7月7日(日)に開催される若手芸人の登竜門『第45回ABCお笑いグランプリ』決勝戦に唯一の女性ピン芸人として出場するのが、芸歴4年目のやました。昨年11月から『兵動大樹のほわ~っとエエ感じ。』(ABCラジオ)に隔週レギュラー出演中で、4月からは大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)で劇場メンバー入りするなど徐々に頭角を現しています。そんな彼女の素顔を、30問30答で深堀りします!
最低限やることができたら目立てるのかな
——『ABCお笑いグランプリ』決勝進出、おめでとうございます! 7月7日に向けて、いまの心境は?
わけがわからないですよね。(準決勝では)思ってたよりは笑っていただけたかな、とは思ったんですけど、純粋にウケをいっぱい取っていらっしゃる先輩もたくさんいましたし、本当に「女がピンで1人しかいなかったから、枠をもらえただけや」と思ってるんで、それはありがたいです。
——謙虚です(笑)。マンゲキメンバーから、お祝いの言葉もあったのでしょうか。
私はNSC(吉本総合芸能学院)大阪43期生なんですけど、まわりでもコツコツ続けている人が最近、徐々にいろんな場所で結果を出してきてます。私みたいなピンがちょっと結果を出したり、『UNDER5 AWARD 2024』(6月23日開催)で優勝した清川雄司くんも同期なんで、“ピンの期”と言ったら言い過ぎですけど、珍しい期ではないかなと思います。
だから、みんなからのお祝いの言葉も、そのニュアンスを含むというか。漫才コンビなら、ほかのコンビに「おめでとう」と言う余裕はそんなにないと思うんです。でも、違うからこそ素直に「おめでとう」と喜んでくださる方がいっぱいいるなと思います。
——当日、やましたさんの初戦は「Bブロック」(青色1号、エバース、フランスピアノ、やました)ですが、意識している相手はいますか?
もしも、ダウ90000さん(Aブロック)と同じブロックになったら、そのうちの1人に間違われる可能性があったんですけど(笑)、Bブロックは男性ばっかりなんで、本当に、ふつうに最低限やることができたら十分目立てるんかなと思ってます。なので、あまり張り切らないようにしようと思ってます。
ライバルに負けて「心が折れた」NSC時代
──ここからは、事前にこちらの質問にお答えいただいた「30問30答」をもとに、気になるところを深掘りしてうかがえればと思います。
Q1:まずは、改めて簡単な自己紹介をお願いします。
兵庫県尼崎市出身です。部活は中学から大学まで10年間吹奏楽部で、パーカッションを担当していました。クラスの教室ではほとんど声を発さない、おとなしいタイプでした。でも部活とか友だちのなかだと、ようしゃべるほうでした。
Q2:お笑い芸人になったきっかけは?
就活をしたくなかったので、吹奏楽に似た仕事としてお笑い芸人を志しました。吹奏楽の、長い時間をかけて練習して、短い本番に挑むっていうところがお笑いの舞台に似てるのかなって。
進行さんとか裏方の仕事も興味があったから、NSCに入るときにビジネスコースとお笑いコース、どちらに行くか迷ったんですけど、表舞台に立つ側がいいかなと思って選びました。
Q3:NSC時代の印象に残っているエピソードは?
1年の最後に1位を決める「NSC大ライブ」で、当時、そこまで注目されていなかった清川雄司くんに予選で負けたことです。
私はNSCのときから女性ピンだから、ふつうにしとくだけでも目立つ、と思って過ごしてたんです。「大ライブ」の決勝にも残る、という位置付けで見てもらえていたと思うんですけど、結果的に進出できなかった。清川くんの名前が呼ばれたときは、同期が「どんでん返しやな」ってつぶやいてるのも聞こえて、めちゃくちゃ悔しかったですね。
Q4:芸歴1年目はどんな年でしたか?
NSC時代もずっとピンだったんですが、「大ライブ」で心が折れてピンとしての自信がゼロになったとき、元相方に声をかけられて男女コンビを組みました。やるなら1年間はやりたいと思ってて、1年やり切ったころにすれ違いになって解散して、やっぱりピンがいいなと思って、いまに到ります。いまとなれば、コンビやトリオを見てたら「他者とようやるな~」と思います。
マンゲキのエレベーター前が「定位置」
Q5:どんな芸人になりたいですか?
友近さん。最初は、「男性芸人の中で戦える方」っていうので憧れてたんですけど、いまは「女性のピンやからあれだけすごいんやな」とも思ってて。
友近さんのレベルまで行くと、女性だから特別扱いされてウケてるでもないし、でも女性だからおもしろいという点は絶対に捨てられない部分でもあると思うんで、そこが絶妙やなと思ってます。あんな立ち位置に憧れます。
Q6:尊敬する先輩芸人は?
しがしがさんと、真輝志さんです。2人ともピン芸人で、しがしがさんはめちゃくちゃ面白いんですけど、すごく華がないです。「しがしが軍団」のメンバーは私しかいません。「しがしがさんを尊敬しています」と言うと、先輩から「やめとけ!」と言われますが、ホンマに面白いですし、去年は一緒に『M-1グランプリ』に出させてもらいました。
真輝志さんとはまだちゃんと深くお話したことがないんですけど、ピン芸人として尊敬してます。
Q7:アピールしたいところは?
わりと自分を客観視できるタイプだと思います。私は嵐のファンでもあるので、ファンの女の子たちの気持ちが理解できるというか。
ファンの女の子は、自分が推してる人のそばにいる同業者の女性のことが基本、好きじゃないので、男性芸人を応援している女の子たちが私を見て不快になってほしくないし、女の子たちの邪魔をしたくないな、と思ってます。
Q8:所属劇場であるマンゲキでの自分の立ち位置は?
そんなものはまだないです。まだ、ぜんぜん慣れないです。楽屋でボーっとできる場所がほしいです。
使ってないエレベーターの前あたりによくいるんですけど、そこは代々、ムームー大陸の山﨑おしるこさんや、ハイツ友の会さんたちがいた場所だそうで、先輩方に「いま、あの場所にはやましたがおる」と言ってくださったおかげで、そこが定位置になりつつあります。
パーテーションを持ち込んで囲いを作りたいところですが、もっとネタをがんばって結果を出さないと。結果を出せばパーテーションを持ち込めるかも知れないので、モチベーションになってます。
Q9:1日だけ誰にでもなれるなら誰になる?
椎名林檎さん。なりたくないですか? なんかもう、合法でめっちゃエロいじゃないですか。別に同性から見ても、異性から見ても。でもイヤらしくないので、最高やなと思います。だから、そんな見られ方を1日だけしてみたいですね。
それで「しんどっ!」ってなって、1日でやめたいです。あんなきれかったら保つのがしんどいでしょうし。
兵動から「やましたー!」の激励LINEが
——「30問30答」からの深掘り回答、ありがとうございました! ところで、隔週レギュラー出演中のラジオ『兵動大樹のほわ~っとエエ感じ。』のお話も聞かせてください。
『兵動大樹のほわ~っとエエ感じ。』は、前任の先輩も6~7年くらい、しかも毎週出演されていたんで、急いで持っているものを全部出すとすぐ飽きられるなと思うし、あんまりガーッといかなくていいのかなって思って逆にラクにできてますね。大半のファンの方が兵動さん、宇野ひろみさんのファンなので、私が張り切ってなにかする場所でもないと思いますし。
——やましたさんの『ABCお笑いグランプリ』決勝進出に、兵動さんも喜んだのでは?
『ほわ~っとエエ感じ。』のグループLINEがあるんですけど、ラジオ収録があった日が準決勝最終予選と同じ日で、兵動さんが「チェックしとくわ」とおっしゃってて、結果発表配信直後に「やましたー!」とLINEを入れてくれました。皆さんにも「よくやった!」と喜んでいただけました。ありがたかったです。
——7月1日(月)スタートのBSよしもとの新情報番組『発信Live ジモトノチカラ!』では、大阪(水曜)のサブMCを担当していますね。
全国区で売れる、という状態になるための、すごくありがたい段階をいただいたと思ってます。でも私の中では、数年後かにやっとそのチャンスが来ればいいかな、という感じだったので、『ほわ~っと』もそうですけど、思っていたより早くいただけてラッキー! って思っています。
——スタジオ出演者は大阪のMCを務めるザ・プラン9のヤナギブソンさん、西川かの子さんなどベテラン揃いです。
スタッフさんが打ち合わせで「お優しそうな方々をキャスティングしたんです」とおっしゃっていて、「そ、そうなん!?」となりました。私もそうですけど、東京のサブMCにはCRAZY COCOさんが入っていて、名前に“CRAZY”って入ってる人が? 合ってるのかな? とかはちょっと思いました(笑)。どんな番組になるか、めちゃくちゃ楽しみです。