“芸歴30周年”林家菊丸が記念独演会の意気込み語る「全国のどこでも自分一人で独演会ができる噺家に」

今年で芸歴30年となる落語家の林家菊丸の記念公演「文化庁芸術祭大賞受賞&芸歴三十周年記念 三代目林家菊丸独演会」が4月28日(日)の東京公演からスタートし、これから名古屋、奈良、三重と各地をまわっていきます。9月23日(日・祝)に開かれる大阪・なんばグランド花月(NGK)での公演は千穐楽に位置付けられ、ゲストに春風亭昇太を迎え、菊丸は『井戸の茶碗』、『看板のピン』、そして新ネタを披露する予定。5月14日(火)に会見を開いた菊丸が、独演会への意気込みや見どころを語りました。

出典: FANY マガジン
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「挑戦している姿を見せたい」

会見で菊丸は、千穐楽に位置づけられるNGKで口演するネタについて、次のように説明しました。

「前座なしで三席やります。まずは『看板のピン』を。陽気で明るい、わかりやすい噺をお楽しみいただこうと思います。そして、春風亭昇太さんの落語を聞いてもらい、中入り前はネタおろし(新ネタ)の『お楽しみ』です。ここではあえて前向きに、ネタおろしという挑戦をさせていただこうと思います。中入り後の『井戸の茶碗』は文化庁芸術祭の大賞に選んでいただく大きなきっかけとなった噺で、高評価をいただいた演目でございます。ツアーのどの会場でも『井戸の茶碗』はトリで演じると決めております」

ネタおろしについて菊丸は「すごく怖い挑戦」と表現しますが、「ファンに菊丸が挑戦しているという姿を見せたい」と意気込みました。

出典: FANY マガジン
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ゲストの春風亭昇太については、こう話します。

「落語芸術協会会長という要職にある方ということと、『笑点』の特番などを含めて東京の噺家さんの中でも非常に接する機会の多い方です。なによりも昇太さんの落語が好きなんです。予定調和ではなく、かといってアドリブでもなく、きっちり繊細に作っているようにも見せず、とにかく陽気で明るい。そして爆笑に持っていく。すごく好きな先輩なので、30周年に華を添えてもらいたいと思います」。

トリネタの『井戸の茶碗』は、菊丸なりの工夫も取り入れると明かしました。

「物語の舞台が江戸時代、しかも武家社会の話でございますから、現代と通じないところが多いわけですよね。侍の娘をまた別の侍に嫁に出すという描写がありますが、当時は親の一存だけで結婚を決めてしまうのが当たり前でした。それはそれで当然、ありだと思いますが、それでは現代の方が違和感を抱かれるかもしれないので、私は恋愛性を少し含ませました。そうすることで聞いている人もストンと腑に落ちると思います。古典落語をするうえでも、時事ネタを入れるとか、そこにカタカナの横文字を入れて現代風にするとか、そういう演出ではなくて、いまの時代の人でも違和感がない、そういうところを常に意識しています」

出典: FANY マガジン
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「5年ずつハードルを越えてきた」

これまでの芸歴30年について菊丸は、こう振り返ります。

「この世界に入って、まず『10年までに独演会をする』という目標を立てました。10年目にトリイホールという、いまはなき100人ぐらいの箱で初めての独演会をしました。それから毎年続けています。15年のときは創作落語を勉強してみようと。それで桂三枝(当時)師匠のところに行きました。師匠から習ったことは古典にも生きていましたね。そして20年までに中堅の(噺家)が取れる賞を取ることと、僕のまねき看板を出していたいということを目標にしていて、繁昌亭大賞の「奨励賞」と大阪文化祭の「奨励賞」をいただきました。それが一門の中で話題になり、『菊丸という名跡を当時の染弥=私につがせよう』となって、丸20年で菊丸を襲名しました。私は5年ずつ、少し頑張ったら越えられそうなハードルを前に立てて、越えてきたような感じがします」

今後、芸歴35年、40年というキャリアに向けて、「全国のどこでも自分一人で独演会ができる噺家になりたい」と語ります。

「5年先を見据えて、ゲストなしで、いろんなところで独演会をやれるようになる。これが私のこれからの夢です」

出典: FANY マガジン
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そんな菊丸に自己アピールにしてもらうと、「落語通にも、落語初心者にも対応できる。どんなお客さまにも楽しんでもらえるタイプ」と回答。そして「いまは、少しはそうなったなと思っています」と、はにかみました。

また、桂吉弥、桂春蝶ら同期の噺家とも力を合わせて上方落語の人気の底上げを図りたいと意気込みました。

「いま東京の落語人気はすごいので、それにあやかるようにして、われわれ1994年入門組が上方落語界のブランドイメージももっと上げていかないといけない」

公演概要

「文化庁芸術祭大賞受賞&芸歴三十周年記念 三代目林家菊丸独演会」
【名古屋公演】
日時:5月25日(土)開場14:30/開演15:00
会場:大須演芸場
料金:前売3,500円 当日4,000円

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【奈良公演】
日時:6月8日(土)開場13:30/開演14:00
会場:たけまるホール
料金:前売2,500円 当日3,000円

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【三重公演】
日時:7月7日(日)開場13:30/開演14:00
会場:四日市市文化会館 第2ホール
料金:前売2,500円 当日3,000円
チケット:よんぶんネット/四日市市文化会館/四日市市三浜文化会館 ほか

よんぶんネットはこちらから。

【大阪公演】
日程:9月23日(月・祝) 開場18:40/開演19:00
会場:なんばグランド花月
料金:一階席4,000円 二階席3,500円(前売・当日)
※チケット一般販売:6月1日(土)11:00~

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【京都公演】
日程:11月16日(土)
会場:よしもと祇園花月

※その他の詳細に関しては後日発表
※チケットは順次販売を開始します。