ピン芸人・馬場園梓による単独ライブ『BBZ selection』が9月22日(日)から全国3カ所(東京・大阪・山形)で開催されます。2021年のコンビ解散後、3回目となる単独ライブを控えた本人を直撃! ピン芸人としての再始動や、ネタの作り方の変化、昨年の『THE W』への挑戦で気づいたことなどについて、たっぷりと語ってもらいました!
観客の反応に「生きててよかった!」
──長年コンビで漫才をやってきた馬場園さんが、ピン芸人として再出発したときのことについて教えていただけますか。
これまで漫才だけを作ってきたので、「ツッコんでくれる人がいないのが、こんなに難しいのか」と思いました。どんなボケも言いっ放しになってしまって、収拾がつかない。最初のころは正解がわからなくて、パニックになりました。
だから第1回の単独ライブは、もうわからないまま「やったれ!」という感じで……。多少つかめてきたかな? と思えた第2回単独で予想通りの反応が返ってきたときには、もうめちゃくちゃ嬉しくて、「生きててよかった!」と思いましたね。
──今回は、さらに進化した3回目となるわけですね。
ピンネタをやっているなかで、「うわ、楽しい」がどんどん芽生えてきています。いろんなことが新鮮で。いま養成所出たての1年目みたいな気持ちです。たまに劇場に出るともう若い後輩ばっかりですけど、それも楽しい。
──まわりが後輩ばかりなのは、気になりませんか?
そこは関西人の強みかもしれないです。気にならない感じ。関西人って、服ほめられたら「これ1,900円やで!」って安く買えたことを自慢するんですよ。高いものをいいと思っていないし、上にいることをすごいと思ってない。だから楽しいばっかりです。
山形のスターになった同期との縁
──第3回となる今回の単独ライブ『BBZ selection』は東京、大阪に加えて山形でも開催されます。なぜ山形で開催することになったんでしょう?
コロナ禍で仕事が全部なくなったとき、「山形住みます芸人」をやっている同期のソラシド(本坊元児、水口靖一郎)が自分たちのラジオにリモートゲストで呼んでくれたんです。
私の母が山形で生まれ育っているんですが、その話をしたら「馬場園の母方の親戚はいまも山形にいて、ゆかりがあるんですよ」ということを山形の皆さんに伝えてくれたんですよね。以来、ありがたいことにちょくちょく山形の番組に呼んでいただけるようになって。今回はぜひ山形でやりたいと思ったんですよ。
──そんなご縁があったんですか。ソラシドの山形での影響力がすごいですね。
いま山形でレギュラー9本くらいあるんじゃないかな。だからもう大スターみたいになってて、一度、本坊と山形の街を歩いていたら、通りかかった車の窓が開いて「本坊さん!」って。ヨン様ぐらい人気があります!(笑) そんなソラシドも、今回の単独ライブにゲストで来てくれます。
──ピンになった最初のころを乗り越えて、現在はどんなふうにネタを作っているんですか?
ロケとかでいろんな場所に行かせていただくじゃないですか。そこで初めて見る土地土地の人の気質であったり、間近で見る仕事であったりをネタに落とし込んでいます。何かしらモデルとなる人を見つけると、ちょっと膨らませて。そのキャラクターになりきりたい、マネしたいんですよね。
『THE W』で気づいた「まわりは敵ではなく仲間」
──今後の展望について聞かせてください。賞レースにも挑戦しますか?
はい。去年の『THE W』が、本当に久しぶりの賞レースだったんですよ。NGK(なんばグランド花月)やルミネ(theよしもと)に漫才で立たせてもらうときの10分尺に慣れていたので、いきなり1人で、しかも予選の2分尺には戸惑って。で、予選に行ってみたら、空気が予想とぜんぜん違ったんですよ。
──どう違ったんですか?
私がM-1に参加していたころは、まわりが全員敵で、そのなかでどう生き残っていくかという感じだった。ギスギスしていて、誰かがウケてたとか、決勝(進出)確定とか聞いたら素直に喜べなかったんです。
でも、THE Wの予選会場はすごく和気あいあいとしていて、みんな「すごいよかったよ!」「ウケてたよ!」とお互いを認め合いながら戦ってた。最初、それが信じられなくて。「いやいや、敵のこと喜んでるけど、もしこれで自分落ちてたらどうすんの?」と思ってたんですよ。
──馬場園さんが組んでいたアジアンがM-1決勝に進出した2005年ごろは、とくにバチバチ感があったように思います。
本当に。だから人を称えるとか、認めるとか、本当に意味わかんなくて。でも、THE Wの予選が進むほどに、まわりは敵じゃないとわかって、自分が恥ずかしくなったんです。
みんな、自分自身と戦ってるんですよ。自分のなかで高みを目指している。まわりは先輩・後輩関係なく、それぞれ高みを目指す仲間なんです。それはTHE Wで気付かされたことでした。この芸歴になって、初めてそう思えました。
自分自身と向き合う単独ライブ
──お互いを称え合う空気感は『THE W』だから、というのもあるんでしょうか?
いまの時代はM-1、キングオブコント、R-1、どれもみんなそういう感じなんじゃないかな。でもやっぱり、むかしから女性芸人はひとくくりにされることも多いから、とくに仲間意識は強いんじゃないかなと思いますね。
──馬場園さんがお笑いを始めた時期は、女性の芸人さんの数も、いまよりずっと少なかったと思います。
まさに男社会でした。「女芸人」と言われるのがすごくイヤでしたし、男女で分けるんじゃなくて、面白いかどうかで分けてくれよと思うくらいトガッてました。だから、「男を超えたいんだ、漫才でいちばんになりたいんだ」と常に戦う姿勢が当たり前になっていたのかもしれない。
いままでの自分を全否定したくはないので、そんな過去もいい経験だとは思います。あのころのM-1があったからこそ、漫才を突き詰められたとも思うし。だけど、M-1のせいで壊れたこともいっぱいあるとは思いますね。だからなおさら、いまの環境がすごく温かいものだと思える。
だから単独ライブも、いままでだったら戦う武器を磨くためのものだった。でも、いまは自分自身と向き合うものになっている気がします。そうやって新鮮な気持ちで第3回の単独ライブにも取り組んでいけたらと思います。
公演概要
馬場園梓 第3回単独ライブ『BBZ selection』
【東京公演】
日程:9月22日(日) 19:45開場 20:00開演
会場:ヨシモト∞ドーム ステージⅠ
【大阪公演】
日程:10月6日(日) 17:30開場 18:00開演
会場:大阪日本橋ポルックスシアター
【山形公演】
日程:11月3日(日) 13:30開場 14:00開演
会場:山形テルサ アプローズ
ゲスト:ソラシド
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