テレビや劇場で活躍する人気芸人は、ふだん、どんなエンターテインメントに触れているのでしょうか? テレビ、ラジオ、映画、本、漫画、ネット動画……自分自身を構成するさまざまなエンタメ要素を挙げてもらい、芸人たちの発想のもとをつまびらかにする新企画「エンタメ成分表」。記念すべき第1回は、空気階段・水川かたまりです。『キングオブコント』チャンピオンのお気に入りのエンタメとは!?
【サッカー関連 70%】
空き時間、何も考えずに見ていられるのもあって、よくYouTubeでサッカーの動画を見ています。
海外サッカーのダイジェスト、戦術について解説している動画、選手の生い立ちなどが多いですね。できれば1試合まるまる観たいんですけど、なかなか時間がないので、基本的にはダイジェストでチェックしています。時間があるときは『DAZN』(スポーツ専門チャンネル)に入っているので、そちらで試合を観ています。
どこかのクラブチームのファンというわけではないんですが、面白いサッカーをするチームが好きで、いまだと、イングランド・プレミアリーグのリヴァプールFCがいいなと思います。選手単体だと「サッカーをよくわかっているな」と思える選手や、試合をコントロールできる選手が好きで、特にイニエスタ選手(ヴィッセル神戸)が好きです。機会があれば試合を観に行って、お会いしたいですね。
【ラジオ 20%】
『JUNK 爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)
14、15年間聞いています。ラジオって、どれもそうだと思うんですけど、爆笑問題さんの番組は特に身近に感じるし、自分に向けて喋ってくれている感じがすごくあるなって思います。僕が聞き始めたときから国民的な有名人なんですけど、同じ空間で、中学の同級生の話を聞いているような感覚。あんなに売れているのに、2人とも童貞っぽい感じがいいなって思います(笑)。
番組にはゲストで出演させてもらったこともあって、出たい番組だったので、ひとつピースが埋まったというか、達成した感はありました。若手芸人はみんな言いますが、おふたりがびっくりするくらい優しいんですよ。芸歴でいうと20年以上先輩なのに、緊張させないし、いい意味で、その辺のおじさんと喋っている感覚になれる。その上で、面白いし、面白くなるまでやらせてくれますし、絶対にすかさない。若手と対等にいてくれる先輩です。爆笑さんと絡んで“失敗したな”って思う若手はいないと思います。
『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN系)
大学に入ってからなので、これももう10年以上前から聞いています。『有吉の壁』(日本テレビ系)でご一緒するときは、若手がボケて、有吉さんがツッコミで……という形だと思うんですけど、ラジオではめちゃめちゃ面白い“ボケ”の有吉さんというイメージ。ハガキ職人の大喜利が強くて面白いし、生のリスナーとの掛け合いもすごいなって思います。
『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』(Podcast)
お笑い純度が高く、めちゃめちゃ面白い。“笑えること以外やらないぞ”っていう気概もカッコいいなって思います。真空ジェシカも大喜利力があるので、コーナーでも大喜利の力が求められるものが多いんですけど、そうなると、リスナーも腕が鳴るというか。“面白いの送るぞ”っていう乱打戦になるのが、いいなと思います。
【映画 5%】
僕が映画を選ぶ基準は、ダンビラムーチョの原田(フニャオ)さんがオススメしているものを観る。これ一択です。原田さんは、話題作や世の中で面白いとされるものを観て、本当に面白いのかどうかをチェックして、「OK」かどうかのサインを出してくれるんです(笑)。原田さんからは『きっと、うまくいく』(2009年)、『ジョジョ・ラビット』(2019年)を教えてもらいました。マーベル系も原田さんに勧められましたね。設定を聞いて面白そうだなって思って観ることが多いです。
映画を観ることで、自分たちのネタを考える“種”にはなっていると思いますけど、それよりも、つまらない映画のほうが“コントにしよう”と考えることがありますね。本当に面白かったら没頭して観ちゃうので“ネタにしよう”とは考えないですけど、つまらなかったら“ここをこうしたらコントになるな”って思っている気がします。
最近、単独ライブの準備などもあって、映画や小説に触れていないので、マズいなとは思っています。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)
設定やキャラクターがいいのはもちろん、会話も展開もテンポ感があって面白いと思います。(自分が好きになる)要素として、完成されている作品でないと好きにならないかもしれないですね。ずっと展開がなく……というのは、あまり好きじゃないです。
『パルプ・フィクション』(1994年)
いままでに観たことない構成。(監督の)タランティーノの作品って、始まりから終わりまで全体に漂うワクワク感と、緊張感がある会話が面白いし、出てくる登場人物がみんなカッコいいなと思います。
『モンスターズ・インク』(2001年)
人間を驚かせてエネルギーを得るモンスターの世界(モンスターシティ)に人間の女の子が紛れ込んで……っていう設定がめちゃめちゃいいし、(モンスターの)マイクとサリーのタッグ感もいいし、そんなのを見せられたら好きになるに決まっているというか。笑えて泣けて、期待通りの面白さだと思います。
『浅草キッド』(2021年)
深見千三郎(大泉洋)さんとビートたけし(柳楽優弥)さんの関係性だったり、気まずさだったり、苦しさもあったり……すごく面白かったですね。会話も台詞もカッコいい。大泉さんも柳楽さんもスゴかったです。
【お笑い(最近観たお笑いライブ) 3%】
ビスケットブラザーズ(原田泰雅、きん)単独ライブ『ファ年玉』
どこから笑わせてくるのか球筋が見えないんですよ。なんとなく“こうフったからこうボケるのかな”って予想しながら観るんですけど、ぜんぜん違う方向から飛んでくることが多くて驚きました。設定の切り取り方や演技がめちゃめちゃウマくて、とにかくスゴくて面白かったです。
劇団かもめんたる S.ストーリーズ公演 vol.1『S.ストーリーズ』
めちゃくちゃ面白かったです。本当に、かもめんたる(岩崎う大、槙尾ユウスケ)さんは天才だと思いますね。生意気なことは言えないですが、才能と評価が見合ってないんじゃないかっていう違和感は、全芸人が感じているところだと思います。
【音楽 2%】
スピッツ『スピカ』(1998年)
小学生のときからずっと好きなバンドです。1曲を選べと言われれば『スピカ』ですね。しんどいこともいっぱいあるけど、まぁいいかって思える曲です。
まだまだある水川かたまりを構成するエンタメ成分は…
【ドラマ】
『半沢直樹』(2013年、2020年 TBS系)
ふだん、あまりドラマを見ないんですけど『半沢直樹』は1、2と観ました。話題になっていたので、“見とかなきゃいけないかな”というのがきっかけです。
海外ドラマ『ザ・ボーイズ』(2019年)
有吉さんがラジオで話していて、設定だけ聞いて面白そうだなと思って見ました。
坂元裕二脚本作品
やさしいズのタイさんに勧められて、坂元さん脚本の『それでも、生きてゆく』(2011年 フジテレビ系)、『最高の離婚』(2013年 フジテレビ系)、『カルテット』(2017年 TBS系)などを見ました。人間の葛藤もそうですし、台詞がいいですね。(自分は)固有名詞が出てくる感じが好きなのかなと思ったりもします。
『3年B組金八先生』(1979年~2011年 TBS系)
親が見せてくれなかったので触れてこなかったんですけれど、番組で(主演の)武田鉄矢さんとお話させていただく機会があったので、時間を作って見てみようかなと思っています。
【アニメ】
特に親から止められていたわけではないですが、子どものころからほとんどアニメを見ることがなく、いまも見ていないですね。『サザエさん』(フジテレビ系)、『ドラえもん』(テレビ朝日系)、『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)などが流れているのをボーッと見ていた記憶があります。
ただ『遊戯王』(テレビ東京系)は、見るのを止められていました。まわりのみんなは見ていて、僕も見ようと思ったんですけど「暴力的だ。見るな」って……。(アニメに出てくる)カードゲームだけはこっそりやっていたんですけど、そのカードがどういうものなのか、まったく理解せずに遊んでいました。
【バラエティ番組】
『チャンスの時間』(ABEMA)
ABEMAのバラエティ番組『チャンスの時間』の『「チン坊開帳の儀」東京ホテイソンが今夜、一皮剥ける』企画(2月20日放送)はめちゃくちゃ面白かったですね。全体のパッケージも面白くて、バリエーションも豊富で、大笑いしました。『チャンスの時間』は、MCの千鳥(大悟、ノブ)のおふたりが本当に楽しそうで、すごく健全だと思います。面白いことを、ただただ面白くやって、視聴者も楽しめるって、バラエティ番組としてベストだと思います。
【CM】
『にしたんクリニック』出演:郷ひろみ、3時のヒロイン(福田麻貴、ゆめっち、かなで)
最近はこのCMですね。タクシーに乗ると百発百中で流れてくるんで、どうしても印象に残っています。
『TOYOTA「COROLLA FIELDER」』(2002年ごろ)出演:サッカー元日本代表(現コンサドーレ札幌) 小野伸二
小野選手が、スーパーマーケットでリフティングしながら買い物をするCMなんですけど、すごくカッコよかったのを覚えています。小野さんは、スタイリッシュでオシャレなプレイをする選手で、憧れていましたね。
【書籍】
『ゴリオ爺さん』(オノレ・ド・バルザック/1835年 河出書房ほか)
パリに上京するナイーブな青年の話で、すごく面白くて印象に残っています。
『タイタンの妖女』(カート・ヴォネガット/1959年 早川書房)
(爆笑問題の)太田(光)さんがお好きなSF小説で、事務所の名前にもしているくらい。とても面白かったです。
『三体』(劉慈欣/2008年 早川書房)
最近、人にすすめられたSF小説です。基本的に寝る前に小説を読むんですけど、すごく怖い夢を見るようになって、途中で読むのをやめちゃって(笑)、それ以来、なかなか読めていないです。
【マンガ】
『太郎は水になりたかった』(大橋裕之/リイド社 全3巻)
もともと、大橋さんが描かれた『シティライツ』(講談社 全3巻)が大好きで読むようになりました。中学生の太郎と友だちのヤスシの日常生活の話で、大きな事件が起こるわけではないんですけど、“思春期のときのこの感じわかるな”っていうところが面白いです。
『進撃の巨人』(諫山創/講談社 全34巻)
1年くらい前、コロナ禍で仕事がなくなったときに読みました。ラジオ『空気階段の踊り場』(TBSラジオ)の作家をしてくれている永井ふわふわさんが、毎週のように「面白い」っておっしゃっていたのを聞いて読んだんですけど、確かにものすごく面白かったです。
【最近気になったネットニュース(サッカー編)】
海外サッカー選手の喧嘩騒動
パリ・サンジェルマンFCのネイマール選手とドンナルンマ選手が試合後に殴り合い寸前の喧嘩をしたというニュースは気になりました。結局、SNSで仲直りしていたので安心しました。
【最近気になった吉本関連のニュース】
ニューヨーク・屋敷裕政結婚
19年付き合っていたのは聞いていたんで、おめでとうございますという感じです。
水川かたまり、青春時代のエンタメを語る
ゲームと小説が多かったような気がします。基本的にゲームは『実況パワフルプロ野球』シリーズか『ウイニングイレブン』シリーズをよくやっていました。ブランクがあるので、いまはどうかわかりませんが、当時はめちゃくちゃ強かったです。
いまはもう、ゲームはやらないですね。NSC(吉本総合芸能学院)のとき、ゲームをやりすぎてネタを作らなくなったんで、ぜんぶ捨てたんですけど、数時間後に拾いに行き、またしばらくやっちゃって……。これではダメだと思ったので、ハンマーでぶっ壊して捨てました。それ以来、ほとんどゲームをしていないです。スマホのアプリもやることはやるんですけど、ハマった年に『キングオブコント』で負けることが続いたんで、これはよくないなって思って、すぐに消しました(笑)。