、“かせきさいだぁ”がパフォーマンスしたラップパートを又吉がオリジナル作品の朗読で代行すると客席からは大きな拍手が起き、秦も「見事なポエトリーリーディング」と絶賛しました。
秦「素敵なイベントだから続くといいなあ」
秦が全6曲のパフォーマンスを終え、ステージ上は再び又吉1人に。又吉は「秦さんの曲をいろいろ聞いて、そこから養分を摂取しながら書いた」という物語を朗読しました。この朗読時間がなんと21分超。新作小説と言ってもいいほどの重厚な内容で、観客の心をわしづかみにしました。
エンディングではあらためて秦が登場。今回のライブのタイトル「隣人もまだ起きている」が決まったときに、2人が真っ先に思い浮かべという秦の楽曲『太陽のロザリオ』を朗読と音楽のコラボで披露します。
歌詞の世界観を反映させた文章を又吉が読み、秦の歌声が響くと、2人の感性の融合に涙を流す観客の姿も……。パフォーマンスを終えた2人が「ちょっと決まりすぎたな」(又吉)、「めちゃめちゃ決まりましたね」(秦)と自画自賛するほどハマったコラボでした。
こうして笑いあり、涙ありのライブも終わりの時間に。秦は異色のツーマンライブをこんな言葉で振り返りました。
「本当に『朗読』と『音楽』の融合。最初に打ち合わせをしたときから、それぞれが別々というよりも、1つのライブとして形にできたらいいなと思っていたんですけど、まさに2人で作った。それを自分も体験できて本当に楽しかったです」
そして秦が「素敵なイベントだから、続いていくといいなあ」と語ると、観客からは拍手が。又吉も「楽しかったですね」と笑顔を見せ、このライブが今後もなんらかの形で続いていく予感を残してステージは終了しました。