浪曲師として初めて重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝に認定された京山幸枝若の弟子の京山幸太と京山幸乃が、2月20日(木)に吉本興業高等学院大阪校で特別授業を行いました。2人は、1年生から3年生の生徒を前に、浪曲の成り立ちや発声法について講義。伝統芸能の持つ魅力を生徒たちに伝えました。

伝説の浪曲師たちの音源も紹介
浪曲はセリフ部分の“啖呵(たんか)”と、歌部分の“節(ふし)”を組み合わせて構成されます。幸太と幸乃は“曲師”一風亭初月の三味線に合わせ、“節”で自己紹介しました。それぞれの芸名は師匠がダジャレでつけたといい、幸太には「今日、山買うた」と言えるくらい売れてほしいという思いが、幸乃は「今日、山(は)雪やのう」という風流な意味が込められているそうです。
落語、講談と並び「日本三大話芸」に数えられる浪曲。幸乃は、このうち浪曲だけが立って演じる芸だと解説します。昭和初期までは大人気で、2人の大師匠にあたる京山幸枝が大阪・ミナミにあった千日劇場で浪曲会を開けば、1キロほど離れた松屋町のほうまで行列ができていたとか。

そんな逸話が飛び出すたびに、驚きの声を上げる生徒たち。落語家志望で浪曲を知っているという生徒が得意な笑福亭仁鶴のモノマネをする場面もあり、授業は和やかに進みます。
浪曲の貴重な音源を聴く時間もありました。有名な広沢虎造をはじめ、“七色の声”と称された伊丹秀子、テンポの速さ知られる初代・京山幸枝若、“四天王”の1人だった春野百合子など、生徒たちは実際の音を聴き、浪曲という芸能の自由な表現や柔軟性を体感しました。

迫力ある“節”を目の前で体感
幸太と幸乃は自分たちの入門のきっかけも紹介。幸太はジャズベーシスト、幸乃は歌手を目指していたところから師匠と出会って浪曲の道へ入ったそうです。幸太は自身の経歴をなぞりながら、「人には向き不向きがあるからいっぱいエンタメに触れてほしい」と生徒たちに語りかけました。
実演では「七五調であればなんでも浪曲にできる」と、有名なアニメの主題歌や、大ヒットしたJ-POPなどを浪曲化。親しみやすい楽曲が浪曲に変わり、生徒たちはさらに興味を持ったようです。

幸太と幸乃の迫力ある“節”を間近で聞いた生徒からは、声の鍛え方やケアについて質問が出ました。幸太は「浪曲師は声がかすれているほうがいいと言われるので、僕も3回、のどを潰しました。あえて傷めることで太い声が出るようになります」と語ります。淀川の河川敷で、向こう岸に向かって大声を出す練習もしたそうです。幸乃も「カラオケに行ってうわ~っと声を出します」と明かしました。なお、幸太によるとケアは「けっこう適当です(笑)」とのこと。
ほとんどの生徒にとっては初めての浪曲でしたが、幸太と幸乃の親しみある話術と解説で楽しく学べました。

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