吉本興業には『プロモーション部』という部署があります。宣伝やイベント、広報、SNSによる情報発信などで、メディアと吉本をつなぐ部署。いわば芸人の活動を外へ届ける最前線です。ふだんは裏方を務めているこのプロモーション部が初めて企画・主催したライブが、10月20日(月)に大阪・YES THEATERで開催されました。題して『記者から突撃インタビューを受けた。その時あなたならどうする?』。メディア対応に焦点を当てた珍しい企画ですが、はたしてその内容は……!? 芸人ライターの茜250cc・善家カズマサが徹底レポートします!

「やらかした件」について記者から直撃インタビュー!
この日のライブは2部構成で、第1部の『みなさまへ、大切なご報告があります。』に続いて開かれたのが、この『記者から突撃インタビューを受けた。その時あなたならどうする?』。芸人たちが“何かやらかした”という体で取材を受ける「シチュエーション突撃取材ライブ」で、ちゃんと対応できていたかどうかを、ゲストの芸能ジャーナリスト、中西正男さんが審査します。
出演は、以下のメンバーです。
MC:ザ・プラン9・浅越ゴエ
スマイル・ウーイェイよしたか
豪快キャプテン・山下ギャンブルゴリラ
フースーヤ(田中ショータイム、谷口理)
ジョックロック(福本ユウショウ、ゆうじろー)
例えば炎(タキノ ルイ、田上)
最初のコーナーは「突撃!対応力採点」。くじで選ばれた回答者が、お題の”やらかしたこと”について記者からの突撃インタビューを受け、その対応を中西さんが採点します。今回、その記者役に“抜擢”されたのは、セルライトスパ・大須賀とネイビーズアフロ・みながわの2人です。

最初の回答者はフースーヤ・田中で、やらかしたことは「不倫」。ベージュのジャケットにハンチング帽という”THE記者風”な風貌に身を包んだみながわが、田中に突撃します。
「お付き合いされている方に、ご家庭があるとのことですが、この件についていかがでしょう?」
不倫相手とホテルから出るところを激写した写真を見せられると、田中は「写真の人物は自分ではなく双子の弟だ」と苦しい言い訳。これでは、さすがに記者に押し切られる……と思いきや、「お前、こないだ双子の弟と歩いてたよな!」と相方の谷口が参戦して、助け舟を出します。

これに対してみながわが「二卵性の双子の弟がいらっしゃるとのことですか?」と質問すると、フースーヤの2人は、顔のそっくりな双子だとうなずきます。すると……。
「わたしは先ほど”二卵性”と言いました。顔がそっくりなのは”一卵性”です。あなた、ウソをついているのではないですか?」
そのあまりにスムーズなみながわの“引っ掛け”に、客席から悲鳴まじりの歓声が上がります。そして私は確信しました。「みながわさん、普段からこういうことしてそう~」。
ちなみに、田中の対応に対する中西さんの採点は「20点」。その理由は、相方もかかわってくるとリスクが2倍になるから得策ではないとのこと。たしかに、コンビが2人ともウソをついていたとなると、社会的信用を失うことになりそうですね……。このライブ、すごく勉強になる!

シークレットゲストであの大物が登場!
続いて豪快キャプテン・山下が「交通事故を起こした」体で、大須賀の突撃に対応します。が、「山下がバイクで老人をひいた」と言い張る大須賀と、「自分は老人にバイクでひかれた」と言い張る山下のやりとりは、主張のぶつかり合いで終了。
それでも意外なことに、中西さんの採点は「70点』と高得点! 記者の目をしっかり見て会話を続ける姿勢は心象がよくなるということで、高い評価を得たのでした。

そして最後は「過去に実際にやらかしたことがある人」とのあおりで、いったい誰が登場するのかとワクワクしていると……なんと、シークレットゲストとしてザ・ぼんちのぼんちおさむ師匠がステージ上に! これはまさに、記者役の2人に仕掛けられたドッキリのようなもの。みながわと大須賀がどう対応するのか見所です。
緊張した面持ちの2人が「ぼんちおさむさんですよね?」と声をかけると、おさむ師匠は「はい!!」と凄まじいボリュームで返事をします。そして、酔って街中で全裸になったことを完全に認めると、全裸になったのはそのときが初めてではないことや、自宅から全裸で徘徊していたことなど、問われた余罪すべてに「はい!!」と元気に返事をします。

あまりに多い“やらかし”に会場が爆笑に包まれるなか、突撃は終了。気になる得点は、まさかの「1000000000点』!?
中西さんがその理由を「おさむさんは何をしてもいい人です」と話すと、MCの浅越が「おさむ師匠は責任能力を問われないタイプかもしれませんね」とコメントして、会場は共感の拍手と笑いであふれました。
ゲスト採点者から思わぬ芸能情報が!
「ちゃんと謝罪しよう!」のコーナーも、くじで回答者を決め、お題の「やらかしたこと」を記者がいる体で謝罪。中西さんがダメだと思ったタイミングでボタンを押すと舞台が暗転し、強制終了となります。
最初の挑戦者はジョックロック・福本で、やらかしたことは「一般の方ともモメて暴力事件を起こした」。ふだんから相方のゆうじろーに対する“暴力”が話題に上がっているので、お題が発表された時点で大きな笑いが起こりました。
効果音として何台ものカメラのシャッター音が流れるなか、涙ながらに謝罪を始める福本でしたが、被害者に対するコメントで「僕も反省してるので、お前は二度とオレの前に現れるな!」と殺気に満ちた表情でコメントしたところで強制終了。

あまりの感情のコントラストと、本当に人を殺めてしまいそうな福本の表情に、客席からは悲鳴が上がりました。うーん、福本、俳優業でもやっていけるんじゃないか……?
強制終了の理由について中西さんは「まず髪を切らなあかんわ」とまさかのコメントで、会場は大爆笑です。
続いての挑戦者は例えば炎・田上で、「大御所タレントを怒らせて番組を降板した」ことの謝罪を始めます。「上沼恵美子さんを『カミちゃん』と呼び捨てにしたことが原因で……」と話し始めますが、「えみちゃんじゃなくて?」と出演者一同からツッコまれる羽目に。
結局、強制終了になりましたが、その理由について中西さんは「上沼さんはそんなことでは怒りません!」とコメント。思わぬタイミングの芸能情報に、会場は盛り上がりました。

ウーイェイよしたかが土下座で絶叫!!
そして最後のコーナーは「大事になる前に収めよう!」です。やらかす前にちゃんと対処できていれば、大事にはならないハズ……ということで、くじで回答者を決め、お題のシチュエーションが大事にならないように対処しますが、前回と同様、中西さんがダメだと思ったタイミングでボタンを押すと強制終了になります。
まずは例えば炎・タキノが「奥さんに浮気現場を見られた」というシチュエーションに挑戦! 金髪ボブのウィッグをつけた浮気相手役の大須賀とタキノが仲よく歩いているところを、茶髪ショートヘアーの妻役、みながわに呼び止められます。
「この女の人誰よ?」と聞かれて「マネージャーや」と言い切るタキノでしたが、終わらない押し問答にしびれを切らし、「もうおカネ渡すから、家帰ってメシ作っといてくれや!」とまさかの時代錯誤なセリフを絶叫します。

結果、強制終了となってしまいましたが、中西さんは「おカネで解決するのも手」と、この点についてはまさかの高評価! この発言について「ほんまはあんなこと思ってないですからね(笑)」と客席にフォローを入れるタキノでしたが、それでもこの時代にあんなワードを放り込めるなんて、「最近の若手の度胸すげ~!」とわたしは感動しました。
次に、ウーイェイよしたかが「痴漢と間違えられた」のお題にチャレンジします。が、痴漢された女性役で登場したのが、茶髪セミロングのウィッグをつけた、まさかのおさむ師匠! 女装した師匠の突然の登場によしたかは「怖い! 怖い! 怖い!」と絶叫!
なぜか熊のように手を大きく広げ、「もっかい触ってみい!」と大声をあげながら近づいてくるおさむ師匠に、よしたかは土下座をしながら「助けてください!! 命だけは!!」と懇願し、会場は大爆笑でした。

ぼんちおさむのパワーを体感!
わたしは、このライブを会場のいちばん後ろの席で観ていたのですが、それでも脳にビリビリ来るおさむ師匠のパワーに圧巻されました! 最後列のわたしですらこんなにもパワーを感じるわけですから、前方の観客は倍以上のパワーを感じたのではないでしょうか? この日は、おさむ師匠が何か叫ぶと会場は爆笑の嵐で、師匠のパワーのスゴさを体感いたしました。師匠、カッコよすぎます!!
そして最後、ライブを総括して中西さんから発表された「本日のいちばん対応できていた人」は、おさむ師匠に決定! その理由として中西さんは「おさむさんぐらい突き抜けたら、何もとがめられない」と語り、会場も納得の拍手となりました。

また逆MVPとして「いちばん対応できていなかった人」に選ばれたのはウーイェイよしたか。「あんなん絶対無理やん!!」と叫びますが、最後は”滑舌の悪いもの同士の絆”で、おさむ師匠とよしたかが熱い抱擁を交わしました。
こうして、プロモーション部による2つのライブは大盛況で幕を閉じました。どちらのライブもプロモーション部ならではの色と企画内容で、ふだんのライブとは違った空気で、とても満足感がありました。吉本にはまだたくさんの部署があるので、さまざまな部署の主催ライブを見てみたい、出てみたいと思いました!
そしてわたしも、おさむ師匠のようなパワーあふれる芸人になれるよう、頑張ります!!
