話題の“ネオン画アーティスト”はらわたちゅん子、新作テーマは大阪! 「道頓堀エリアの要素をギュギュっと凝縮」

夜の街を彩るネオンサインにインスピレーションを受け、その情景を独自のイラストレーション「ネオン画」として描くアーティスト・はらわたちゅん子の個展が、4月18日(木)まで大阪・LAUGH & PEACE ART GALLERY OSAKAで開催されています。『我愛霓(ウォー・アイ・ネオン) ナニワ編』と題された展覧会には特別な書下ろし作品が展示され、“はらわたちゅん子ワールド”が炸裂。今回は本人を直撃し、ネオンサインの魅力や個展のみどころなどを聞きました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

アクリル板2枚で奥行きを表現

はらわたちゅん子は、大阪・宗右衛門町のネオンサインや、商業施設の飲食街の広告なども手掛けていて、大阪・梅田のLUCUA1100 (ルクアイーレ)で4月18日(木)まで開催中の『吉本新喜劇 65周年 POPUP STORE』のメインビジュアルを担当しています。

——今回の展示作品のなかには、大阪をモチーフにしたものがあり、有名ラーメン店や大阪名物のシンボルやグルメなども描かれていますね。

大阪をモチーフにした作品は6点あって、すべて新作になります。道頓堀エリアの要素をギュギュッと凝縮したネオン画です。ネオンがギラギラとしていて、“ザ・大阪”といえばここかな、と思いました。丸いアクリル板に描かれた4作品は“たこ焼き4部作”と呼んでいるんですが(笑)、今回は「ナニワ編」ということで、大阪という場所から素直にインスピレーションを受けた作品を作りたいなと思いました。

——“ネオン画”を描くようになったきっかけはなんですか? 

もともとはシンプルな線画を、自分のプライベートワークとして描いていたんです。そうするうちに、「線画って、ネオンサインとつながるものがある」と思い始めまして。ネオンサインといえば、香港のネオンが有名で、あの香港の風景が大好きなんです。じゃあ、その線画と香港の風景、アジアの喧騒の要素を入れたら、また違ったおもしろさが出るんじゃないかと思って描いてみたのが始まりです。
そのネオン画がよく描けていたので、SNSに投稿したらたくさんの反響をいただけて、自分も描いていて楽しいし、見てくれる方々も楽しんでくれているんだなと感じることができました。

——ちゅん子さんの作品は、どこか懐かしいけど新しく、色使いも独特です。どういったところからインスピレーションを受けるんですか?

インスピレーションをもらうのは、そこにある街の景色が多いです。先ほども挙げた香港のネオンといったアジアの街や日本の喧騒、それに、いまは失われてしまったちょっと古いものが好きで、昔の写真集を見たりして「この時代はこんな言葉遣いが使われていたんだ」とか、「いまの時代ではこのモチーフは使わないな」なんて思いながら、モチーフからインスピレーションをもらって作品に落とし込んだりしています。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

——平面のイラストでありながら、奥行きも感じられますね。

アクリル板に印刷しているんですが、アクリル板を2枚使っていて、裏面の板には色調をぼかしたネオンの発光部分を、そして手前の板には白いラインでイラストを描いています。そうすることで奥行きが出るので、作品としてもおもしろいかなと思いまして。街って、歩いて進んでいくものなので、そのときに感じる奥行き感を作品でも出していきたいなと思っています。

沖縄をテーマに描いてみたい

——今回の個展では、ご自身が描いた作品だけでなく、本物のネオンも展示されています。

ネオン画イラストの創作活動を続けているうちに、ネオン会社さんが興味を持ってくださって、「看板を作りたいんですが、ネオンのデザインをお願いできますか」と言っていただいたんです。そうした経緯で実際に看板を手掛けたり、私のイラストをネオンにしていただいたりしたものを展示しています。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

——手ぬぐいに描かれたネオン画もありますね。

2021年に展示をさせていただいて、そのときに制作した「ゆのまちシリーズ」「よいまちシリーズ」といいます。昨年末にも、ホテル雅叙園東京さんの、東京都指定有形文化財にも指定されている「百段階段」で「ゆのまちシリーズ」を展示させていただきました。

——『吉本新喜劇 65周年 POPUP STORE』のメインビジュアルも手掛けています。

そうなんです。「吉本新喜劇」は、土曜のお昼時にテレビで放送されているので、一家団らんをイメージしまして、65年間にわたってお茶の間を沸かせてきたということをテーマに描いています。

——今後、掘り下げたいテーマはありますか?

やりたいなと思っているのは、各土地でのフィールドワークです。その土地に滞在して、実際に歩いたりお店を訪ねたりしてみたいです。各土地の固有の場所があったりするし、その土地ならではの楽しさを体験して、見つけていって、それを落とし込んだ作品をいろんな場所で創作したいと思っています。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

今回も、千日前の道具屋筋を歩いたんですけど、すごく楽しくて、通り抜けないといけないのに「あの店に入ってみたい」と思う店がたくさんありました(笑)。それで、今回の個展がその始まりとして、今後も続けていきたいなという思いを込めて「ナニワ編」と付けました。

——目をつけている場所はどこですか?

どこも素敵なんですけれども、沖縄はすごく楽しそうですよね。何度か行ったことがあるんですけど、やっぱり異国情緒もあって楽しかったので、次に行くときは創作の視点を持って訪ねてみたいですね。

個展概要

『我愛霓(ウォー・アイ・ネオン) ナニワ編』
日程:4月5日(金)~14日(日)
場所:Laugh&Peace Art Gallery
営業時間:13:00~18:00
入場料:無料
作家在廊日:4月14(日)

詳細はこちらから。