芸人アーティストのたいぞうが障がい者アートのグループ展「感覚に触発されて、新しい自分を発見できました」

大阪府障がい者芸術・文化大使を務める芸人アーティスト・たいぞうが仕掛け人となった障がい者アートのグループ展『輝く個性!こだわりストたちの世界』が、10月31日(金)から11月9日(日)まで大阪・LAUGH & PEACE ART GALLERY OSAKAで開催されました。最終日にはクロージングイベントとしてトークショーが開かれ、障がい者アーティストやスタッフとともに作品のこだわりや今後の活動について語り合いました。

出典: FANY マガジン
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制作過程を追ったドキュメンタリーも上映

今回の展覧会はたいぞうが、障がいのあるアーティストを支援する芸術家プロダクション「Abeille(アベイユ)」と、表現活動に取り組む障がい者施設「らいと」「やまなみ工房」とともに開催したグループ展です。2年前に自身の発達障がい(自閉スペクトラム症=ASD)を公表し、芸術とお笑いに向き合ってきたたいぞうは、今回、障がいのあるアーティストたちとのコラボ作品に挑戦。ここでしか見られない貴重な作品の数々や各アーティストの最新作が展示販売されました。

また会場内のモニターでは、作品が完成するまでの過程を追ったドキュメンタリー映像の一部を公開。さらにクラウドファンディングを実施して、運営などにかかる資金を募りました。会期中は、たいぞう本人も在廊して来場者との交流を深めたとのこと。

出典: FANY マガジン
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たいぞうは「僕と同じ障がいを持つ人が来てくれて、『勇気をもらいました』と言ってくれました。うれしかったです」と振り返りました。

「ニューヨークの2人に作品を見てほしい」

たいぞうが司会を務めたギャラリートークには、グループ展に参加した作家&施設のスタッフら計6人が登壇しました。

出典: FANY マガジン
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【前列左から】
田中乃理子さん(やまなみ工房・作家)、森田郷士さん(やまなみ工房・作家)、羽戸康貴さん(アベイユ・作家)、

【後列左から】
棡葉昌大さん(やまなみ工房スタッフ)、戸田理恵さん(やまなみ工房スタッフ)、鳥居隆史さん(合同会社らいと代表)

たいぞうから作品づくりのきっかけや原動力について聞かれた「やまなみ工房」の田中さんは、作家として活動するうちに夢が見つかったと明かします。「芸人のニューヨークさんが大好きで、いつか2人に作品を見てもらえるように頑張っています」という田中さんは、そんなアツい夢を抱きながら、日々、緻密な「縦縫い」による刺繍作品を作り続けているといいます。

出典: FANY マガジン
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繊細な“点と線のアート”と圧巻のコラボ

たいぞうとのコラボ作品を手がけた「やまなみ工房」の森田さんは、知的障がいがあるアーティスト。「ふだんは近所にしか買い物に行けない」という苦労もありますが、「世界中の人に作品を見てもらいたい」と夢は大きく、純粋なアートへの思いを語ってくれました。

出典: FANY マガジン
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たいぞうと「やまなみ工房」のコラボ作品は、森田さんの絵にたいぞうが色を重ねていったそうで、森田さんの繊細な“点と線のアート”と、カラフルで自由なたいぞうの世界観が融合した作品は圧巻の仕上がり。「ちょっと描きすぎてしまった……」と反省する森田さんですが、たいぞうは「森田さんの感覚に触発されて、新しい自分を発見できました」と語りました。

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たいぞうと同じ自閉スペクトラム症の「アベイユ」の羽戸さんは、アートとの出会いが「人生を変えた」と語り、グループ展の参加に充実感をにじませます。映画監督という夢もあるそうで、たいぞうも「羽戸くんは動画編集が得意だから向いてるかも!」と太鼓判。「子どもが主役のヒューマンドラマをつくりたい」と夢を語りました。

出典: FANY マガジン
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「“僕自身も作品”ということにこだわりたい」

次にたいぞうは、スタッフの人たちに「作家さんの活動をサポートするうえで気をつけていること」を質問。「やまなみ工房」の棡葉さんが「画材をたくさん準備するのはもちろん、キレイな景色を見に行くなど、新しい経験をしてもらうことで、可能性をとめないようにしています」と答えると、戸田さんも「皆さんの経験値を高めるために、いろんなところに出かけています」と、みんなで遊園地や水族館などに行った思い出を振り返りました。

合同会社らいと代表の鳥居さんは、障がい者のアートの今後についてこう力を込めました。

「障がいにはネガティブなイメージがありますが、魅力的な作品を通して、障がい者のことを知ってもらえたら。これをきっかけに、私たちの活動が認知されていったらうれしいです」

出典: FANY マガジン
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最後に『輝く個性!こだわりストたちの世界』というタイトルにちなんで、たいぞうが“アートに対するこだわり”を語りました。

「自分らしく生きて、自分らしく絵を描いて、人の役に立ちたい。“僕自身も作品”ということにこだわって、人生のキャンバスに自分なりの絵を描いていきたいです。僕は芸人なので、人を楽しませたい、喜ばせたい。その考え方はずっと変わらない。僕が絵を描くことで人が喜んでくれて、それがおカネになって生活ができたら、僕はめちゃくちゃうれしいです」

たいぞうの「障がい者アートを広めたい!」プロジェクト・クラウドファンディング:https://cf.fany.lol/projects/4309