西川忠志の吉本新喜劇入団15周年記念公演『感謝』が、6月16日(日)に大阪・なんばグランド花月(NGK)で開催されました。忠志は、西川きよし・ヘレンの長男として生まれ、大学時代から東京を拠点に俳優として活動したあと、2009年に吉本興業に移籍し新喜劇に入団。この日のステージには若手からベテランまで出演する豪華キャストに加え、忠志が敬愛する女優・戸田恵子もスペシャルゲストとして出演し、15周年に花を添えました。
“西川ファミリー”登場のサプライズ
公演冒頭、忠志は多和田上人、小林ゆうら若手をしたがえ『WORLD ORDER』『THE GREATEST SHOWMAN』の楽曲に乗って本気のダンスを披露。これに並行して舞台上には、お馴染みの花月うどんのセットが組まれていき、物語が幕開けします。
そしていきなり、きよし、ヘレン、かの子という“西川ファミリー”が「いや〜、お腹空いたな」と登場! 思わぬサプライズに、客席からはどよめきと大歓声が起きます。
「かわいい」と言われたヘレンが、照れてかの子をかばんでどつくという新喜劇お約束のやりとりも。そんなヘレンを見て、きよしは「何十年ぶりの新喜劇で力入ってんなあ!」と、いつも以上に目を丸くします。
そして、きよし自ら志願して従業員役の清水けんじにおぼんで叩かれるひと幕も……。
花月うどんの大将と女将は、内場勝則・未知やすえという実生活でも夫婦の2人が演じ、清水のほか、すっちー、酒井藍、そして忠志という顔ぶれがアルバイトとして働いています。忠志はNGKの客席通路を通って舞台に上がり、ボケまくるすっちーと酒井に対し、持ち前の真面目キャラ全開で笑いを起こします。
忠志はかつて、記憶をなくして街をさまよっていたところを、見かねたやすえにアルバイトとして雇われたという設定。そのため、忠志はやすえ夫婦に恩義を感じ、日々、店のために東奔西走しています。
花月うどんをとりまく人たちも個性豊かで、向かいのスナックで働くホステス役に浅香あき恵、山田花子、島田珠代、ボーイ役に松浦真也。やすえ夫婦の結婚記念日にダンスをプレゼントしたいと奮闘する忠志らのために、コーチを買って出た謎の男にアキ……と人気者が次々登場して息つく間もありません。
『アンパンマンのマーチ』の生歌も!
忠志が財閥の御曹司かもしれないと聞いたあき恵、花子、珠代がアタック合戦を繰り広げるなか、スナックのママ役として戸田が登場すると、観客からは、「待ってました!」の大喝采!
戸田は自身の出演ドラマ『お水の花道』(フジテレビ系)のセリフで粋にホステスたちを諫めたかと思えば、あき恵、花子、珠代の新喜劇ギャグをノリノリで繰り出す変幻自在ぶりを見せます。
ついには、パンティーテックスを始めようとしたところで忠志が阻止すると、戸田は「ここに、いちばん力入れてるのよ!」と叫び、観客を大喜びさせました。
さらに戸田が、声優として出演するアニメ主題歌『アンパンマンのマーチ』を披露する場面も。観客は美声に聴き入りました。
カーテンコールでは、忠志が出演者や観客に感謝。ヘレンは「大勢の皆さまが、忠志の舞台、吉本新喜劇をご覧いただくのは本当にありがたい。生きててよかったなと思いました」と喜びます。戸田は「あこがれの舞台に立てました。ついにここに立つことができて、こんなにうれしいことはない」と笑顔を見せました。
お手本は『サンセット大通り』!?
終演後の囲み会見には、忠志、すっちー、珠代が出席。忠志は新喜劇座員と先人たち、スタッフ、観客に丁寧に感謝の言葉を述べたうえで、「当たり前ですが、ひとつの作品を作ることがどれだけ大変なことか、15年の節目に自分がやらせていただくことで、とてもよくわかった」と振り返ります。
すっちーは「真面目でまっすぐ誠実っていうのが、ここまで来たらボケになる。それを初めてやった人なんじゃないか」と忠志の存在感を称えました。
オープニングは、忠志がブロードウェイミュージカル『サンセット大通り』を見たとき、何もない空間でキャストがダンスを踊るうち、徐々にセットが降りてくるという演出に感激したそうで、「いつかやってみたいと思っていた」とのこと。
セットが完成するやいなや、西川ファミリーが登場するという流れについてすっち―が「オープニングからの一連のインパクトでいうと、いままで見た中でも上位に入る」と称賛すると、忠志は「うれしいです!」と笑顔を見せました。
一方、戸田の活躍には一同、感動しきり。忙しい合間の出演になるため、当初は「花束を持って最後に出ることぐらいしかできない」と言われていたそうですが、会食の席で忠志が物語のあらすじなどを熱弁したところ、戸田は「忠志のためにやる」と本編への出演も快諾。『アンパンマンのマーチ』では「アンパンマン」の部分を「忠志くん」にアレンジして歌うなど、サービス精神も旺盛でした。
すっちーは戸田について、「上品なんだけど、おもしろいことをやっている。ええもん見せてもらいました」と感服。一方で珠代は、パンティーテックスの決めポーズについて「指先の部分が不正解です。オリジナルはこう」と、まさかのダメ出しをしていました。
最後に忠志は、手応えをこう語りました。
「僕が(公演を)やることで、おひとりでも多くの吉本新喜劇を初めてご覧いただく皆さんがいらっしゃって、楽しかった、また来たいなと思っていただけたなら、今回やった意味があったと思います」
第2弾にも期待が集まりますが、すっちーは「楽しいんですけど、疲れるんですよ。体力的にもたないので、あまり短い期間でパンパーンとやられると……」と予防線を張って笑わせした。