吉本新喜劇の“座員夫婦”6組がそろい踏みするスペシャル公演『新喜劇キャッスル』が、“夫婦の日”の2月2日(日)に大阪・なんばグランド花月で開催されました。昨年、第一子が誕生したばかりの新婚カップル、千葉公平・鮫島幸恵をはじめ、内場勝則・未知やすえ、浅香あき恵・佐藤武志、秋田久美子・中條健一、吉田裕・前田真希、森田まりこ・清水啓之が出演。全組が実生活同様の夫婦役を演じ、すっちーら脇を固める人気座員らとともにリアルとネタが入り乱れる爆笑ステージを繰り広げました。

千葉はノロケ全開「透明感のある女性なんです」?
超高級タワーマンションを舞台に、さまざまな夫婦、家族の思惑が交錯するストーリー。そのマンションに新任のコンシェルジュとしてやって来た千葉は、超セレブな面々に翻弄されながら愛する妻と娘のために奮闘します。
世界を股にかける実業家・内場をはじめ、著名演出家・佐藤、有名美容家・秋田、政治家・吉田、女優・森田といずれ劣らぬ肩書の持ち主とその家族は、それぞれウラの顔がありそう……。音楽学校で学ぶ子どもたちの野望も絡んで、物語は予測不能な展開をします。
最大の見どころは、なんといってもカップル座員たちのリアルなやりとり。出産後、初の舞台復帰となる鮫島は、オープニングの幕前シーンから千葉とのアツアツぶりを見せつけます。千葉が客席通路を歩きながら鮫島を探し、「妻を見ませんでしたか? 透明感のある女性なんですけど……」とノロケ全開です。

内場は、吉田に長渕剛の歌をムチャぶりして、しょっぱなから奔放にボケまくり。お上品なマダムぶりを見せながら、締めるところはしっかり締めるやすえとの“おしどり夫婦”ぶりで沸かせます。
あき恵は佐藤のパワフルなボケに翻弄されつつ、“ぶさいくイジり”に参加する中條に「私はあなたたちの仲人よ」と切り返して、さすがのコメディエンヌぶりを発揮。あき恵が千葉を誘惑するシーンでは、乱入した佐藤が大暴れしますが、千葉のシャツがなかなか破れず大苦戦するハプニングもありました。
吉田裕・前田真希が夫妻で“乳首ドリル”
秋田は、中條にものを言わせぬ“鬼嫁キャラ”で笑わせます。一方で千葉が、秋田のYouTubeチャンネルや中條のアスパラガスネタなどをイジり倒す一幕も。
吉田の妻、前田は4年半ぶりの新喜劇の舞台で、マキザッパを手に夫婦バージョンの“乳首ドリル”に挑戦。見事なコンビネーションに、内場は「練習のあとが見えた」と健闘をたたえます。
おなじみの“ゴリラギャグ”をコンビプレーで見せた森田&清水は、夫婦で出演している『newsおかえり』(ABCテレビ)もネタに。清水が「僕がしゃべってるところは全部カットされる」と切なくつぶやくと爆笑が起きました。


脇を固める面々も、負けず劣らず強烈キャラばかり。すっちーは『家政婦は見た!』よろしく、セレブたちのウラの顔を覗き見るタワマンの清掃員・すち子役。「すち之丞一座」シリーズなどで共演の多い千葉に、「なんかボケて」と要求するなどやりたい放題で舞台をかき回します。
信濃岳夫と松浦真也は、鮫島を探すシーンで客席を巻き込んでギターイントロクイズから“しなちゃんダンス”まで、サービス精神たっぷりに楽しませました。小林ゆうら若手座員たちは、音楽学校に通うセレブファミリーの子ども役で登場し、オーディションシーンで『ロミオとジュリエット』の真剣な演技を見せる一幕も。森田・清水夫婦の娘役で登場した今別府直之は、破壊力満点の女子高生スタイルで、笑いだけでなく悲鳴も巻き起こしました。


やすえの“キレ芸”から妻たちがクレームの嵐!
クライマックスは、やすえの“キレ芸”から始まる「妻たちの逆襲」シーン! 子どもが公演でいい役をもらえるように、内場ら父親たちが演出家の佐藤へ賄賂を渡していたことが発覚して大モメとなるなか、佐藤の「この白豚!」というひと言をきっかけに、やすえがブチギレ。ひとしきり罵倒したあと、やすえは「おい、まりこ!」と森田を指名し、そこから妻たちが順に日ごろのうっぷんを爆発させます。

森田が清水に「いつ新婚旅行連れて行くねん!」「お前ごときが全身脱毛すな!」と言い放つと、観客は拍手喝采。前田は吉田について「家族のためと言ってキャンプ用具を買っているが、そのすべてが1人用」と暴露します。
秋田は中條に向かっていきなり「お前、浮気しとんのう!」と爆弾を放り込み、場内は騒然。これには仲人のあき恵も黙っていられず、「あとでじっくり話聞くわ」と中條を威嚇します。そんなあき恵は佐藤のせっかちなところがガマンならないようで、「慌ただしい! 旅行でもさっささっさ小走りで行きやがって!」と長年の不満を吐き出しました。
やすえは現在、舞台の仕事で東京に滞在している内場に「電話せえよ! えらい東京で羽伸ばして……この年になって遊び出したんか!」とクレームの嵐! やすえは、さらに「幸恵、出てこい!」と舞台にいない鮫島を引っ張り出して、さらなる攻撃を仕掛けます。
鮫島は「姉さんのあと、キツうございます」と言いつつも、千葉を「独身が長かったんか知らんけど、ひとりごとが多すぎる!」「二度と、レトルトを冷えたまま食うな!」とダメ出しで吊し上げ。

ほかにも、アドリブ満載、爆笑につぐ爆笑となった舞台は、終演予定をオーバーする盛り上がりを見せました。
エンディングでは、久々に舞台に立った鮫島と前田に改めて大きな拍手が起きて前田が思わず涙するシーンも。最後は千葉が「夫婦の日にこれだけのみなさんが集まってくれた。今後も続けていけたら」と挨拶して、イベントを締めくくりました。