人気声優と吉本新喜劇座員がコラボレーションする舞台『朗読劇ボイコメ vol.4〜声優×吉本新喜劇〜』が、5月17日(土)・18日(日)の2日間、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで開催されました。今回も豪華声優陣と新喜劇座員たちの“化学反応”が随所に飛び出してファンは大喜び! 初日ステージの模様を、トークコーナーまでたっぷりとレポートします。

石川界人が登場するなり「クサレゲドウ」!?
昨年2月の第1弾以降、回を重ねるごとに大きな話題を呼んでいるこの朗読劇は、吉本新喜劇の川畑泰史が脚本を手掛け、関西発のエンターテインメント演劇集団・片岡自動車興業の片岡百萬両が演出を担当。“吉本新喜劇”という普段と違うフィールドで、“声”を武器に笑いを巻き起こす声優たちと、“動き”を封印された新喜劇座員たちの奮闘ぶりが注目を集めています。
今回も、過去3回同様に豪華メンバーが勢ぞろい。17日(土)の昼・夜公演には、『SLAM DUNK』の流川楓役や『新機動戦記ガンダムW』のヒイロ・ユイ役でおなじみの緑川光、『ラブライブ!』の小泉花陽役、『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』の梓川かえで役を演じる久保ユリカ、『ハイキュー!!』の影山飛雄役、『僕のヒーローアカデミア』の飯田天哉役で知られる石川界人が出演。新喜劇は川畑と島田一の介、烏川耕一という“ベテランおっさん座員”が迎え撃ちます。

椅子が置かれただけのシンプルなステージに、まず登場したのはスーツ姿の川畑。名刺がわりに「カー!」のギャグを披露すると、客席から“待ってました”の拍手が起こります。
物語の舞台は、大阪・関西万博です。万博スタッフ役の川畑は、“ワラワラ王国”という謎の国のパビリオン担当になったことをグチりつつ、万博のテーマや架空の同時通訳マシン“バイリンガール”など、進行に不可欠な設定や朗読劇の世界観を、笑いを交えながら観客と共有。
川畑とともにほぼ出ずっぱりとなったのは、ワラワラ王国から派遣された“カイジン”という名前のスタッフ役の石川です。出てくるなり「クサレゲドウ!」(ワラワラ語では別の意味とされる)と叫んで度肝を抜き、川畑との異文化コミュニケーションでさっそく笑いを生み出します。石川は、とぼけた味わいのキャラクターを、喜怒哀楽てんこ盛りの演技で表現しました。

緑川光の熱演に「ええ声やなあ……」
久保は、一の介演じる“世界観光協会会長”の秘書役。会長を手のひらで転がす小悪魔キャラで、コメディエンヌぶりを発揮します。一の介を相手に、お手をさせたり猿回しの猿の動きをさせたりとやりたい放題で、ついには自身も一緒に猿になりきる大熱演! 一の介の“ハゲ”イジリや川畑をバッグでドツくボケなど、新喜劇の定番ネタにも挑戦しました。

名前にぴったりなグリーンのスーツで現れた緑川は、ワラワラ王国のライバル“チンピラ王国”パビリオンのスタッフ役で登場。上司役の烏川とともに「邪魔すんでー」「邪魔するんやったら帰ってー」「あいよー」というお約束やりとりや、「嫌なことがあると奇声を発する」というチンピラ王国人の特徴を実演して笑わせます。
川畑は“回し”としてツッコミまくって物語を牽引。一の介、烏川もベテランらしい持ち味を発揮しつつ、声優陣との掛け合いで笑いを増幅させます。

ワラワラ王国に伝わる漫才によく似た伝統芸能“イザンマ”と、石川演じるカイジンの生き別れた姉探しをストーリーの柱に、後半は予想外の事態が続々発生! 緑川×烏川、石川×川畑という2組のコンビが“イザンマ”ならぬガチ漫才を演じる場面では、それぞれ息の合ったしゃべくりで爆笑をさらいました。
カイジンの生き別れの姉が、実はあの人だった──という衝撃のクライマックスでは、緑川が女性になりきる熱演に、川畑が思わず「ええ声やなあ……」とポツリ。最後は緑川と石川が“きょうだいイザンマ”を披露する大サービスで締めくくり、観客を大喜びさせました。

新喜劇を見て育った久保ユリカ
本編終了後は、キャストが勢ぞろいしてトークコーナー。MCはFM大阪DJの淡路祐介と、新喜劇きっての“オタク座員”岡田直子です。
まずは、川畑が「お客さんがあったかくて、『ボイコメ』はお客さんと一緒に作り上げるものだと改めて感じました」と挨拶。一方、一の介と烏川は初めての『ボイコメ』を大いに楽しんだ様子ですが、老眼のため台本を読むのに苦労したとか。どちらも「台本を見ながらの舞台はラクだと思ったけど……」と朗読劇の難しさを痛感した様子です。
声優陣は、全員が新喜劇でお馴染みの“花月うどん”のハッピを着用して登場。緑川は「僕は栃木(出身)なんで……」と、新喜劇からのオファーに最初は戸惑ったそうですが、「あたたかく迎えていただいて楽しかった」と笑顔を見せました。
奈良出身の久保は、子どものころ、毎週土曜に帰宅してから「吉本新喜劇を見るのがルーティンだった」と振り返り、その世界に飛び込めた喜びを語ります。新喜劇に「そこまで馴染みがなかった」という石川は、まさかの全編出ずっぱりに苦笑い。「カロリー高すぎ! しゃべり過ぎて頭が痛いです!」と叫ぶと、一同大爆笑でした。

声優陣3人のふだんの交流については、これまでがっつり共演したことはないようですが、石川にとって緑川は「ラジオでトークを教えていただいた先生的な存在」とのこと。緑川は「そのころからセンスがよかった。絶妙な返しをしてくる天才肌」とべた褒めです。久保は「(声優仲間の)内田彩ちゃんからも、めちゃくちゃいい人だと聞いている」と緑川の人柄を称賛し、それぞれがお互いをリスペクトしていることがうかがえました。
その後も、声優を目指す若者に向けて緑川が送ったメッセージをテーマに“声優道”が語られたり、一の介から「自分はずっと王子様だと思ってやってる」と衝撃の告白が飛び出したりと、クロストークは驚きと笑いの連続。本気のオタクゆえ挙動不審になりつつも、適切な質問やツッコミを入れる岡田の存在も、トークをさらに白熱させました。

翌日の18日(日)の昼・夜公演では、声優キャストが総入れ替え。『食戟のソーマ』の田所恵役や『エロマンガ先生』の山田エルフ役を演じる髙橋ミナミ、『あんさんぶるスターズ!!』の椎名ニキ役、『DREAM!ing』の柴咲真也役を務める山口智広、『とある魔術の禁書目録』の上条当麻役、『バクマン。』の真城最高役を演じる阿部敦が出演し、初日とはまたガラリと違う朗読劇で観客を魅了しました。
そして、『朗読劇ボイコメ~声優×吉本新喜劇』が6月29日(日)にいよいよ東京に初上陸します。会場の池袋・アニメイトシアターに、小野坂昌也、置鮎龍太郎、上田瞳という声優陣が集結! 声優ファンも新喜劇ファンも見逃せません。
公演概要
『朗読劇ボイコメ~声優×吉本新喜劇in東京~』

日時:6月29日(日)①13:00開場/13:30開演 ②15:30開場/16:00開演
場所:アニメイトシアター
(東京都豊島区東池袋1-20-7 アニメイト池袋本店B2)
出演:川畑泰史、天津飯大郎、岡田直子、小野坂昌也、置鮎龍太郎、上田瞳、ほか
作:川畑泰史
演出:片岡百萬両
料金:前売 6,500円/当日 7,000円 ※全席指定
チケット販売:FANYチケット ほか
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