【新企画】WhyブッキングThe芸人?「いい意味で疑り深そう」ロングコートダディ兎とDr.ハインリッヒ幸のCM「起用理由」を聞いてみた!

Why ブッキング The芸人?

企業CMやPR大使などで「なぜこの芸人をチョイスしたのか?」を担当者らにインタビューし、起用の舞台裏に迫る。

企業CMやPR大使などで「なぜこの芸人をチョイスしたのか?」を担当者らにインタビューし、起用の舞台裏に迫る。

企業CMやPR大使などで「なぜこの芸人をチョイスしたのか?」という謎を読み解く新企画「Why ブッキング The芸人?」がスタート! クライアント企業や広告代理店の担当者らによる起用の舞台裏に迫ります。
初回は掃除用品、サービスを提供する「ダスキン」(本社・大阪府吹田市)のCM。ロングコートダディ・兎やDr.ハインリッヒ・幸が出演するシリーズを担当したのは、大阪在住のCMプランナーSさん。数多くの吉本芸人のなかから、関西の若手である彼らをCMに起用した理由を教えてもらいました。

出典: FANY マガジン
提供:ダスキンTVCM

ダスキンのCM「無理なくつづく」シリーズは、衛生対策も普段のお掃除もダスキンと一緒に無理なく続けていくことを提案する内容。

CMでは、父(風間俊介)と母(趣里)、そのひとり息子(築地まさたか)の3人家族がシリーズを通して出演中。ロングコートダディ・兎は、3人家族が暮らすマンションの“おとなりさん”として出演。3人家族が実際に使ってみてよかったダスキンの商品を兎にオススメする、というものです。

2月6日(日)からは、Dr.ハインリッヒの幸が出演する新シリーズの放送がスタートしました。母の姉(趣里の姉)役で登場し、休日に妹夫婦の家に遊びに来て会話を楽しむナチュラルな演技をみせています。

劇場でコントを見てひらめいた

――ロングコートダディ・兎やDr.ハインリッヒ・幸という、大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)に出演する “関西の若手芸人”に注目するようになったきっかけを聞かせてください。

私はいま、よしもと漫才劇場から自転車で20分くらいのところに家があります。劇場に通うようになったのはわりと最近、ここ2年くらいです。会社がリモートワークに切り替わり、ずっと家にいてしんどくなる気持ちを晴らすためにライブを観に行くようになりました。いまは「ネコちゃん軍団シリーズ」「ドクターライブ」「濁」などを追いかけています。

単純に好きでおもしろいから劇場に通っているのですが、結果的には仕事にもいい刺激が。なんとなく、ふだん自分が仕事で使う脳味噌と、芸人さんがネタを考える脳味噌はちょっと近い気もしていて、こんなことよく思いつくなぁ、しかもそれを自分たちで表現までできて本当にすごいなぁと、芸人さんには尊敬の念を抱いています。 なかでも、衝撃的だったのがロングコートダディの単独ライブ『たゆたうアンノウン』。生でコントの単独ライブを観たこと自体が初めてでした。その時、ちょうどダスキンのCMのご近所さん役を探している時期で、1本目のコントを観た時に、おとなりさん役を兎さんにお願いしたいと思いました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――どういうところに魅力を感じたんですか?

コントでは、兎さんはほぼ喋らずに頷いて話を聞く役でした。その姿が本当におもしろくて。ひとの話を聞いているだけで魅力的だなんて、聞き役の“おとなりさん”にぴったりだと。やっと見つかったと思って、うれしかったです。その時、兎さんは舞台のすごく高いところにいたのですが、御光が差していた気がします(笑)

――たしかに“隣人”にいそうな感じがします(笑)。やはりお笑いが好きだからこそ、兎の姿にピンと来たんですかね。

もともと芸人さんの中から探そう!と思っていたわけではなく、兎さんだからお願いしたいと思いました。マウントを取りがちでウソがつけないというご本人のキャラは知っていて、商品を勧められても自分が納得しない限り愛想笑いもできない感じが、説得力があっていいなと。兎さんは現場でも、同郷出身(岡山県)の監督に、自分の地元のほうが都会だとマウントを取っていました。あと、兎さんにダスキンのCMが決まったと知った堂前さんは、兎さんが油汚れ役かホコリ役に抜擢されたと思ったそうです(笑)

CMの中で細かい設定が!

――Dr.ハインリッヒの幸も、CMで風間さん・趣里さん夫婦と絶妙なかけあいをしています。

ダスキンのCMには裏設定があって、今回、幸さんは税理士役。仕事帰りに妹夫婦の家に立ち寄ったというストーリーです。ダスキンのCMの3人家族は、家事を家族の誰か1人がすべて担うのではなく、得意なことは得意なひとがやるという考え方。父も母も外で働く共働き家族です。母のキャラクターは、家族のことはもちろん、自分のことも大切にできる人。そんな母(趣里)と同じ環境で育ったであろう姉を探しているときに、思い浮かんだのがDr.ハインリッヒの幸さんでした。

出典: FANY マガジン
提供:ダスキンTVCM

――兎のときと同様、幸も商品を勧められて「へぇー」といった抑えた反応のやりとりですね。

兎さん、幸さんには、なるべく普段のご自身の感じで演じていただきました。最初、現場で兎さんは「CMなのにこんな控えめでいいんですか?」と言ってました(笑)おふたりとも、自分が本当にいいと思うモノ以外にはドライなイメージがあって、ウソをつけないところがいい。そこがCMでも出せるといいなと。

――Dr.ハインリッヒは彩と幸の双子コンビですが、幸を起用した理由は?

ハインリッヒさんはおふたりともに、小声も、少し大きな声もとにかく聞き取りやすい。喋り方には素敵なクセがあるのに、声と滑舌が明朗なのでスッと耳に届きます。なかでも幸さんは、マンゲキの大喜利イベントで回答されるときに、幸さんが読むからさらに面白く感じるということが何度もありました。CMで3秒喋っただけでも、幸さんなら印象に残るだろうなと考えました。

――CMのなかの幸にも細かい設定があるんでしょうか?

設定ではないのですが、幸さんは小鳥が好きと知っていたので、幸さんの背中側に小鳥の柄のクッションを置きました。兎さんも、2歳くらいのお子さんがいる設定で、“ウサギ”のぬいぐるみを抱えています。ちなみに幸さんの衣装は、イメージに合わせて何点も用意した中から実際に全部着てもらって決めました。上下黒の漫才衣装とはまた違う新鮮な幸さんを楽しんでいただけたら嬉しいです。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

クライアントにもファンにも喜んでもらえるものを

――誰もが知る大ブレイク中の人気者というわけでもなく、「私、ダスキンさんめっちゃ使ってます!」とアピールしているわけでもない芸人をCMに起用する場合、クライアントへのプレゼンはどうするんですか?

今回の場合は、5年ほどシリーズでつくってきたので、クライアントも制作側も互いにCMの世界観を深く理解しています。その上で、役柄に合う方を何人か候補でご提案。兎さんも幸さんも制作チームの第1候補でした。おふたりの魅力を伝えるときには、コントや漫才の映像を見てもらうほか、SNSで情報を集めて「ファンの人たちがこういうふうに思っている方です」と客観的な意見もお伝えします。おふたりの起用の裏には、ファンの方たちの存在は欠かせません。

――説明できる素材をたくさん用意するんですね。

そうですね。今回は、幸さんをプレゼンしたタイミングでちょうど『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出演していたので、クライアントもご存知でした。

――少し前になりますが、2020年には蛙亭・中野周平もダスキンのCMで声だけ出演していました。

中野さんには、お風呂場にいるアヒル役で浄水シャワーの紹介をしていただきました。

――中野がキャスティングされた理由は?

最初、監督から提案がありました。YouTubeでたまたま「マッチングアプリ」のコント(マンゲキ5周年の時のもの)を見ていて「声の通り具合がいい」となったそうです。打ち合わせでもプレゼンでも、大人たちが真剣に「マッチングアプリ」のコントを観ているのはシュールでした。堪えきれずに笑う人も。

――Sさんも、監督さんも芸人の“目利き”がすごいですね(笑)。

ありがたいことに、ダスキンのCMに出演するタイミングが芸人さんご自身の転機と重なっていて。蛙亭が東京に拠点を移されたり、ロングコートダディがM-1決勝に進出したり、Dr.ハインリッヒが大阪・なんばグランド花月で初の単独ライブをしたり。そのおかげで偶然にもCMも注目してもらえる。とてもラッキーだと思っています。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――関西の若手芸人を起用して、反応はどうですか?

この間、『やすとものいたって真剣です』(ABCテレビ)でロングコートダディが出演したとき、やすよ(海原やすよ ともこ)さんが「兎さんのことを“ダスキンの人”って呼んでる(笑)」という話をされていて、うれしくなりました。芸人さんはテレビ、舞台、SNSと何かしら毎日、露出があるので、そこでご本人や芸人仲間の皆さんがCMを話題にしてくださるのはとてもありがたいです。

――今後もこうした若手芸人のキャスティングに期待したいことはありますか?

役柄にぴったり合う方で探した結果、マンゲキの芸人さんが続いていますが、その役柄が、芸人さんご本人にとっても、ファンの方にとっても(自分もその1人ですが)しっくりくることが大事だと思います。「広告だけどなるべくウソがない」ということをチームで大事にしているので、「ふだん、こんなこと絶対に言わへんやん」みたいなことにならないように、ご本人の佇まいがそのまま出るキャスティングを心がけたいです。

ダスキンのテレビCM作品集はこちらから。

関連記事

関連ライブ配信

関連ライブ