サンケイスポーツと吉本新喜劇の初コラボ公演である『サンスポ×吉本新喜劇〜記者が新喜劇の台本を書いてみた〜』が、11月3日(日)に大阪・吉本新喜劇セカンドシアター(YES THEATER)で開催されました。この舞台の見どころは、サンスポの芸能担当である渡辺洋次記者による脚本・演出への初挑戦です。初挑戦はいったいどうなったのでしょうか? サンスポ記者特有の新喜劇とはどういうものなのでしょうか? 一夜限りの特別なイベントの様子を芸人ライターとしても活動する吉本新喜劇座員の祐代朗功がレポートします!
「ゆたかな真也は一の介」が一夜限りの復活!
「ゆたかな真也は一の介」が舞台に登場すると割れんばかりの拍手が起こります。「ゆたかな真也は一の介」とは、ベテランの島田一の介、新喜劇座長の吉田裕、ギター芸人の松浦真也による3人ユニットです。2016年の『歌ネタ王決定戦』の決勝に出場経験もある伝説のユニットで、渡辺記者が新喜劇に興味を持ったきっかけだといいます。最近は組むことのなかったユニットですが、渡辺記者の熱い要望に応える形で一夜限りの再結成を果たしました。
いよいよ新喜劇の舞台で金貸し役の3人がリズミカルにネタを始めます。数年活動していなかったとは思えないほどに息の合った3人が、「森のくまさん」の曲に合わせて通り過ぎる等の懐かしのネタを披露。ネタの最中に一の介が「喉が痛い」と早くも嘆くと、裕が「まだ序盤も序盤やで!」とツッコんで観客を沸かします。
阪神タイガース関連の小ネタも!
また、サンスポらしく阪神タイガースの要素が新喜劇に散りばめられているのも本公演のみどころ。舞台となる喫茶店に岡田直子がサンスポの記者として登場して、「岡田監督の記事」と言ってある記事を見せます。みんなが「阪神タイガース前監督である岡田彰布氏の記事」だと思ったところで、岡田直子自身の記事だったというツッコミどころ満載の場面も。
また、伊賀健二の横顔新幹線ネタに阪神の遠征の話を盛り込んだり、設定上の「花月ファイナンス」を阪神と同じ野球要素である「北海道日本ハムファイターズ」と勘違いしたり、さらには借金をしている人物名が和田、金本、矢野と歴代阪神監督と同じであったりと、阪神タイガースファンならずともニヤリとする小ネタがあちこちに。
舞台上でのハプニングや失敗も笑いに!
次に、リズムネタを得意とするレイチェルが登場、ラップネタをします。するとラップに合わせて一の介が「ツクツクボーシ」と何回も言うという珍妙なギャグを披露します。一の介のそのギャグに会場がざわつく事態に。
すると、「おーい!」と叫びながら借金をしている人役であるタックルながい。、辰巳智之、玉置洋行がゆっくり歩いて登場。裕が「走ってくる感じやったやろ」とツッコむと観客が笑います。
新喜劇の舞台では失敗をツッコまれて笑いが起こることは多々あります。新喜劇の通常公演は一週間同じ演目をするのですが、面白い失敗を観たくて失敗する確率の高い初日に来る新喜劇ファンもいるほどです。それも吉本新喜劇の醍醐味のひとつかもしれません。
間寛平GM登場で大盛り上がり!
終盤に間寛平GMが寛平爺さんの姿で登場すると大きな拍手が起こります。実は今回の公演が実現したのは、「淀川寛平マラソン」の控室で寛平GMと渡辺記者が雑談をしたのがきっかけだといいます。そんな寛平GMが裕に対して乳首ドリルというネタをしようとしますが、“まきざっぱ”という叩く棒が無いというハプニングが起こります。
直前に新名徹郎が舞台の外へ持って行ってしまったようで、もちろん“まきざっぱ”なしでは乳首ドリルができません。思わぬハプニングに観客は大喜び! 新名が申し訳なさそうに舞台に“まきざっぱ”を持ってくると、また観客は大ウケ。“まきざっぱ”を手にした寛平が乳首ドリルをしようとしますが、きちんとできないやりとりを繰り広げます。挙げ句の果てに背中を叩くという乳首ドリルと全く関係ないことをする始末。寛平GMは舞台をメチャクチャにして盛り上げます。
渡辺記者が登場して「なんでな~ん?」
新喜劇後のアフタートークでは、渡辺記者が登場。感想を聞かれると「今週はパニックでした。台本ができた後の演出のことがわからなかったです」と脚本ではなく演出の苦労を語ります。裕から「タックルたちが歩いてきたのは演出として正解ですか?」と質問されると「不正解です」と渡辺記者はきっぱり否定。タックルは「色々なプランがありまして」と見苦しい言い逃れをして「次は頑張ります」と意気込みますが、裕が「次はないねん」とツッコミます。
序盤で喉が痛いと嘆いていた一の介は「声はまだもっています。明日もやりましょうか」と、こちらもやる気満々でしたが、これも裕が「明日はないねん」とバッサリ。
サンケイスポーツと新喜劇の今後に期待!
寛平GMが「さみしい。もっとしたい。出番が短かった」と言うと、渡辺記者が「寛平師匠が自分でカットしていましたよ」と暴露。本当は「なんでな~ん?」というギャグをやる予定でしたが、「スベると思ったからカットした」と寛平GMは説明します。
他にも演者が勝手にしたところはあるようで、「ツクツクボーシするのは知らなかったです」と渡辺記者も驚いたようでした。レイチェルのラップに合わせて一の介が「ツクツクボーシ」と言うやりとりは、本番直前に寛平が指示したものだと説明すると一の介は「ツクツクボーシのネタは寛平兄さんのネタです。あのネタください」と嘆願します。
最後に一言を求められた渡辺記者が「なんでな~ん?」と言うと寛平が「ギャグをつぶす気か」とツッコんで終演となりました。
サンスポの記者が脚本・演出を初めて担当した新喜劇は大盛況で終わりました。サンケイスポーツと新喜劇の今後に期待ですね!