吉本興業と東京大学が立ち上げた「笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト」の一環として、6月15日(日)に大阪・関西万博で実施された『Walk the Talk for SDGs in EXPO 2025 UN & YOSHIMOTO』のトークセッション「国連職員に訊いてみた!国連ってどんなとこ?」に銀シャリ(鰻和弘、橋本直)と現役東大生2名が参加しました。

国連パビリオン イマーシブシアターで開催されたこのスペシャルトークセッションは、「国連ってどんなとこ?」をテーマに、実際に国連職員の方々にいろいろなことを教えていただくというものです。
国連からは、国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所所長の日比絵里子さん、国連グローバル・コミュニケーション局アウトリーチ部の浦野翔太さんが出席。東京大学大学院からは農学生命科学研究科修士課程2年の野々口真伍さん、同1年の毛塚咲絵さんが参加しました。 MCを務めた鰻は「国連って何でしょう?」と観客に問いかけつつ「とはいえ僕はまだちょっとわかってないです。『国連』って言うのも人生で3~4回目ぐらい……」と本音を話して観客を笑わせます。
国連職員の方に質問したい2人の現役東大生が登壇!

野々口さんと毛塚さんは、「Walk the Talk」に運営スタッフとして参加している6名の東大生のうちの2名で、国連の仕事に関心があり、ぜひ職員の方に話を訊きたいということでトークセッションに参加。野々口さんは普段、地球で起こる「砂漠化」の現象を研究。毛塚さんは現在、食や健康、とくに人の味覚のメカニズムを研究していると言います。
一方、日比さんは、「世界でお腹をすかしている人たちをなくす」という大きな目的のために活動している方。そして浦野さんは、ニューヨークにある国連本部で大学や民間企業、個人の方々に働きかけ、みんなでSDGsを推進していくために働いていると言います。そして、今回の会場でもある国連パビリオンを担当した部署でもあるそうで、「皆さんに来ていただいて本当に今、うれしく思っています」と笑顔で語りました。

現役東大生の2人から国連職員の方々に聞きたいことをテーマに、トークセッションがスタート。野々口さんからの質問は、「働いていて一番楽しいと思う瞬間はいつですか?」というもの。日比さんは「私は現地に行って農業水産の支援をするんですが、現場の方々と会って話せることが一番楽しい」と話し、現地の方から「おかげでおばあちゃんも子どももご飯が食べられます」と感謝されると「よかった」とうれしくなると答えました。
以前、紛争下のシリアで経験した驚きのエピソードも明かし、観客が目を丸くする場面もありました。これを受けて野々口さんは「今の自分には絶対にできないことだし、国の問題を解決していてすごいな、かっこいいなと思いました」と感銘を受けていました。
また、野々口さんからは、「働くうえで重視しているものは?」という質問も。これに対し、浦野さんはニューヨーク本部では世界各国のスタッフが集まっている職場環境を伝えた上で、「さまざまなスタッフのいろんな文化を尊重し、受け入れて理解し、一緒に働くこと」を重視していると言います。一方で「いろんな国の方と会えるので勉強になるし、世界旅行している気分になります」とも語りました。
SDGsは、17の目標がすべてつながりあっている

毛塚さんからは、現在の各国の食糧事情についての質問が。質問を受けて、日比さんは、昔はそれぞれの土地で作って収穫して食べていたものの、現在は貿易がさかんで、そのために国際的なルールを守って輸出入をする必要があると説明。そのルールを取りまとめるのが国連の役割であり、“グローバルな学級会”のような存在とわかりやすく解説しました。
毛塚さんからのもうひとつの質問は「SDGs」にまつわるもの。SDGsには17の目標がありますが「17の目標の達成具合を揃えるべきか、それともそれぞれを個々に捉えて進めていくべきなのか、どうなんでしょうか」と尋ねます。これを受けて日比さんは、「便宜上目標は17ですけれど、例えば食料の場合は目標2の『飢餓をゼロに』。しかし環境とか、気候変動が起これば飢餓は失くせません」。このように、貧困、環境、教育などさまざまな要因が関係し合うため、「ある意味、17の目標が同じ船に乗っているようなものだと我々は思っています」と説明しました。これを聞いた毛塚さんは、「そうですね、全部がつながりあっていて、協働して進めていかなきゃいけないですね」と深く納得した様子でした。
まず身近にいる人を大切にすることで平和な世界が広がる

最後の質問は「平和な世界をつくるために私たちができることは何でしょうか?」というもの。これは参加者全員に問いかけられました。野々口さんは「感情的にならないこと」、毛塚さんは「身近にいる人との関係性を大切にして、それが広がっていけば平和につながる。なので『ありがとう』と『ごめんなさい』はちゃんと言いたいと思います」と語ります。橋本も「身近な人を大切にする」という意見に特に共感した様子でした。
浦野さんは、ダグ・ハマーショルド第2代国連事務総長の「国連は私たちを天国に導くためではなく、私たちを地獄から救うために創設された」という言葉を引用し、「つねにいちばん大変な思いをしている方々をしっかり助けていくこと」、日比さんは「世の中にお腹をすかせている人、栄養不良の人がいる限り、平和は達成できない」として、「日本にいる我々が今できることは、今、お米の値段が上がっていますが、これを契機にお米以外の食べ物が世界のどこからきたのか、誰が生産してどういう経路で自分の食卓に来たのかを考え直すことが非常に重要で、いろんな世界の課題や問題が見えてくるので、ぜひやっていただきたいです」と語りました。

■笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト
東京大学の学生たちが新たな文化や価値観に触れることで、新しいアイデアや発想を生み出す力を身につけることを目的にした取り組みで、2021年3月にスタート。これまで吉本芸人から漫才を学ぶワークショップなど、芸人と学生がコラボしたさまざまな企画が実施されています。