「タイ住みます芸人」としてタイ全土を巡りながら、子どもたちに向けたマジックショーを開催している「Tの極み」が、一時帰国のタイミングで熱望したのは……「大阪府住みます芸人」として活動するspan!・水本健一との対談でした。そんなわけで実現したこのスペシャル企画、やはり国は違えど“住みます芸人”同士で意気投合! お互いの近況や今後の夢を、ざっくばらんに語り合ってもらいました。
たまたまのタイミングでタイ行きを決意
2011年に始動した「全国47都道府県住みます芸人」は、芸人が各都道府県に住んで、地域に密着した芸能活動を行うプロジェクトです。さらに2015年には、活動の場を海外にも広げ、「アジア住みます芸人」もスタート。現在は台湾、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、ミャンマーなどの国々で活動しています。2022年10月に開設されたYouTube「よしもとHELLO ASIAチャンネル」では、それぞれの国から地元ならではの話題やトレンド、おススメ情報などを配信中です。
水本 Tの極みからのご指名って!? なんでまた指名してくれたん?
Tの極み 覚えてますか? 僕、2年前に『R-1グランプリ』の予選に出るために帰国してたんです。そのときに、なんばグランド花月で水本さんにご挨拶させていただく機会があって、ほぼ面識がなかったのに水本さんが「タイ住みます芸人か! タイに行ったことないから、行くときあったらいろいろ教えて!」って、ものすごい前のめりにしゃべりかけてくださって、それがめちゃくちゃ印象に残っていたんです。だから水本さんなら、僕の話を興味を持って聞いてくださるんじゃないかなと思って。
水本 もちろん覚えてるよ! やっぱり住みます芸人で海外を選ぶってすごいことやん。だから興味が湧いて、それで前のめりでめっちゃしゃべった。なんでタイ住みます芸人に立候補したん?
Tの極み たまたま「海外で活動したい」と考えていたとき、調べたらビザやら保険やら手続きがややこしくて、「個人で行くのはキツイな」と諦めたんです。そんなときに吉本から「タイ住みます芸人募集」みたいな一斉メールが届いて、「タイのことは全然しらんけど、このタイミングは何かの縁かな」と思って応募しました。2018年からなんで、もう6年になります。
大阪で「住みます芸人」を続ける苦労
Tの極み 水本さんも、大阪府住みます芸人されてだいぶ長いですよね。いつからですか?
水本 2012年ころかな? コンビを組んで8年目で、そろそろ東京に行こうか、それとも大阪にとどまるか……と今後のことを考える時期にちょうど「大阪府住みます芸人、やってみるか?」という打診があって、やることにしてん。
Tの極み でも大阪って、芸人さんがたくさん住んでるじゃないですか。そのなかで住みます芸人の仕事ってどういうのがあるんですか?
水本 そう、まず「みんな、住んどるやないか!」っていうのがあるから(笑)。それに、大阪の穴場スポットといっても有名なところが多いから、そういう意味ではけっこう難しいよ。だからこそ、ディープな場所が勉強できたのは強みかな。
地域密着・地方創生でいうと、芸人さんはけっこう主要都市に営業に行くことが多いけど、僕らは大阪の小さい町で漫才をしたりとか、漫才ワークショップを開催したりとか。あとは、日本全国で“住みます芸人企画”が実施されてるから、大阪府代表として参加して各地に出向いたり、各地の住みます芸人とも交流があったりするねん。
Tの極み へぇ~、意外と大阪だけじゃないんですね。
タイ各地の小学校に飛び込み営業!
水本 Tの極みはタイでどんな活動をしてるん?
Tの極み タイは77県ありまして、各地の小学校をバイクで回りながらマジックショーをしてます。いまでもう、半分くらい。36県回りました。
水本 えぇ~!? すごいな! なんでまた小学校を回ることになったん?
Tの極み もともとは、バンコクで2カ月に1回「サワディー花月」っていうタイ語のお笑いライブを開催してたんですけど、集客が難しくて、これでは場数が踏まれへんってなりまして。こうなったら自分から足を運ぶしかないっていうことで、いろんな場所でマジックショーを始めました。
水本 ようそんなんひらめいたな!
Tの極み はじめはストリートパフォーマンスをしたんですけど、見てくれるときと見てくれへんときのムラがすごいんです。それでは意味がないから、次はコインランドリーで洗濯が終わるのを待ってる人に向けてパフォーマンスを。
水本 相手はタイ人やんね? タイ語で話しかけるの?
Tの極み そうです。「見ていってください」って話しかけて。でも当時はまだタイに行って1年目やったから、カタコトのタイ語で日本人に急に話しかけられたって相手も怖いじゃないですか。だからあんまり見てくれへん。乗合バスでもやったんですけど、揺れまくるし車酔いするし……。で、「ある程度、人が集まっているところはないかな」と考えてるときに「学校とかいいんちゃう?」とひらめいたんですよ。それで、飛び込みで小学校を回り始めました。
水本 飛び込み!?
Tの極み いまも飛び込みです。いきなり校長室を訪ねて、「こういう者なんですが、20分でいいんでマジックショーやらせてもらえませんか?」と交渉するんです。最初のほうは門前払いでしたが、断られまくっているうちに交渉するためのタイ語だけはめちゃくちゃ上達しまして。いまはほぼ受け入れてもらえるようになりました。
水本 すごいなぁ……! ウケ具合ってどうなん?
Tの極み めちゃくちゃウケますよ。タイの人たちってめちゃピュアなんです。日本だと、マジックをしても「タネを暴いてやる」みたいに疑った目で見る方もいると思うんですけど、タイの人はまっすぐ受け入れてくれるんです。反対に、凝ったことをしたらウケないです。日本だと「おもしろい」「おもしろくない」ですけど、タイだと「おもしろい」か「理解できない」なんですよね。スベることはないけど、「なにそれ?」みたいな反応はあります(笑)。
タイで漫才ワークショップをやってみたい!
水本 やっぱ全然違うねんな~。僕ら、国は違うけど同じ住みます芸人として、なんか一緒にできたらいいと思ってて。なんかいいアイデアないかな?
Tの極み それこそ先ほどおっしゃっていた、漫才ワークショップとかいいと思うんですよ。タイには、日本語を学んでいるタイの高校生が地方にもけっこう多くて、タイ語で「日本にはこんな文化があるんですよ」と漫才とは何かとか、簡単な三段オチとか、ボケ、ツッコミの意味を説明して、「では、みんなで漫才をやってみましょう」みたいなワークショップをやってます。
水本 パッケージがまったく一緒や! 僕らもそうやってワークショップやってる! それがタイでできるなら。
Tの極み 僕はピン芸人やからそんなに本格的に漫才はやってないので、span!さんに来ていただけるならぜひお願いしたいです。
水本 ぜひぜひやわ。住みます芸人交換留学って感じで、僕らがタイで漫才教室をやって、Tは大阪でタイの文化を教えて……。見えた! いいやん。これ、実現せえへんかな? 住みます芸人として、意味もありそうやし。
世界の人が集まる「フルムーンパーティー」
水本 ほんまに近々、旅行したいと思ってるねんけど、最近のタイはどんな感じなん?
Tの極み 最近は円安もあって、日本人観光客が減ってます。でもほんまに楽しい街で、夕方から始まる「ナイトマーケット」というものがあるんですけど、それがいままた増え始めてますね。
水本 めっちゃおもしろそうやわ~。実は以前、(大阪市)堀江に住んでてんけど、近所にタイ料理屋がめちゃくちゃ多かってん。うちの奥さんもカオマンガイとかガパオライスとか、タイ料理がめちゃ好きで。
Tの極み 全部任せてください! 安い店も知ってますので。
水本 夫婦でタイに旅行するならどんなプランがいいの? オレ45歳、奥さん40歳、けっこうええ年齢ですけど。
Tの極み もちろんバンコクもいいんですけど、おふたりのことを考えると……奥さま、ダンサーですよね? 事前情報で仕入れました。
水本 そうそう! ありがとう(笑)。
Tの極み それなら、島がおすすめです。なかでもパンガン島では、月に1回の満月の夜に「フルムーンパーティー」という有名なパーティーが開催されてまして、そのタイミングで世界各国からあらゆる方々がビーチに集まって、お酒を飲んでめちゃくちゃ大騒ぎするんですよ。
水本 わー、いいなぁ。
Tの極み なんかパリピみたいな感じですけど、それはごく一部のエリアで、島の反対側に行くと、何も音がしない美しいビーチ、そして海を眺めながらゆっくり過ごせるんです。だから、別に「フルムーンパーティー」じゃない時期に行ってもめちゃくちゃ楽しめるビーチリゾートです。しかもいまくらい、11月から3月くらいがシーズンですね。
水本 なんか旅雑誌みたいになってきてる(笑)。タイ旅行、来年の目標にしようかな。そこで絶対にTの極みに連絡するわ。(同じ「タイ住みます芸人」の)桜 稲垣早希ちゃんもいるしな。
Tの極み 待ってます! 早希さんともYouTube動画を一緒に撮影したり、仲良くさせていただいてます。僕としては、自分がタイにいることを生かして仕事でもプライベートでも、架け橋みたいな存在になれたらいいなと思ってます。
水本 オレはその橋を渡るよ! span!としても、50歳までに海外での仕事を経験したいというのもあるし、公私ともにタイに行くことを目標にするわ。
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