「私の存在は、バレエの世界の入口の“チケットもぎり”です!」 バレリーナ芸人・松浦景子の“コメディバレエ公演”第2弾はもっと“攻める気持ち”で!

お笑い×バレエを掛け合わせた“バレリーナ芸人”として人気の吉本新喜劇・松浦景子による公演『けっけバレエVol.2~ガニ股の大暴走~』が、8月に大阪と東京で開催されます。実績のあるバレエダンサーたちと繰り広げるお笑い×バレエ公演は、本人曰く「唯一無二!」。第2弾となる今回も、新喜劇で鍛えた鉄板の笑いと、バレエの美しい世界観が楽しめる舞台になっています。今回は松浦を直撃し、公演への意気込みを聞くとともに、お笑いとバレエの共通点、さらに今後の目標などを大いに語ってもらいました!

出典: FANY マガジン
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「ビビッてた私の背中を押してくれました」

――昨年、初開催した“コメディバレエ”公演はチケット即日完売の大好評でしたその第2弾が8月に開催されることになりましたが、いまの気持ちを聞かせてください。

うれしいです。前回の公演は自分の中でも満足な公演だったんですけど、「観に行けなかった」という声ももらっていました。できるだけ早く、第2回公演を絶対にやるべきだなと思っていたので、1年経たずにそれが実現できてうれしいです。

会場を押さえるのがすごく大変で、本当はNGK(なんばグランド花月)とか(東京・新宿の)ルミネtheよしもととかでやって、そこにバレエダンサーが立つみたいなほうが面白いとは思うんです。ただ、吉本の劇場は通常公演をずっとやっているので、リハーサルができないんですよね。それで外の会場を押さえた感じなんです。

今回、大阪は梅田芸術劇場、通称「梅芸」でやるんですが、ミュージカルや宝塚(歌劇団)でも使われているその会場でやれるのはめちゃくちゃうれしいです。東京(めぐろパーシモンホール)は1200人以上のキャパがあって、そんな規模のところでやるのは初めてなので、かなり挑戦というところもあります。

――そんな挑戦ができるのは、本物のバレエダンサーたちとコラボするというこれまでにない試みが、第1回公演でうまくいったからですね。

そうかもしれません。1回目は社員さんたちも「お笑い+バレエ」ということで、どういう感じになるのかわからず手探りでやっていたので、めちゃくちゃ大変だったんですけど、1回目でコツをつかんでくれたみたいで、「もっと大きいところでやろう」と言ってくださいました。私はけっこう(キャパに)ビビってたんですけど、社員さんたちが背中を押してくれた感じです。

出典: FANY マガジン
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――昨年の公演は、「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」などバレエの要素がしっかりしていた印象でした。

そうなんです。前回は13~14人ぐらいのバレエダンサーの方に登場してもらいました。バレエファンの方にも満足していただけて、「バレエは知らないけど」という方にもなんとなく知っているような演目をやることで、うま~くバランスを取りつつ……。だから、両方が満足していただける内容をつくるのめっちゃ大変です。

そして、国内外で活躍されてきた本当に上手なダンサーの方々が踊ることによって面白さが増すんじゃないかなと(笑)。ダンサーの方々もそういうことに抵抗なく、プロとして楽しんでやってくださる方々なので。出たいですと言ってくださる方も多いんですよ。

――衣装チェンジだけでも大変ですね。

そう! 衣装の数がすごくて。みんなで「着替えてた1時間半だったね」と話してました(笑)。めちゃくちゃおカネかかりました。

芸人×バレエの相性の良さを実感

――前回、それぞれの公演の後半にゲスト芸人(大阪公演では吉本新喜劇の吉田裕座長、東京公演では銀シャリ)が登場したそうですね。

芸人さんの登場は、むちゃくちゃ好評でしたね。わかりやすかったというか、「笑っていいんだよ」という空気感をつくってくれた感じでしたね。さすがだなと。芸人さんとバレエって相性がいいんだなって改めて感じましたね。バレエって言葉がない芸術なので、言葉で笑わせる芸人さんと相乗効果的なものがありました。

――お笑いとバレエの共通点ってなんでしょう?

うーーん、基礎がしっかりしているってところじゃないですかね? どちらも一朝一夕で簡単にできるわけではありません。新喜劇は本当に基礎から教えてもらったので、新喜劇から基盤を作ってスタートできてよかったなと思います。老若男女が絶対に笑うような、本当にわかりやすい基礎をしっかり教え込まれました。

新喜劇はお笑い好きの方だけでなく、いろんな方が来る。絶対に笑かさないといけないという場で勉強していたので、基礎が大事だと思います。バレエも同じで、ただ足を上げてジャンプするのではなく、基礎がめちゃくちゃ必要で、「基礎から応用」という部分は一緒なんじゃないかなと思います。

出典: FANY マガジン
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――バレエからお笑いの世界に入って、戸惑いはなかったですか?

私はバレエの世界しか知らなかったので、吉本に入って失敗や恥ずかしい思いをたくさんしました。新喜劇スタートだったので、上下関係がすごくしっかりしていて。礼儀作法とかいろんなことを教わりつつ、自分がいかにバレエしかしてこなかったのかということにショックを受けました。だから、お笑いだけでなく、いろんなことの基礎を教えてもらったことに、めちゃくちゃ感謝しています。

――厳しい上下関係の世界を乗り越えられたのは、バレエで培った精神力があったからですか?

バレエでというより、もともとの性格が負けん気強くて……。バレエの人は、みんな気が強いんですけど(笑)。あと実際、お笑いが好きだったんですよ。バレエより断然、お笑い派で。バレエの舞台を見に行かないで、baseよしもと(かつて大阪・難波にあった劇場)に毎週行ってましたから。

めっちゃ観に行っていたので、逆にいま新喜劇のみなさんと、芸人さんたちと同じ空間にいられることが幸せで。だからお笑いの世界で苦労したというより、ただ自分が何もできていない、気が強いだけの女だったということを、そこで知ったというだけでしたね。

「私にしかできない公演を私がつくったほうが早い」

――松浦さんのターニングポイントはどこでしたか?

新喜劇に入団してからずっと新喜劇しかなくて、YouTube(松浦景子のけっけちゃんねる)とかをやりだしたことで、「新喜劇の松浦景子」ではなく、わたしを知ってくれる方が増えて、そこからバレエの公演に呼んでもらう機会が増えたんです。

ただその段階では、芸人としてではなく、バレエダンサーとして呼ばれていたんですよね。呼ばれたら練習もちゃんとしてまっとうするんですけど、若干悶々としていたんです。プロの方と混ざって本気でバレエするのがやりたかったことなのかなと。

一方で、新喜劇で単独ライブとかやらせてもらうようになって、ルミネやNGK(なんばグランド花月)まで持って行けるようになったんです。ただ、来てくださるファン層はYouTubeから来てくれるバレエファンが多かったですね。

それはそれでめっちゃうれしいんですけど、そこでも、いただけるのが“お笑い”としての歓声ではなかったんです。そこにどこか歯がゆさを感じて、「ならばバレエもやるけど、お笑いもやる。私しかできないそういう公演を私がつくったほうが早いな」と思いました。

そんなときに、ニューヨークのコメディバレエ団の公演に初の女性ダンサーとしてオファーをいただきました。いつかコラボしたいとは思っていたバレエ団だったんですけど、まさか声をかけてもらえるとは……。そこでコメディバレエのすごさに圧倒されつつ、「こういうの私やりたかったんだ!」と開眼しました。吉本にいるという強みと、私にしかできないものがいっぱいあるなと気づけた大きなターニングポイントだったと思います。

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――前回の公演を経て、今回の舞台で進化させたいポイントはありますか?

実は前回やりたかったけど、人数の関係とかでできなかった演目をやりたいなと。あとは、前回よかったと好評だったものは同じことをやるわけではなく、前回よりもパワーアップさせたいです。

前回、観てくれた方から「もうちょっと攻めてもよかったよ」と言われたんですよね。「ちょっとバレエの人に媚び売りすぎてたよ」とか(笑)、「もっとトガっていていいのに」とか、「ホンマにやりたいことはまだ秘めてそう」とか言われたんですけど、確かにそういう部分もあったので、ちょっと“攻める気持ち”を込めてポスターも攻めてみました(笑)。

正直、「白鳥の湖の全幕やります」っていうほうが構成も衣装も振り付けもラクなんですよ。でも、やりたいことはそうではないので。逆にお笑いの単独ライブチックに作っています。一つひとつをテンポよく見やすく。ただ、単独ライブのネタをひとつずつ作る大変さに加えて、バレエも作らなくてはならないので、むちゃくちゃ大変なんですけどね(笑)。

「いつか新喜劇のレジェンドにチュチュを着せたい」

――バレエの舞台を観に行くのはハードルが高く感じてしまいますが、お笑い×バレエなら子どもも含めて気軽に触れられそうな気がします。

そうなんです! 前回も、お子さんたちがすごく盛り上がって笑ってくれていて。それって、まさに私がやりたかったことなんです。私も小さいときにバレエの公演を観に行かなかった理由は、そこにあって。笑ったりしてはいけない空気感で眠たいだけ……って、小さいころは思っていたんですよね(笑)。そういうことでバレエから離れてしまう子がいるのはもったいない。

これを観て「面白くてスゴイ! 私もやってみたい」と思ってくれる子が1人でもいてくれたらと思うし、その気持ちを忘れないでほしいなと。今回の公演は8月ということもあるので、夏休み中のお子さんたちもぜひ来てほしいです。「けっけバレエほど楽しめるものはない」と自負してますので!

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――今後の目標を聞かせてください!

この公演は、私が急に飽きない限りはずっと続けていきたいなと思っています。もうちょっと体制が整ったら、もうちょっとやりやすくなるかなと思っているので、比重をうまく分散させたいです。この公演を楽しみに1年頑張る人とかが出てきてくれたらうれしいですよね。

あとは、これを観てくれた子どもが「けっけバレエに出たい!」という理由で、バレエを続けてくれたりしたらいいなぁと。私が“バレリーナ芸人”と言い出したのは、バレエを知らない人がまだまだ日本には多すぎたのが理由です。私がこの公演をしていくことで、ほんの少しでもバレエの世界への入口になれればと思っています。私は「バレエの世界の入口で、チケットもぎっている人」っていうような認識です。

もっと大きな目標は海外進出です! バレエは言葉がいらないですから、それが強みでもある。となれば、希望はあるし、海外の人のほうがウケてくれそうな気もします。

個人としてはもうちょっとお笑いにちゃんと向き合って、バレエばかりにならないようにしようと心がけています。主軸はやっぱり芸人でありたいと思っているので、ネタを磨いて、ピンネタとかもしっかりしている芸人になりたいなと。

そしていつか新喜劇の座員だけで、バレエをイジった演目ができたらなと。新喜劇のレジェンドたちやベテラン勢にバレエのチュチュを着せたくて(笑)。そういうのをNGKでやれたらいいなと思っています。

公演概要

「けっけバレエVol.2~ガニ股の大暴走~」

<大阪公演>
日程:8月23日(土)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
①開場:13:00 開演:14:00
②開場:17:30 開演:18:30

<東京公演>
日程:8月28日(木)
会場:めぐろパーシモンホール 大ホール
③開場:13:00 開演:14:00
④開場:17:30 開演:18:30

出演者:松浦景子、他(バレリーナなどを予定)
チケット:S席7,000円、A席6,500円、B席6,000円(本人のサイン入りポストカード付は各席+500円)
※出演者は後日発表。詳細・出演者・稽古風景は公式インスタグラムなどで随時発信します。

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