昨年の12月に、
「人類が絶滅したあとに、地球を支配するのはイカだ!」
と、そこそことんでもないゴシップを、コチラのコラムに書かせていただきました。
そしてまた、イカに関してとんでもないニュースが飛び込んできました!
『イカは死の数日前まで記憶力が衰えないことが判明』
なんということでしょう……。
40歳目前にして、昨日食べた晩ごはんさえ思い出せないときがある僕は、もはやイカ以下なのかもしれません。
……ダジャレではありません。これは事故です。
「昨日の晩ごはんに海鮮丼を食べた」
のような、「いつ、どこで、何をした」という出来事の記憶を『エピソード記憶』といいます。
「小学5年生の修学旅行で広島に行った」
とか、
「4歳のときのクリスマスプレゼントに甘エビをもらった」
なども、これにあたります。ちなみに、甘エビのエピソードは、相方の本当の話です。
『エピソード記憶』というものは、かつては人類だけが持っている能力とされていましたが、最近の研究で、様々な生物が『エピソード記憶らしきもの』を持っているとわかっています。
たとえば、
「カラスは、攻撃してきた人間の顔を覚えていて、次に遭遇した時、その人間に反撃してくる」
みたいな話を聞いたことがあるかもしれませんが、これもまさに『エピソード記憶らしきもの』です。
この、敢えて『らしきもの』と付けているのは、生物によって、脳内の『エピソード記憶を置いておく場所』が違うからです。
人間の場合、エピソード記憶は4歳頃から形成され始め、歳をとるにつれて段々と衰えていきます。人間の脳において、『エピソード記憶』に対して重要な役割をはたしているのは『海馬(かいば)』と呼ばれている部分です。なので、加齢によってその力が衰えていくのは、その『海馬』の劣化が原因と考えられています。
しかし、イカの脳には『海馬』がありません。イカの『エピソード記憶らしきもの』を司っているのが、学習と記憶を担う『垂直葉系』という独自の構造らしいです。
これによって目先のことだけでなく、『エピソード記憶らしきもの』から導きだした『経験』に基づいて、未来のことを想定して行動します。
「めっちゃ腹減った時、あっちの岩の方に行ってみたけど、餌なんて全然おらんかったから、今度はこっちに行ってみよ!」
とか考えちゃってるわけです。
人間の場合は、『海馬』が衰えると、記憶力も衰えていくわけですが、最近の研究で、
「どうやら、イカの『垂直葉系』は、劣化しないのではないか?」
と判明したのです。なので、死ぬ数日前まで、記憶力が衰えないということなんです。
すごいですよね。
このことが判明したので、研究は次のステージに入り、
「まさか、イカってさぁ、この世に生まれた直後からの出来事を、全部覚えてるってことはないよね? 」
が研究されているそうです。これが証明されたら、いよいよ『イカ最強説』が現実味を帯びてくることになります。
もしも、昔の彼女にめちゃくちゃ怒られたことを全部記憶できていれば、同じミスを繰り返さず、今頃、僕は結婚できていたかもしれません。
あぁ、イカになりたい……。