今年で芸歴20周年を迎えたシソンヌ(じろう、長谷川忍)とチョコレートプラネット(長田庄平、松尾駿)のユニット「チョコンヌ」によるリバイバル公演『THE FIRST CHOCONNE -ザ・ファーストチョコンヌ-』が、12月27日(土)に東京・新宿THEATER BRATS(新宿シアターブラッツ)で開催されました。歳を重ねても変わらない仲の良さだからこそ生まれるアドリブ満載の爆笑コントに、会場は大きな笑いの渦に包まれました。

定員の10倍の応募が殺到!
ユニット結成から15周年の今年、5年ぶりの始動となったチョコンヌは、全国3都市7公演のツアーで約6000人を動員しました。このツアーのリバイバル公演となった今回の舞台は、2組がプロの芸人としてスタートして間もないころにたびたび出演していた新宿THEATER BRATS。チョコンヌとしての初回公演はもちろん、コンビそれぞれの初単独ライブもここで行われた“思い出の劇場”です。
チケット料金は、当時が思い出される「前売1500円」という、いまとなっては破格の価格設定。急な開催決定にもかかわらず、定員120人に対して1200人以上の応募が殺到しました。
この日のライブでチョコンヌは、今年のツアーで披露した2本、これまでのライブで披露してきた5本の計7本のコントを繰り広げました。

ボーイズグループのオーディションを題材としたコントでは、オーディション生に扮した長谷川が、同じくオーディション生に扮した松尾に詰め寄るシーンで、こじんまりとした空間ゆえにすぐ壁に激突。客席の目の前で臨場感あふれるやりとりを繰り広げる2人の様子を、プロデューサーに扮する長田がすぐさま取り入れ、新たな笑いを生み出します。
松尾扮する棒を振り回す上半身裸の男と、ほか3人が扮するその男を取り締まろうとする警察官によるコントでは、独特な棒回しをする松尾のパフォーマンスに、客席から大きな笑いが。長田とじろうが自分の持っていた防護盾で長谷川を抑えた際、長谷川の手から離れた防護盾を松尾が奪うという予期せぬ行動によって、3人の笑いが止まらなくなる場面もありました。

若手時代の苦労話に「売れて良かった」
エンディングで舞台にあらためて登場した4人は、客席を見た瞬間、昔を思い出したかのような、はっとした表情に。
長田は「すごい景色! 10何年ぶりですかね」と感嘆。長谷川の「その時に来てた方いらっしゃるんですかね?」との問いかけには挙手がチラホラ、じろうの「ブラッツ、初めての人も多いんじゃないですか?」という言葉には多くの手が挙がります。

客席の前方は黒いシートが敷かれた上に直座りするスタイルで、後方には膝をかなり折らないと座れない小さな椅子が。じろうは「マネージャーは(前方も)ちっちゃい椅子にしましょうかと言ってたんですけど、ブラッツはこれで! と言いました」と説明します。
長田が「最初のライブはこの客席も埋まらなかったよね?」と言えば、松尾は「最初の単独ライブもここだった」と、しみじみと合いの手。じろうも「俺らもここだった」とうなずきながら、コンビとしての初ライブがトラブル続きだったことを回想します。
その後も、当時挑戦した『キングオブコント』の1回戦の話題から、かつて渋谷にあった劇場・シアターDのエピソード、ヨシモト∞ホール(2025年3月閉館)の若手ランキングシステムのエピソード、初舞台についてなど、売れていなかった若手時代の苦労話があふれ出てくる4人。過去を振り返りながら、長田は「本当に売れてよかった」と感慨深そうにしていました。

開演が押した理由は「トイレ待ち」
終演後、4人が囲み取材に応じました。
この日のライブを感想を聞かれた長田は「こんなにお客さんとの距離が近かったんだと改めてびっくりしました。笑いがダイレクトで来るから、大きい劇場とは違ってちょっと緊張しました」と回答。
松尾が「最後に客席を見た感覚は忘れてないっていうか、懐かしいなと。すごくエモかったです」と話すと、じろうも「エンディングの客席の感じ、久しぶりに見たなって。さんざんデカいところ(舞台)に立ってますけど、これはこれでよかった」とうなずきます。
長谷川は「懐かしいし、あのころには戻りたくないなと思いましたけど、こうしてまた4人で立って、またがんばろうと思える良いきっかけになりました。不思議と気持ちのギアも入りやすかったです」と答えました。

思い出の劇場についての話題は続き、松尾は「いろんなライブをここでやってたんで」と振り返りながら、エンディングでも触れていた奥行きがない舞台袖について「この狭い袖もそうだし」と、すべてを懐かしみます。
チョコレートプラネットは『キングオブコント2014』でファイナリストになる前、新ネタライブを毎月、この劇場でやっていたそうで、「ラバーガールさんを呼んでやってましたし、『東京ワンダーズ』(チョコレートプラネットが渡辺直美、ジャングルポケットらと2008年に結成した若手ユニットライブ)もやってました」と回想。
松尾は「ワンダーズのあと、よく近くの焼肉屋で打ち上げしてたんですけど、オレとジャングルポケットの太田だけ出待ちがいなくて、すぐ焼肉屋に行けてました」と、ちょっぴり切ない思い出も語っていました。

さらに、じろうは「今日、開演がちょろっと押したのは、僕のトイレ待ちです」と告白。お客さんと同じトイレを使用することになるため、「女性がずっと並んでるから(なかなか行けなかった)」と説明します。
松尾が「それもブラッツあるあるだよね。お客さんいる? いないって確認して行くっていう」と懐かしがると、長谷川も「今日は2組だけだけど、若手がいっぱい出るライブだとエンディングはキツキツだった」と当時を振り返りました。
「全身タイツが入らなかった」
ここで、新宿シアターブラッツが2026年春あたりから改装工事に入るという情報が伝えられると、4人は驚嘆。長田が「じゃあ、よかった。最後にできて」と話すと、長谷川は「知らなかったけど、やってよかった。次から違う劇場みたいになっちゃうんだな。これも味だったんだけどなぁ」としんみり。松尾も「改修されちゃったら、話変わっちゃうもんね」と、改修直前のタイミングでライブが実現した奇跡に驚きを隠せない様子でした。
さらに話題は、この日披露されたチーターのコントについて。このコントは初回の「チョコンヌライブ」のネタで、演じたのは実に15年ぶりでした。

「いいネタだったんじゃない?」という長田に、3人も口々に「いいネタだった」と応じます。
「初回のとき、MAD(長谷川のあだ名)が(コントで着用する)全身タイツが入らなくて。試しに着るとかしてなくて、本番も始まってるし、どうするんだってなったら、長田さんが切るしかないじゃんって言い出して」
松尾が当時を振り返ると、長田も「そうそう、オレがビビビ!って無理やり切った」と懐かしそうに語ります。
じろうが「事前に衣装は1回着てみるっていうのを学んだよね」と話すと、長谷川は「成長したね」と笑顔で返しました。
今年はチョコンヌ15周年に加え、それぞれのコンビが結成20周年と記念ごとが重なり、稼働が多かった1年。2026年もチョコンヌの動きに要チェックです!
