上方漫才界でもっとも長い歴史がある「第59回上方漫才大賞」が、4月13日(土)に大阪市内で開催され、大賞に2回目の受賞となる笑い飯(西田幸治、哲夫)が輝きました。会場には若手時代からの盟友、千鳥(大悟、ノブ)が駆けつけて受賞をお祝い。合わせて発表された奨励賞には5年連続のノミネートだった見取り図、新人賞には3年連続ノミネートの天才ピアニストが選ばれました。
新人賞・天才ピアニスト、奨励賞・見取り図が喜び爆発!
大勢の観客が詰めかけた、大阪・オリックス劇場。まずは新人賞からスタートです。ノミネートされたのは、出番順にドーナツ・ピーナツ(ピーナツ、ドーナツ)、バッテリィズ(エース、寺家)、ぐろう(家村涼太、高松巧)、フースーヤ(田中ショータイム、谷口理)、ダブルヒガシ(大東翔生、東良介)、天才ピアニスト(ますみ、竹内知咲)、豪快キャプテン(べーやん、山下ギャンブルゴリラ)という結成10年目までの7組のコンビ。各組がネタを披露し、大いに盛り上げました。
そして審査の結果、今年の新人賞に選ばれたのは天才ピアニスト。2人はガッツポーズを連発して、喜びを爆発させます。
奨励賞には、出番順に見取り図(盛山晋太郎、リリー)、チキチキジョニー(岩見真利、石原裕美子)、すゑひろがりず(南條庄助、三島達矢)、ヘンダーソン(子安裕樹、中村フー)、ロングコートダディ(堂前透、兎)の5組がノミネート。
それぞれが持ち味を生かした激戦を勝ち抜いたのは見取り図。リリーは大きくガッツポーズ、盛山も拳を握って「よっしゃー!」と雄叫びを上げました。
サブロー「一言一言に深みが出てきている」
そして、いよいよ大賞の発表です。59回目の上方漫才大賞に輝いたのは、笑い飯! ステージに2人が姿を見せると、会場から歓声と拍手が起こります。
さっそく披露したネタは、宇宙人をテーマに笑い飯ならではのボケが連発する掛け合いで、会場は爆笑。大賞受賞も納得の盛り上がりを見せました。
2回目の大賞受賞となった笑い飯。10年前の1回目の受賞時には「予感があった」と振り返る西田ですが、「今回は、まったく思ってなかった。知らされたときは『なんで?』と思った」と明かします。哲夫も「最近の高い目標だったので、すごくうれしい」と笑顔。審査委員の大平サブローは受賞理由について、「円熟味を増した漫才。漫才の一言一言に深みが出てきてる」と太鼓判を押しました
千鳥「(笑い飯は)師匠みたいなもの」
ここで、若手時代から苦楽をともにしたという千鳥がサプライズゲストとしてステージへ! 2人から花束が渡されると、会場からひときわ大きな拍手が起こりました。
出会ったころについて、ノブが「大悟以外で初めて見た芸人が笑い飯で、めちゃくちゃ影響を受けた。追いつけ追い越せでやってました」と話すと、大悟も「師匠みたいなもんですよ」とうなずきます。
笑い飯、千鳥の2組が、夜中に同じ公園の端と端でネタを練習し、明け方にダメ出しをしあったり、大悟の部屋で4人一緒に住んでいたことがあったり、というレアなエピソードも。ノブが「われわれ世代で(大賞を)3回獲った人はいない、(笑い飯が)そのうちそうなるんじゃないか」と言うと、大悟と2人で改めて「おめでとうございます」と受賞を祝いました。
「まだブカブカの学生服を着ている感覚」
終了後の囲み取材で改めて受賞の感想を聞かれた哲夫は「率直にうれしいです」と話すと、「コロナ禍でやりにくい時期にも、全国ツアーにたくさんのお客さんが来て笑ってもらいました。その流れで受賞できたらうれしいと夢見ていたので、それが叶った感覚です」と喜びを語ります。
一方の西田は、こう言って気を引き締めました。
「(大賞を)2回、3回と獲っているのは、すごい先輩ばかり。そこに自分たちが至っているか、自信がない部分もあります。(今回の受賞は)まだ大きめの学生服を着ているようなブカブカの感じがあるので、これからジャストサイズになるように精進したいと思います」
そして千鳥については「20数年来の知り合い、2組ともこれまで続けてこられたのが何よりと思います」とコメントしました。
3回目の受賞の可能性については、「大賞を獲ってもおかしくないコンビがいっぱいいるので、そのなかで3回目を狙いにいくのは……。いただけるなら全然いただくんですけど」と西田。哲夫は「90歳で現役やったら、89歳から(3回目に向けた)モーションかけ出そうかな」と笑わせました。
見取り図・リリー「ようやく漫才師として認められた」
5年越しの悲願を達成し、奨励賞を受賞した見取り図・盛山は「これまで賞を獲れなかったのがコンプレックスだったので喜びもひとしおです」と安堵の表情。リリーも「漫才師としてようやく認められた感があります」とうなずきます。
同期、後輩が賞を獲ったときには「めちゃくちゃ悔しかった(盛山)」「泣きました(リリー)」という時期もあったとのこと。それだけに今回、受賞がわかった瞬間には「自然に声が出てました」と盛山。もし呼ばれなければ、「サブロー師匠に馬乗りになろうかと」と笑わせました。
新人賞の天才ピアニスト・竹内は受賞について、「歴史がある賞なので、そこに名前が入るのは光栄です。漫才で勝ちたいという気持ちで去年からやっていたので、賞をいただけたのはうれしい」と手応えを語ります。
一方のますみも「ノミネートされても賞を獲れないというターンになりそう、というのを感じていた」と明かすと、「いま劇場で強い人たちと戦って、いちばんおもしろいというのを見せられたこと、そして大阪にいる自分たちが上方漫才大賞に関わる賞を獲れたのがうれしい。絶対に獲らないといけないと思っていました」と喜びを語りました。