吉本興業所属のムジンゾウ(夢、りん)と、サンミュージック所属の無尽蔵(野尻、やまぎわ)による寄席「むじんぞう寄席」が、8月30日(土)に大阪・扇町ミュージアムキューブ CUBE01で開催されました。事務所も活動エリアも違うものの、コンビ名が一緒という縁で出会った2組。はるばる東京から乗り込んできた無尽蔵と、大阪の仲間たちに囲まれて迎え撃つムジンゾウの対決に、会場は熱気と笑いに包まれました。(撮影は芸人カメラマンの吉本新喜劇・おやどまりが担当しました)

いきなりのライバル心むき出し!
オープニングは、まず出演芸人総出でトーク。ムジンゾウ側が「なんですか? このライブは」と吠えれば、無尽蔵も「呼ばれてきたんですよ、こっちは!」と早くもバチバチと火花を散らします。
実はこのライブ、ムジンゾウのマネージャーからの提案なのだとか。ステージでの共演は初めてですが、お互いかねがねその存在は意識していたといいます。
なかでも今年の『UNDER5 AWARD』で、ムジンゾウは準決勝で敗退。かたや無尽蔵は決勝進出。そこでムジンゾウは、決勝に駒を進めた後輩の生姜猫に「とりあえず、無尽蔵だけは勝たすな」と司令を出していたのだとか。早々に息巻く2組に訪れる結末とは……!?

まずはネタコーナーから。マーティー(真平、ホソ)、生姜猫(川﨑、ケージュ、カンサイ)、例えば炎(タキノルイ、田上)、ジョックロック(福本ユウショウ、ゆうじろー)、ヨネダ2000(誠、愛)が順にネタを披露したところで、ムジンゾウがコントを披露。
そして、トリは無尽蔵が漫才を披露。出だしから吉本チームに対して「仲間使わんとケンカでけへんのか!」「われわれは単身で乗り込んでまいりました」と威勢よくふっかけてお客さんは大笑いです。
仁義なきクイズ対決は刺客も登場!?
そして、いよいよ対決のとき。2人とも東京大学卒業という超エリートの無尽蔵は、きっとクイズが得意だろうということで、クイズで対決することに決定!
「VS無尽蔵クイズ」と題して、無尽蔵と吉本チーム12人が戦います。人数的には圧倒的なアドバンテージがある吉本チーム、「ボコボコにして(東京に)帰すぞ!」と気を吐く夢ですが……。

クイズは早押し形式で、ルールは、正解すれば4×4の16枚のパネルから1枚を選び、無尽蔵チームは赤色、吉本チームは青色に変えることができる、いわば『パネルクイズ アタック25』の要領です。ここで、やまぎわが「(パネルの数が)“奇数”じゃないの……?」とポツリと呟き、さすがの聡明ぶりに吉本チームは早くも戦慄!?
クイズが得意なだけあり、無尽蔵チームは1問目、2問目と連続して正解を出して順調な滑り出し。反対に、回答ボタンは早く押せても、なかなか正解が出せずに苦戦する吉本チーム。
すると生姜猫・ケージュが「あっちのチームに行って足引っ張ってきましょうか?」と提案。結局、ケージュとマーティー・ホソが“刺客”として無尽蔵チームに送り込まれます。

出題される前に早押しボタンを押すなどワチャワチャと場をかき乱すケージュとホソでしたが、ともに戦ううちに仲間意識が芽生えたのか、クイズに正解すると手を取り合って喜ぶ場面もありました。
結局、勝利をもぎ取ったのは無尽蔵チーム。バチバチと火花を散らしていた2組ですが、最後はヨネダ2000・誠の「みんなで肩を組んで写真でも撮ろう」という提案で、仲よく記念撮影をして一件落着となりました。

「いい奴って言ったの、取り消して」
イベント終了後、ムジンゾウと無尽蔵に感想を聞きました。
——大盛り上がりでしたね!
夢 めっちゃ楽しかったですね。実際に会うまでは「やまぎわのケツ、蹴ったろ」と言ってたんですけど、思ってたよりいい奴だったんで、それができなかったです(笑)。
やまぎわ その計画、なに!?
りん どういう気持ちで臨んだらいいのか、初めはわからなかったんですけど、東の無尽蔵がガツガツと来てくれたので、めっちゃ助かりました。とりあえず、いい奴でしたね。

野尻 クイズは負けるわけにはいかなかったです(笑)。東の無尽蔵と西のムジンゾウは、世代こそ近いですけど、ムジンゾウはコントだし、僕らは漫才だし、東大と出してたり。コンビ名以外に共通点がほとんどないコンビだと思っていたんですけど、名前が一緒ってだけでこんな素敵な機会をいただけて。素晴らしい、運命の出会いです。
夢 いいこと言う……!
りん 僕なんて、留年して高校4年行ってますからね(笑)。
夢 対比になるやん。
やまぎわ 僕は……モヤモヤしますけどね~。
3人 えー?
やまぎわ 結局、“むじんぞう”ってどっちのもんなん? って。クイズもガチでやりたかったのに、吉本チームにジャマされて……。

野尻 バチバチじゃん……! なにこいつ! 「楽しかった」でいいじゃん!
やまぎわ その点がモヤモヤしちゃったんで、まぁ決着つけるなら次の機会かなって。
野尻 まだ決着ついてない?
やまぎわ まだ決着はついてないでしょう、これは!
夢 僕の「いい奴」っていうの、取り消しといてもらっていいですか?
野尻 憎しみを生むだろう! 対立しないでよ!
やまぎわ まぁ、楽しくはありました。
一緒に全国で売れるように!
——ところで、コンビ名の“むじんぞう”はどちらが先なんでしょうか?
夢 それもしゃべったんですけど、ややこしいっていうか。僕らのほうが芸歴は上で、でも“むじんぞう”ってつけていたのは……(無尽蔵のほうを見る)。
やまぎわ 結成は僕らのほうが先です。僕らは大学1年生のころから無尽蔵で組んでいたので。
野尻 それで大学1年のときに『M-1グランプリ』も出ちゃってるんで。
夢 東大出身やし、絶対(お笑いを)やめるわと思ってたんですけど……。

野尻 「芸人になるわけがない」と?(笑)
りん 芸人になったらアホすぎるやろ、と。
夢 それが、東京でどんどん名前が出始めて。
りん それで僕らも焦り出しました(笑)。
野尻 こうなったらお互いに全国区で売れたいですね。こんなこと歴史上、ないと思うので。
——もし次回が開催されるなら、舞台は東京でしょうか?
やまぎわ 東京に来ていただけたら。
野尻 我が事務所からママタルトさんも出しますよ!
やまぎわ 次回はこっちの洗礼を受けてもらって。
りん そうなったら(生姜猫の)ケージュだけは連れていきます(笑)。今日みたいにまたジャマしてもらいます。

