Runny Noizeは日本よりもサウジアラビアでメジャーだった! 初アルバムは「楽曲も音質も最高傑作」

音曲漫才師・ラニーノーズの洲崎貴郁(Vo/Gt.)と山田健人(Vo/Gt.)に、フクシマテツヤ(Vo/Ba.)と児玉とみー優也(Dr.)を加えたメロコアバンド・Runny Noize(ラニーノイズ)が、12月1日(水)に初のフルアルバム『HAKKIYOI!!!!!』を発売します。大阪・なんばHatchでのワンマンライブも12月28日(火)に決定し、勢いが止まらないRunny Noizeに、芸人ライターのヘッドライト・町田星児がインタビューさせてもらいました!(撮影は芸人カメラマン、ポートワシントン・笠谷翔平が担当しました)

出典: FANY マガジン
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アルバムは、いままでの代表作5曲を含めた15曲入りで、うち4曲は音楽プロデューサーであり東京事変のベーシストとしても活躍する亀田誠治氏がプロデュース。僕もバンド経験者なので、その完成度は気になるところ。ついついマニアックな話にもなりましたが、最後まで読んでもらえたら嬉しいです。

最高傑作のフルアルバム!

――フルアルバムの完成、おめでとうございます。

全員 ありがとうございます。

――完成した感想をお願いします。

洲崎 15曲入りの大ボリュームの初のフルアルバムで、やっとできたなという気持ちですがすがしく思ってます。

児玉 煮詰めに煮詰めた作品ができあがって、嬉しい気持ちでいっぱいです。

テツヤ いろんな要素が詰まってる作品なので、Runny Noizeの新規セットリストはこれ!みたいになってると思います。

山田 楽曲も音質もよく、最高傑作ができたなと思ってます。

テツヤ サンプルレート96ね。

出典: FANY マガジン
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――サンプルレート96?

テツヤ 普通のCDはサンプルレート44.1kHzで録音するんですけど、今回、さらに音質がいい96kHzで録りました。

「お笑い」と「バンド」の両立

――ラニーノーズのおふたりに聞きますが、お笑いと音楽の両立での苦労は?

洲崎 スケジュール面でメンバーにも迷惑をかけてしまってます。漫才の出番が終わって、ライブハウスに駆け込んでライブをやったりとか。

山田 リハ(リハーサル)ができない時が、けっこうあるんです。

テツヤ リハで僕がギターをセッティングして音を作ってます。

山田 ワンマンライブの時も、ライブの前に和歌山で漫才をしてたり。

洲崎 ワンマンライブが終わって、またお笑いの仕事があるから急いでライブハウスを出て、機材とかはメンバーに頼んで……。

山田 レコーディングの次の日がラニーノーズの単独ライブというときがあって、レコーディングスタジオでネタを考えてました。

出典: FANY マガジン
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――吉本がバンドのスケジュールを管理してるんですよね?

山田 はい。なので、お笑いとバンドのダブルブッキングはないんですけど、兼ね合いが難しいです。どっちかの大きいイベントを断らなあかんかったりとか。

亀田プロデュースのマジック

――プロデュースの亀田さんとは、どのように共同作業を?

テツヤ 作曲面だと、メロディーをいじってもらったり、リフを書いてもらったりとか。

山田 zoomで何度か打ち合わせをして、レコーディングの時に初めてお会いしました。

――さすが亀田さんやな、と思った点は?

テツヤ めちゃくちゃありました。ぜんぜん違ったですもん、アレンジの仕方とか。

洲崎 僕らがやってこなかったことでしたね。

山田 1人がストローク(複数弦を鳴らす奏法)をしてたら、ほかはアルペジオ(コードを1音ずつ鳴らす奏法)とか、フレーズを弾くとか……同じことをさせないですね。4曲プロデュースしてもらって、ほかの曲は自分らでやったんですけど、亀田さんにしてもらったあと、自分たちのやり方が変わったと思います。

――亀田さんがRunny Noizeをこうしたいんやろうな、というのは感じました?

山田 「バンドの方向性を大きく変えたりはしないから安心してください」と最初に言ってもらえましたね。

洲崎 「僕らは、ここの部分をこうしたいです」というのは受け入れてくれて、「じゃあ、そうしよう」て、すごい寛大でした。

山田 めちゃくちゃやりやすかったです。

出典: FANY マガジン
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日本語の歌は「1曲でいいねん」

――日本語の曲も増えましたね。

洲崎 今回、4枚目のCDなんですけど、日本語の歌は2枚目のCDから入れ始めたんです。そこから増えていきました。今回は……。

テツヤ 「Days」と「音の鳴る方へ」と……。

洲崎 「e」も。僕は今回、初めて日本語の作詞に挑戦しました。

――日本語の曲と英語の曲は、どう作り分けてるんですか?

山田 もともと英詞のバンドをやってて、ファーストミニアルバムはぜんぶ英詞でした。そういう曲が好きやったというのもありますし、英語の曲だけでやってる芸人っていないと思い、話題になるかなとも思ったんですけど、思ってたほどならず。でも、吉本の社員さんは日本語の曲を作ってほしかったみたいで。やっぱり日本でやる以上、日本語の曲があったほうがいいっていうので、「e」を作ったんです。それが、けっこうしっくりきて、そこから日本語でいっぱい作りました。ほんなら社員さんに「作り過ぎや」て(笑)。

――難しいな!

山田 「媚び売ってんのか」「1曲でいいねん」て言い出して(笑)。でも、いまは曲ができてから、合うのは日本語か英語かで決めてたりするんで、たまたま今回こういう形になった、ていうことやと思いますね。

――どっちが書きやすいですか?

山田 日本語のほうが作りやすい気はします。

テツヤ そうなんや。僕はダントツ英語のほうが作りやすいな。

――みなさん、曲が先なのか、詞が先なのか。

洲崎 全員、曲が先です。

出典: FANY マガジン
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――英語だと歌詞の内容が直接、伝わらないと思うんですけど。

洲崎 僕は逆にそれが好きで。和訳を知ったときに、こういう意味なんや!てわかって、さらにその曲を好きになれるんです。そのように2回楽しんでもらえたら、と英語で書いてますね。

イントロをばっさりカット

――音作りなどで、いままでと変わったことは?

山田 ギターでいえば、亀田さんがアレンジしてくださったら、僕がふだん使ってるようなコード進行じゃなくて、難しいコード進行になってたんです。その練習がちょっと大変でしたね。勉強になりましたけども。このコードを弾くことによって、こんなに音の広がりがあるのかと。僕が最初に作った曲からこんなに印象が変わるのかと。

――ベースやドラムもアドバイスを?

テツヤ いただきました。「こっちの弾き方のほうがキレイに音が出るよ」とか。

――音符でいったら一緒やのに?

テツヤ そうです。あと、ベースでスライドっていう指を滑らせる技法があるんですけど、たとえば音が高いほうにスライドをして目的の音で指を止めると、普通にその音を弾くより音がちょっと低くなるらしいんです。

――へー。僕もベースを弾くんですけど、それは初耳です。

テツヤ スライドアップしたら低くなるし、逆にスライドダウンしたら高くなるんですって。なので、スライドをしたら目的の音に辿り着いたときにもう1回弾く、ということを教えてもらいました。

出典: FANY マガジン
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――辿り着いたときに、もう1回ピッキングしろと。

テツヤ そうです。僕も初めて聞きました。音楽の専門学校でも教えてもらわなかった。あと、僕は5弦ベースなんですけど、同じ音でも5弦じゃなくて3弦で弾くとか。音の抜け感や全体的なアンサンブルで「こっちのほうが馴染むよ」て言われたり。

――そんなことまで考えてるんですね。

テツヤ すごいなと思いました。

ドラムも 「ドン・スト・タン」

――ドラムもそういうのはありましたか?

児玉 そうですね。足(バスドラ)の数ですけど、「ド・ド・スト・タン」みたいなリズムで、「真ん中の足を1個抜いてみたら?」ていうアドバイスがあって。1個抜いたら寂しくなるんかなって思いながら抜いてみたら、役割分担ができてて、ほかの楽器をちゃんと活かすことができました。

――「ド・ド・ド・タン」ていうのを、「ド・・ド・タン」ていうことですか?

児玉 「ド・ド・スト・タン」ていうのを、「ドン・スト・タン」みたいに、真ん中の足を抜くという。

山田 これ文字に起こされるんですか(笑)?

――頑張ってみます(頑張りました!)。

山田 基本的に僕ら、たぶんもともと音がめっちゃ多かったんですよ。それを亀田さんがかなりあっさり、こんなに削んねや!ていうぐらい。でも、そうしてよかった、ていうのがいっぱいありましたね。

児玉 テツヤの書いた曲で2ビートの曲があったんですけど、それが8ビートに変わってたり。シンプルに、よりよくなって、いろんな人の耳に届けられるでしょうね。

出典: FANY マガジン
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テツヤ 長尺のイントロも付けてたんですけどね。

洲崎 「Star Betray」な。

テツヤ アレンジされたら、Aメロからのスタートになってました。イントロをばっさりカット。けっこうカッコいいリフを付けてたんですけど、「さらっと行こう」ていう感じでカットされて、めっちゃヘコみました(笑)。でも録ってみたら、これはいいわ! みたいな。

バンドを先に知ってもらいたい

――こういう人に聴いてほしいとかはありますか?

山田 もっともっとバンド好き、メロコア好き、パンク好きにライブに来てほしいな。

洲崎 届いてほしいね。

山田 聴いてほしいし、見に来てほしい。

洲崎 そういう意味でも、過去の自信のある曲も今回のアルバムに入れてます。

児玉 「こいつら芸人やってたんや!」て思われてもいいな。

洲崎 バンドを先に知ってもらってね。

――最後に、みなさんの夢を聞かせてください。

洲崎 武道館でやりたいですね。

児玉 ツアーみたいに全国を回ってみたいです。

テツヤ 全員白髪になっても音楽をしていたいです。

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山田 海外でライブをしたいなあと思ってます。ゆくゆくは海外ツアーも。SpotifyにもRunny Noizeが入ってるんですけど、どこで聴かれてるかというデータがあって、Runny Noizeはサウジアラビアでいちばん聴かれてるらしいんですよ。

――ええ! 日本以外で、てことですよね?

山田 日本より、です。

――日本より!?

山田 Runny Noizeが世界でいちばん聴かれてるのは、日本じゃなくてサウジアラビアなんです。

――それめっちゃおもろいやん! なんで早く言わへんねん!

山田 言うタイミングなかったでしょ(笑)。なので、サウジアラビアでライブをしたらどのぐらいの人が来てくれるのか、興味がありますね。

――来るでしょ、いっぱい。

山田 いつかやりたいです。

――やってください! 楽しみにしてます。本日はありがとうございました。

全員 ありがとうございました。

出典: FANY マガジン
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僕も学生時代から趣味でバンドをいくつもやってきたのですが、僕が見てきたバンドマンたちは曲のことを「曲」と言っていました。洲崎と山田は曲のことを、たまに「歌」と言います。それは、伝えたいことをしっかりと持ち、歌詞を大事にしているからかも知れません。

4年前にファーストミニアルバムが出たとき、山田に「Twitterで宣伝するためのコメントをください」と言われて、僕はCDを聴き込んで「何回聴いてもメロコアやった。多分あと千回聴いてもメロコアやろう。……よし、あと1万回聴こ。」とコメントしました。

今回のアルバムを聴かせてもらい、絶対にメロコアでパンクだけど、メロコアバンドの枠におさまりきらない未来の姿を想像しました。ファーストミニアルバムのころにいたフロアから階段を上がった踊り場で、もとのフロアと上のフロアの両方を見ながら新たなメロコアを奏でているような。今回の初フルアルバムはそんなRunny Noizeです。

以前、僕のバンドがRunny Noizeと対バンをさせてもらったとき、ステージの袖で見ている僕までもが踊りたくなるほど、彼らは客席を盛り上げる術を知り尽くしていました。12月28日(火)、初のなんばHatchでのワンマンライブでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみです!


Runny Noize公式サイトはこちらから。

アルバム概要

4thアルバム「HAKKIYOI!!!!!」

出典: FANY マガジン

発売日:12月1日(水)
定価:初回限定盤7,150円(税込) 通常盤3,080円(税込)

公演概要

HAKKIYOI!!!!!なんばハッチッチであっちっちライブ
日時:12月28日(火) 開場17:00 開演18:00
会場:なんばHatch
チケット:前売り3,500円 当日4,000円
問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00~16:00)

FANYチケットはこちらから。

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