栃木県の住みます芸人として、同県佐野市の名物「佐野ラーメン」を盛り上げる活動をしているモノマネ芸人がいます。3年前に消防士を辞め、30歳を前に大阪でモノマネ芸人に転身した異色の芸人、似関本賢太郎(31)。その面白過ぎる人生に、芸人ライターとして活動するブロードキャスト!!の吉村憲二が切り込みました!
人生が二転三転しているような気が…
どーーもーー!!
芸人ライターのブロードキャスト!!・吉村です。
今回は、今年1月から栃木県佐野市で住みます芸人をやっている似関本賢太郎さんにインタビューして、記事を書かせていただきます!
似関本さんは、プロ野球元阪神タイガース選手の関本賢太郎さんのモノマネ芸人です。今回話してみて、いちばん強く感じたのが「行動力のすごさ」。それを証拠にプロフィールをざっと見てください。
埼玉出身→消防士になり→NSC(吉本総合芸能学院)大阪40期に入り→栃木県住みます芸人(イマココ!)
おかしくないですか? いや、おかしくはないですが、もう人生が二転三転しているような気がしませんか? でも、そんな似関本さんを掘り下げていったら、とんでもない宝が埋まっていました。そんな似関本さんのインタビュー、スタートです!!
埼玉出身の消防士が“たったそれだけ”で大阪へ
やはり、いちばん気になっていたことを最初に聞きました。
――なぜ、埼玉出身で消防士という立派なお仕事をされてたのに、NSC大阪に行かれたんですか?
「ですよね(笑)。もともと草野球チームをやっていて、まわりの人から(阪神の)関本選手に似てると言われてたんですよ。それが始まり。じゃあ、モノマネでもやってみようということになったのですが、関本選手は阪神の選手だし、大阪のほうがいいんじゃなか、と。まわりの人たちにもそう言われて、それで行きました」
エッ、ちょっと待ってよ、それだけで大阪に行くんですか? と正直、思いました。だって、埼玉なら同じNSCでも東京のほうが断然近いし、似関本さんがモノマネをやり始めたのは、なんと関本選手が引退した年。しかも、その関本選手も阪神ファンには超有名とはいえ、全国的にはそこまで名前が知れ渡っているわけではないし。いったい、なんの勝算があって……。
でも、この疑問は後で覆ります、完璧に。最後まで絶対読んで下さい!
――なるほど、関本選手に「似てる」ということで大阪の吉本を選ばれたということですが、そもそもお笑いは好きだったんですか?
「好きです、もちろん。でも、まさか自分が出る側になるなんて思ってなかった。もともと人前に出るのが嫌いでしたからね」
どういうこと!? 人前に出るのが嫌いで、でも「関本選手に似ている」ってだけで行動したってことでしょうか。これも後で覆ります、完全に。最後まで見て下さいね。
栃木県住みます芸人に転身させた驚異の理由
――関本選手に似ているという、その意気込みだけを持って大阪へ行ったのはわかるんですが、いまは栃木で住みます芸人になっています。なぜ、そうなるんですか?
「僕はラーメンがメチャメチャ大好きなので、とても魅力的に感じて引き受けました。それに、(住みます芸人は)安定して決まった給料が約束されてるんですよ……」
エッ、どういうこと!? 関本選手は!? 栃木県に行ったら強みがなくなるのでは!? そんな疑問もどこ吹く風、似関本さんは躊躇なく続けます。
「いちばんの目的は『メシを食う』ってことですから……」
潔い!! うん、清々しい!! メシを食えていた消防士を辞めて、NSC大阪で食えない状況になって、バイトしながらモノマネやるも、結局は「食べられる」栃木県住みます芸人になる。いや、言ってることが違うじゃん!的な思いがありながらも、でもまだ開いてない扉が似関本さんにあるのだろうと、ここは泳がせます。この人はいったい何者なのか?
ここまでのインタビューでずっと感じていたのは、「底抜けに明るい」こと。まず、これです。似関本さんならば、笑って許せるというか、なんかそれがすごく人間味があっていいんですよね。そして、さらに聞きました。
――「佐野ラーメン」の魅力はなんですか?
「佐野にはラーメン店が150店舗くらいあるんですよ。そのどれもが、それぞれ味が違う。でも、ラーメン自体は正直、カラダに悪いじゃないですか」
なにを言ってらっしゃるのでしょう。佐野ラーメンを広めようとしてる人が!? 似関本さんは続けます。
「世間的にですよ! 世間的に言われてるじゃないですか。ラーメンは塩分が多いとか、炭水化物をとりすぎるとか。でも、僕はガンガン毎日でも食べたいですよ(笑)」
――ちなみに、今日のお昼は何を食べましたか?
「焼肉ですッ」(キッパリ)
最高。お笑い的には完璧。そこ、ラーメンじゃないんかいって、笑わせてもらいました。やはり、底抜けの明るさと人間味で、すべてが許せてしまう雰囲気なんです。
――佐野市の「地域おこし協力隊員」として、佐野ラーメンを広めるために「佐野ラーメン予備校」の特別スタッフに就任したと聞いていますが、どんな活動をしているのですか?
「業務としては、佐野ラーメン予備校のプロジェクトメンバーとしてラーメン店の後継者不足の解消やPR活動、佐野市への定住定職者サポートがメインです」
――佐野ラーメンが、ほかのラーメンと違う点はなんですか?
「青竹で麺をつくります。青竹でつくることで麺に気泡が入って美味しくなります。ちぢれ麺と、硬水のおいしい水がチャーシューのうまみを引き出します。佐野ラーメンは『水』がカギなんだと思います」
聞いてるだけでメチャクチャおいしそうな佐野ラーメン、ものすごく食べたくなりました。
行動力の原点がここにあった!
話を聞いているうちに、この行動力の源泉はいったい何なんだろうということが気になり始めました。それがある瞬間、スッと腑に落ちました。これが答えだ、って。
それがこちらです。
――でも、消防士というしっかりした、安定している仕事をしていたのに、関本選手に似てるということでNSC大阪に行こうと決断させた、その行動の源というか、突き動かしたものは何かあるんでしょうか?
「もともと、モノマネと消防士の二足のわらじで活動をしようと思っていたのですが、あるとき、関本選手のモノマネでプロ野球2軍の始球式の仕事が入ったんですよ。でも、消防士の仕事で行けなくて断ったんです。それがすごく悔しくて。だったら、やりたいことをやろうと。もう後悔したくないって思ったんです。後悔するのが大嫌いで、やりたいことをやっていたらここにいた、って感じですかねぇ」
そうか、これだ。これなんです。根底にあるものは。
「後悔することが大嫌い」
それは過去に、心から後悔したことがあったからこその思いでした。だから、もう2度とそんな後悔をしないよう、やりたいことをやりたいようにやろう。ここにつながるのだなと、すべてが腑に落ちました。
似関本さんは一見、その時にその時に流されている感じがあり、芯がないように見えますが、逆だなと思いました。芯がある、芯しかないくらい。やりたいことを、やりたいようにやる。いろいろな意見があると思いますが、自分のやりたいことをやっていけたら、それほど素晴らしいことはありません。
すべての行動力の原点は、そうしたくないという経験があったからこその、後悔からの反動だったわけです。そして、それを笑い飛ばせる根底からの明るさが、似関本さんをつくっているのだろうなぁ、と思いました。
今度、似関本さんがつくる佐野ラーメン、食べに行きます! 僕はそんな行動を起こしますね。いままでこんな美味しいものを食べずにいたなんて、と後悔しないように。
「佐野ラーメン予備校」では、昨年始まった1期生が、すでに市内のラーメン店で独立開業へ向けて現場で活躍中。現在、新型コロナの影響で延期されていた2期生の募集が再開され、プロジェクトも本格的に再始動しています。
「佐野ラーメン予備校」の公式サイトはこちらから。