「いまは振り出しに戻った感じ」大阪と東京に分かれて10年…アキとケンが語る水玉れっぷう隊の“現在地”

お笑いコンビ・水玉れっぷう隊(アキ、ケン)は今年、結成32年。アキは2014年から大阪へ拠点を移し、現在は吉本新喜劇の座長として活躍。先日発表された「吉本新喜劇座員総選挙2024」では第1位に輝き、見事に3連覇を果たしました。一方のケンは、東京・新宿のルミネtheよしもとの「SPコメディ(旧・ルミネtheよしもと新喜劇)」など、東京での活動を続けています。
現在、全国で公演中の「吉本新喜劇65周年記念ツアー」では、アキが座長を務める11月23日(土・祝)の新潟公演にケンがお祝いゲスト出演予定です。そこでアキとケンに公演に対する意気込みや、それぞれが考える“いまの水玉れっぷう隊“、そして相方に対する思いなどをたっぷり語ってもらいました。

出典: FANY マガジン
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ケン「アキの3連覇で僕にも注目が集まる」

――アキさん、「吉本新喜劇座員総選挙2024」第1位、そして3連覇おめでとうございます。

アキ ありがとうございます。僕に投票してくれた方々のことを聞いたら、40~50代くらいの方がすごく多いんですって。

新喜劇の総選挙企画ではありますが、新喜劇で活動している10年だけでなく、水玉れっぷう隊として大阪で活動した10年、そして東京で活動した10年も含め、応援してくださった方々が票を入れてくださったのかなと思います。改めて、32年の芸能生活を応援し、支えてくださったすべての方々に感謝する機会になりましたね。

――ケンさんはこの結果を聞いてどう思いましたか?

ケン 「すげえな!」って思いました。アキの3連覇は東京にも轟いていますから、よくご一緒する宮川大輔さんとか、いろいろな先輩方から「アキ、やりよるなー」って言われますし、後輩もわざわざ「ケンさん、アキさんが3連覇しましたよ! すごいですね」と、とにかくみんな「すごいですね」って言うてきます。

それで、何か知らんけど、総選挙に出ていない僕が東京でベベ(最下位)やって言われています(笑)。僕は東京で“3連敗”しているんですよ。

アキ それは相方に言われました。何の3連敗がわからんけど、「アキが連覇するたびに俺が負けたことになんねん!」って(笑)。

出典: FANY マガジン
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ケン たぶん、メッセンジャーの黒田(有)あたりが言い出したんちゃうかなって思ってるんですけど。

アキ みんな言うてます。全体的に言うてます。

ケン あと、僕も言うてます(笑)。

アキ おいしいと思って!

ケン アキが3連覇することで、僕にもちょっと注目が集まるのでありがたいですね。

ケンの新喜劇出演は寛平GMがきっかけ

――「吉本新喜劇65周年記念ツアー」が7月からスタートしていますが、手応えはどうですか?

アキ 65周年というお祭り感覚はありますが、僕も含め、多くの座員やお客さんは、やなぎ(浩二)師匠や(間)寛平師匠のように65年の重みが実際にはわからないんですよね。何がいちばんわからせてくれるかというと、60~80代くらいの御年輩の方に、「いま君が座長やろ。頼むで、新喜劇」って声をかけていただくこと。

そんなときに「あぁそうか、いろいろな方が若いころから観ている新喜劇が伝統として守られてきているんだ」って、そのすごさを感じるんです。

――ケンさんは今回、アキさんが座長を務める新喜劇に出る予定ですが、どんな気持ちですか?

ケン いままでもアキと絡む機会はちょこちょこあったんですよ。寛平師匠のイベントでやった新喜劇とかね。だけど今回のように、吉本新喜劇の本公演みたいなところに入れてもらう機会はもうないと思っていました。東京でSPコメディはやっていますが、僕は新喜劇の座員ではないので。

SPコメディを一緒にやっている新喜劇GM(ゼネラルマネージャー)の寛平師匠に、「アキちゃんと全国ツアーを回ってんねんけど、ケンちゃんもどうや?」と言ってもらって、僕はまず「いいんすか?」って言いました。そうしたら、(寛平のモノマネで)「ええやん、ええやん、アキちゃんとケンちゃん、コンビなんやろ~」って。

出典: FANY マガジン
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アキ いまモノマネとかいる?(笑)

ケン モノマネも伝えてもらいたいやん。“(モノマネ)”って書いてくださいね。そんな感じだったので、改めてどうですか?ってオファーをもらったときは、これは特例として、特別な思いを持ってやらなあかんなって思いました。こんなんてあんまりないよね?

アキ うん、ない。

――アキさんは、ケンさんのお祝いゲスト出演について思うことは?

アキ 僕は(ケンの新喜劇入団を)熱望していましたから。もともと2人で大阪に行く予定でしたし、寛平GMがトップにいるいまこそ、早く入ったらええのにと思っているほうです。ケンもこっちで忙しくしているならいいですけど、何やっているかわからんかったし。

ケン オレも(自分で)何やってんのかようわからん。

アキ (笑)。コンビではあるけれど、ええ大人なんで、もう我が道を行ったらええやんっていう話じゃないですか。だけど、ぶっちゃけて何やろ……(ケンは)歌がうまくて、ダンスも上手で、殺陣ができて、芝居もうまいから、ほんまにもったいないし、しっかり売れて、稼いで、名前を残してほしいんですよね。持っている技術は圧倒的だから、大阪に来て、(新喜劇に入ったら)めっちゃ結果が出ると思うんです。

(今回、ケンが出演することで)座員たちはいろいろ悩んでいるかもわからないですよね。みんな65周年の全国ツアーで出番がほしいじゃないですか。そんななか、「座員じゃないのに、ケンさんが入るんですか?」みたいなね。

だけど、寛平GMは新喜劇を盛り上げたいという目標のためにいろいろ動いているところもあって、今回はその一環として、お祝いゲストとして呼ぶことになったんじゃないかと思います。

ケン そんな感じで僕のことを見てくる後輩や先輩がいてたら、僕は「いや~、ほんまにオレ~、いま~、東京で仕事がのうて~、ベベや言われて~」って言おうかなって。

アキ なんでそんな芝居がかってんねん(笑)。

ケン “(芝居)”って書いてください。(座員の気持ちも)僕はわかるので、申し訳ないなと。僕の芸歴でいったら、もう後輩に(出番を)あてていかなあかん立場ですから。

アキ とってる場合やない。

ケン 「兄さん! 何をガツガツ来てやっとんねん!」という感じになるのもわかりますけど、僕としては「ごめんな、今回ちょっと許してーや」みたいな。で、まぁ、「許しますわ、今回は」くらいの感じになってくれたらええな。

アキ 落語みたいになってる!

ケン “(落語)”で。

アキ カッコ多すぎるて。読みにくいわ(笑)。

出典: FANY マガジン
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ケン 僕らは30年以上やっているんで、もう後輩ばっかり。そんななかで仕掛けてやっていくって、自分のなかに確信や熱意とか、確立したものがないと突っ走っていけないですよね。アキはそれを考えて、グッと力を入れてやってきたから、いまこの結果が残ってるんやなって。

ちゃんと結果を残しているコンビは、2人ともがそのあたりをちゃんとやっていますよ。僕としては、アキがこうして活躍しているぶん、「よし、自分も活躍するぞ!」とは思っています。そのうえで、先輩にも後輩にも頭を下げなあかんなというのはありますね。

――今回のゲスト出演は、“盛り上げる”ことが絶対条件になりそうですね。

ケン もうまわりのことは何にも考えんとやります。自分のことだけ考えます。

アキ 何やねん! 言うてること全然ちゃうやん!

アキ「いまはすごくいい関係」

――アキさんとケンさんが大阪と東京に分かれて活動するようになって、もう10年が経ちます。

ケン 早いです。あっという間です。芸能生活で、この10年がいちばん早かったんちゃうかな。年齢とかもあると思うけど。早かったよな?

アキ 早い、早い。

――その間も、ケンさんの「吉本坂46」メンバー入りがかかった人気投票の際には、アキさんがSNSで愛がこもった応援メッセージを出すなど、関係はずっと良好に見えます。

ケン あのときは、アキが助けてくれなかったら、僕はもう(吉本坂46のメンバーに)入っていなかったですから。「(アキに)ちょっと頼むわ」って言ったら、「いぃよぉ~」って言って、めちゃくちゃ長文で書いてくれたんですよ。

そうしたら「アキさんが言うてるんやったら、こりゃ投票せなあかんわ」って、たくさんの人が投票してくれて、一気にガーっと(順位が)上がったんです。

――この10年はそれぞれの場所で活動してきて、いま2人にとって“水玉れっぷう隊”とはどういう存在ですか?

アキ 不思議な感じですね。ありがたいです。ケンはギリギリの状態ではあるかもしれませんが、楽しくやっている感じですし、僕も僕で(新喜劇で)結果が出て、これからまだまだやることがいっぱいある。なんか不思議な感じなんです。もう55(歳)なんでね。60(歳)前までには、もっと笑い合えていたらええなと思いますね。

出典: FANY マガジン
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ケン 結局、(これからの水玉れっぷう隊は)僕の頑張りしかないんですよ。僕がグッと上がっていかな、売れなあかんのです。でも、なかなか売れないんですよ……。いまの状態は“なかなか”なんです。ただ、この“なかなか”な感じを、どこかで楽しんでいるところもあるんです。

アキ (笑)

ケン この世界で仕事をしていて、僕のいまの仕事量や稼ぎだったら、(ふつうは)めちゃくちゃ落ち込むんですよ。でも、そう落ち込んでいたらやってられへんので、そこをグッと(気持ちを)上げて楽しいことを見つけるんです。だから、今日もこうしてお話ししているじゃないですか。それもめっちゃ楽しいんですよ。家におったら、1人で寂しいですから。

アキ 家に1人で寂しいって、80(歳)以上のジジイが言うことや。

ケン いや、ほんまその域に入ってきてるよ。どうする?

アキ いや、「どうする?」やないよ!

――「水玉れっぷう隊」としての活動は今後どうなりますか?

アキ コンビとしてグッとやるということはもうないですね。ときどきトークライブをやるとか、僕が考えた企画に出てもらうとかはありますけど。僕は座長として新喜劇を背負ってやりたい目標がちゃんと決まっているので、そこに向かって走っていくだけ。

だから、こういう特別な65周年ツアーや、僕が単独でやるお祭りに出てもらうとか、そんなことで水玉れっぷう隊がたまに出てくる感じですかね。

――いまの2人の関係性は、ガッツリと“相方”というよりは、もう少しやわらかくなっているのでしょうか。

ケン コンビとしてガッツリやっていたときの感じより、高校のときのような“お友だち”みたいな感じ。

アキ うん。振り出しに戻ったような感じですね。高校は別々やったけど、趣味が合う遊び友だちやったんで、そんなんに戻った感じかな。

ケン そのころって、お互いに求めるものなんてないじゃないですか。でもコンビとなると、2人でひとつになってやっていかなあかんから、(相手に)求めるものが出てきて、(友だちのころとは)感覚が変わってくる。いまは、それぞれ別のことを考えながらやっているので、学生時代の感じが近いんですよね。

出典: FANY マガジン
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――いま2人で同じ舞台に立つときも学生時代の関係性に近いですか?

アキ そうですね。だから、(ケンが)ウケたら嬉しいし、スベってもさほど気にならない(笑)。

――その関係は居心地いいですか。

アキ すごくいい関係やと思いますよ。吉本でこれだけコンビが多いなか、なかなかこういう関係性はないと思うので。

アキ「東京での10年が座長として活きている」

――残る65周年ツアー公演や、今後の新喜劇の活動について、アキさんの展望は?

アキ (65周年)ツアーについては、空気感やお客さんが求めているものが見えてきたので、作家さんも交えて「ここをもう少し増やそう」とか「ここをもっと合わせよう」とか、改善しながらやっていきたいと思っています。

とくに(これからまわる)東北など(吉本新喜劇の)放送がない地域は、ほんまに新喜劇というものを知らないんです。だから、たとえば関西人がくすっと笑うようなニュアンスで変なおっさんを演じてしまうと、(お客さんが)ついて来られないこともあるので、ちょこちょことギアを変えたりしています。

これって、東京の10年で学んだことやったんですよ。水玉れっぷう隊を誰も知らない環境でネタをやりながら、僕らが座長の(ルミネでの)新喜劇も立ち上げてもらったんです。

今田(耕司)さんや東野(幸治)さんなど、錚々たる先輩方が座長として名を連ねるなか、僕らは「誰?」というところから始まって、話や笑いで惹きつけていかなければならなかったので、とにかくがむしゃらにやらせてもらいました。そのときのノウハウが、僕の中にはちょっとあるんです。

出典: FANY マガジン
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――ケンさんが出る新潟公演をはじめ、これからのステージを楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。

ケン ゲストで入れていただくことが、特別なことなんやということを噛みしめながら、これがチャンスなんだと、ここでグッと上がるぞと思いながら、まわりの後輩、先輩のことをあまり考えんと……。

アキ ええ加減にせいよ! さっきから!

ケン がっつり笑いを取りに行きます。不器用なやり方かもしれないですけど、まわりにごめんなさいって謝りながら笑いを取りにいく。アキにいちばん頭を下げているかもしれないです。でも、いまはそう思っていますけど、本番になったらメチャクチャひよっていると思います。「あかん! ヤバい! オレ、いまスベり気味やで、アキ、ここ頼むわ!」って。

――そこも含めて見どころですね(笑)。

ケン そうですね。笑いを取れるように一生懸命、頑張りますけど、スベる可能性も多分にあるから、そこは何とかケツ拭いてくれっちゅうて。もう、先に言うときます。

アキ 僕は、いまの相方のコメントを聞いて、改めて(ケンに)育ててもらったんやなって思いますね。

ケン どういうこと?

アキ (ケンが)ちゃんとしないんで。

ケン そっちかい! 悪いほうかい! ええこと言ってくれると思って、褒められる準備しとったよ!

アキ うるさいな(笑)。(ケンは)ホームランを打つときもありますし、ほかの後輩が「これ、ケンさんしかできへんで」っていうボケも持っています。ですが、ガッチガチにスベるときもあれば、下ネタは言うなって言うてるのに、言うてケンカしたこともある。そんなときは舞台が、けっこう荒れるんです。

でも生の舞台ですから、荒らしたままは終われないので、自分のことも必死ですけど、そのフォローもしなくちゃいけない。そんな感じで相方とずっとやってきたことが、いますごく役に立っています。新喜劇座員も、ホームランを打つこともあれば、ガッチガチにスベるときもあるので。

ケン いまの話、ガッチガチにスベるよりも、ウケるほうの比率をちょっと上げておいてな。

アキ ホームランは10本のうち3本くらいですね。

ケン いや、違うやん。聞いてた? 3ホームランじゃあかんやん。7ホームランやん。

アキ 7ホームランか。

ケン 7割バッターってすごいで。あの大谷(翔平選手)でも3割1分やからね。

アキ でも、売れてる人は10本中、10本ホームランやからな。

ケン そやな、スベらへんからな、売れてる人は。みんなずっとウケてるから。

アキ まぁ、そんなコンビです。

出典: FANY マガジン
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アキが座長を務め、ケンがゲスト出演する11月23日(土・祝)の新潟公演をはじめ、「吉本新喜劇65周年記念ツアー」はFANYチケットで絶賛発売中です。

ツアー公演の詳細はこちらから。

公演概要

『吉本新喜劇65周年記念ツアー 新潟公演 』
日時:11月23日(土) 開場11:00 開演11:30
場所:新潟県民会館 大ホール
出演:
【吉本新喜劇】
アキ、間寛平、石田靖、末成映薫、西川忠志、未知やすえ、佐藤太一郎、五十嵐サキ、伊賀健二、川筋ライラ、大黒笑けいけい、水玉れっぷう隊・ケン、谷川友梨、咲方響、カバ、けんたくん
【ネタ組】
月亭方正、ライス、男性ブランコ、ぼる塾 ほか
チケット:前売 6500円

FANYチケットはこちらから。

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