吉本新喜劇・吉岡友見の初プロデュース公演は野村尚平が脚本・演出・出演! アキナ山名も登場した「父と娘」の物語に観客感涙

吉本新喜劇の吉岡友見がプロデュース・主演した公演『栞の住処』が、5月31日(日)に大阪・YES THEATERで上演されました。脚本・演出を手がけたのは元・令和喜多みな実の野村尚平。書き下ろしたのは、どこか吉岡本人とも重なる主人公と亡き父をめぐる物語です。アキナ・山名文和も出演し、吉岡と野村の“化学反応”で客席が感動に包まれた公演の模様をレポートします。(撮影は芸人カメラマンの吉本新喜劇・おやどまりが担当しました)

撮影: おやどまり
撮影: おやどまり

吉岡本人とも重なる主人公の物語

今回は、新喜劇入団まで東京で舞台女優として活動していた吉岡にとって初のプロデュース公演。吉岡は、野村が主宰する“劇団コケコッコー”旗揚げ公演をはじめ、これまで野村が手がける演劇作品にたびたび出演してきました。そのため、「自分がイベントをやるなら野村さんしかいない」と熱望してきたそうです。

開演の直前、舞台へ姿を現したのは野村です。この日は客層が幅広いため、野村が観劇に慣れていない人向けに、マナーや注意事項を説明しました。ここで芸人・野村が本領発揮し、随所に笑いを交えた軽快なしゃべくりで、観客の緊張をやわらげます。

撮影: おやどまり
撮影: おやどまり

そして幕が開き本編スタート。本を手に、何かをつぶやきながら登場した吉岡を、セミの鳴き声が包み込みます。そこへ弟らしき人物(野村)が現れると、客席は一気に“真夏の実家”の空気へと引き込まれます。

吉岡演じるトモコは、本好きだった亡き父が、最期に読んでいた本を探すため故郷へ戻ってきた様子。文句を言いながらも姉を手伝う弟、そしてなぜか現れる亡き父(山名)。やがて父と娘の不思議な対話が生まれます。

ファニマガのインタビューでも大の読書好きであることを語っていた吉岡だけに、トモコというキャラクターはまさにハマり役。出版社を辞め、現在は作家として活動するトモコとは対照的に、地元で平凡に暮らす弟を演じる野村は、姉への複雑な感情も抱いているようです。

そして“トモコが思い描く父の姿”として登場する山名は、生前伝えきれなかった思いを届けるように、娘へ静かに語りかけていきました。

撮影: おやどまり
撮影: おやどまり

新喜劇で培った“コメディエンヌ力”を発揮

そんな家族のやりとりの合間に、“最期の1冊”かもしれないさまざまな本の一節を、出演者が演じていきます。『手紙の往来』は、小さな街の書店を舞台にした物語。店主(山名)、孫(野村)、客(吉岡)が織りなすやりとりを通して、本作の重要なモチーフである“本”を軸に、人と人との心の交流が描かれます。

人生の旅路を終え、あの世へ向かうバスに乗り合わせた人々を描く『バスの行方』では、運転手(野村)と死者(吉岡)の軽妙な掛け合いで笑いを誘います。そして、もう1人の乗客である山名がバスに乗った理由が明かされると、温かな涙を誘う展開に。

撮影: おやどまり
撮影: おやどまり

『男達の根城』は、一転してハードボイルドかつバイオレントな世界観のストーリー。囚われの身となった野村を、山名がじわじわと追い詰めます。ヒリヒリとした緊張感に満ちたシーンが続きますが、実はこれ、とある脚本の世界。それを書いている作家の吉岡はスランプの真っただ中で、演じ手2人へ感情を爆発させる姿が大きな笑いを呼びました。

最後は、コインランドリーを舞台にした『下着の在処』。いつもの場所で、いつもの時間に顔を合わせる3人は、終わりのないループに閉じ込められていた──。徐々に不条理ホラーの色が濃くなり、背筋がひやりとするラストまで目が離せません。

まるで短編集を読み進めるような構成もこの舞台の魅力です。吉岡は、経験に裏打ちされた確かな演技力と、新喜劇で培った“コメディエンヌ力”で、それぞれの物語を鮮やかに彩ります。

撮影: おやどまり
撮影: おやどまり

脇役に徹しながらも、巧みな芝居とセリフ回しで舞台全体を引き締めたのが野村。山名は終始、自身の素顔ものぞかせるような自然な演技で強い存在感を見せました。

トモコが探し続けていた1冊の真相とともに、父の思い、娘の思い、弟の思いが、答え合わせをするように明かされていくクライマックス。父の「いつでも帰ってこいよ」「目一杯、人生楽しめよ」という言葉に、客席のあちこちで涙をぬぐう姿が見られ、ラストシーンは割れんばかりの拍手に包まれました。

アキナ・山名「怖かった! 終わった!」

カーテンコールで万雷の拍手に迎えられた吉岡は、感無量の表情で感謝を語ります。

「日曜日の大切な90分をいただいて、とてもうれしいです。いろんな方に協力していただいて、皆さまのおかげでこの公演ができたと思っています」

野村は、「彼女(吉岡)はこれからいろんな作品を皆さんに届けていくと思う。次回以降はぜひ配信や複数回公演もできるように」と、今後の吉岡プロデュース公演に期待を寄せます。

一方の山名は「口を開けば全部セリフが出ていきそうだった」と膨大なセリフ量を振り返り、「怖かった! 終わった!」と絶叫。大役を終えた開放感をにじませました。

撮影: おやどまり
撮影: おやどまり

吉岡は今回の脚本について、こう振り返ります。

「帰り道に少し上を向いて歩けるような気持ちになったり、何か派手なことがあったわけじゃないけど、明日もちょっと生きてみようかなと思える作品にしてください、と野村さんにお願いした」

「そんな作品になっていたらうれしいです」と語る吉岡は、「これからも新喜劇も頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします!」と締めくくりました。

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