カワイイだけじゃない! スパイクが本気で挑む女性コンビ初の『キングオブコント』決勝への道

『女芸人No.1決定戦 THE W』で、2年連続して決勝に進出したスパイク(松浦志穂、小川暖奈)。ポップで華やかな見た目や、吉本坂46などでの活躍からタレントのイメージが先行しがちですが、今年は『キングオブコント』決勝進出に並々ならぬ闘志を燃やしています。実現すれば、女性コンビ初となる快挙である一方、それは大きな壁――今回は、そんなスパイクの2人にその熱い思いを語ってもらいました。

出典: FANY マガジン
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NSC(吉本総合芸能学院)東京14期出身で、もともとネタに定評のある2人。芸歴6年目から主軸を漫才からコントに切り替え、ライブでは無骨なまでにネタに向き合い続けてきました。そんな彼女たちが、いま『キングオブコント』ファイナリスト宣言をするワケとは!?

決勝進出は優勝に匹敵!

――今年は例年より一層、『キングオブコント』に力を入れていくそうですね。

小川 決勝に進んだ女性コンビって、まだ1組もいないじゃないですか。これまでも、女性コンビ初のファイナリストを目指してやってきたんですけれど、今年はいままで以上に決勝進出を意識して目指していこうと2人で話し合いました。

松浦 過去にはニッチェさんやエレキテル連合さんなど、準決勝まで進んだ女性コンビは3~4組いたんです。けれど最近、そこまで進んでいるコンビもあまりいない印象があって。準決勝に上がるのも難しくなっているのかもしれないなかで、女性コンビ初の決勝進出は、ものすごく価値のあるものだと思います。

小川 いま女性コンビも増えてますし、ほかの人たちに達成されてしまうとこの目標は終わってしまうので、自分たちに気合を入れるためにも、「絶対に行く!」と言い切ることから始めようと。多くの方々に知ってもらって「面白い」と認めてもらいたい、という気持ちはもちろんのこと、もうひとつ、いま私たちにはこれまでのイメージをぬぐえるほどの機会が必要なんです。
スパイクとして14年やってきましたが、関係者の方々からは、駆け出しのころからコント番組やネタ番組に出ていたイメージがあると言われて、新鮮に見てもらえないことも多くて。だから、壁は高いですけれど、決意表明して挑んでいくことにしました。この目標を達成することは、私たちにとって、優勝と匹敵するくらい価値のあるものだと思っています。

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――もともと漫才を主軸にしていたスパイクさんが、コントを主軸としたきっかけは何だったのでしょうか。

松浦 まさに『キングオブコント』ですね。

小川 NSCを卒業してから主にやっていたのは漫才で、コントは単独ライブをやるときに1~2本作る程度だったんです。けれど芸歴6年目のころ、『キングオブコント』の準決勝に2年連続で行けて。

松浦 それまでやっていた主軸の漫才も、キャラに入りながらのコント漫才だったので、ジャンポケ(ジャングルポケット)さんなどの先輩方から「コントをやったほうがいいんじゃない?」と言われていたんです。2年連続で準決勝進出という結果も出たからコントを軸にしたんですけれど、そのあとから準決勝に行けてなくて……。今年こそ、その壁を突破して決勝に行きたいですね。

「タレント」のイメージを払拭したい

――『THE W』で2020年、2021年と2年連続でファイナリストに選ばれたことは、自信につながっているのでは?

松浦 めちゃくちゃ嬉しかったですね。『THE W』は、ほかの賞レースより出場する芸人の母数が少ないこともあって、決勝や優勝は当たり前に目指さなくてはいけないものだと思っていたんですけれど、1回目では決勝に行けず、心が折れてしまったこともあったので、一昨年、初めて決勝に行けたときは「やっと行けた……」っていう気持ちでした。結局、一昨年はコロナで出られなくて、昨年、ようやく決勝の舞台に立てたんですけれど、そのあとYouTubeの公式チャンネルのコメントで圧倒的に多かったのが、「初めて拝見しました」でした。ゴールデンのテレビ番組で4分間、ネタをやるってすごいことなんだなと思ったと同時に、一般的にはまだぜんぜん知られていないんだなと実感したんです。

小川 だからこそ、『キングオブコント』で結果を出したい。やっぱりコントをメインでやっている以上、決勝に行きたいっていう気持ちはずっとありますからね。

松浦 あと、これは私が卑屈すぎるのかもしれないんですけれど、『THE W』という大会が始まって以降、圧倒的に「『THE W』頑張ってね」と声をかけられることが多くなってるんですよ。『キングオブコント』も『M-1』も出ているのに、『THE W』を真っ先に言われる。さっき言ったように、『THE W』は母数が少ないし、決勝に行かなければいけない大会だと思われているからこそ、そんなふうに声をかけてくださるんでしょうけれど、私たちが何年も『キングオブコント』の準決勝にもコマを進められてないっていうのも、あるんだろうなと。近くにいる人たちにも、スパイク=『キングオブコント』というイメージがないのかなと思ったんです。

出典: FANY マガジン
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――たしかにスパイク=コントっていうイメージを定着させるのは、大事な一歩かもしれないですね。

小川 まさにそうなんです。『THE W』の決勝に出たことで、コント師としてのお仕事は増えましたけれど、『キングオブコント』の決勝へ行くことで、コントをやっていることをもっと多くの方に知ってもらえたらいいなと。

松浦 良くも悪くも、いままでの自分たちがつけてきたタレントっぽいイメージを払拭したいんですよね。

――「ネタで評価されたい」という気持ちが強いんですね。

松浦 ネタで結果を出すために、吉本の養成所に入って芸人になったので。

小川 『THE W』も引き続き優勝を狙いますが、『キングオブコント』で今年こそ結果を出したいです。

「憑依」がコントの魅力!?

――そんなおふたりが実際に感じているコントの魅力は、どんなところにありますか。

小川 いろいろな役ができるところですかね。キャラに入ると……これ、本当にそうなんですけど、キャラクターの言葉がパッと出てくるんですよ。

松浦 (笑)。憑依型だね。

小川 私自身では出てこない言葉が出てくるところは面白いですね。

松浦 そこも、以前だったら悩んでいたところです。相方が“かわいすぎる女芸人”としてフィーチャーされていたころ、漫才コントで「ジェリー」っていうキャラクターに入ってるのに、お客さんに没入してもらえなかった。「これは、小川さん本人としてやっているの?」と言われたのが、すごく悔しかったんです。けれどコントだと、相方もかわいい子じゃなくて、ちゃんと気持ち悪い人として見てもらえるんです。コントって、誰かを演じることなので、見た目とか個々の情報量を減らせるんですよね。このやり方が私たちには合ってるんだろうなと思います。で、私も私で、笑えるほどブチャイクでもないっていうか。

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小川 それ、自分で言う?

松浦 あはは! 

小川 たしかに松浦も、自分の色を消して役になりきることで、お客さんに集中して観てもらえるようになりました。

――現在、ヨシモト∞ホールに所属していますが、コント師として高め合う存在はいますか?

松浦 同期のネルソンズ(和田まんじゅう、青山フォール勝ち、岸健之助)ですかね。『キングオブコント』では、向こうが先に結果を出してるんですけど、ライブで一緒になると、和田と岸はネタを観てアドバイスをくれたりします。

小川 あ、すみません、青山も言ってくれたことがあります(笑)。自分たちから教えてって言ったわけじゃないのに、「これってどう?」みたいな感じで提案してくれる仲間は、すごく嬉しい存在ですよね。

松浦 ネルソンズが、私たちのことをどう思っているかはわからないですけど、すごくいい距離感の同期ですね。あと、そいつどいつ(市川刺身、松本竹馬)の刺身くん。後輩なのでダメ出しされることはないですけど、ネタを観て「あのネタいいですね」とか、「あの入りいいですね」ってよくほめてくれるんですよ。卑屈な私は、まわりから相手にされていないんじゃないかと思ってしまいがちなんですけど(笑)、そうやって声をかけてもらえると、一緒に頑張ってる芸人のなかに私たちも入ってるんだなと、嬉しくなるんですよね。

キングオブコント王者からのアドバイス

――決勝進出を現実のものとするために、いま考えていることはありますか?

松浦 ここ2~3年、新ネタを作るペースは確保できているので、あとはいろいろなところでネタを試したいなと思います。所属している∞ホールでのライブはもちろん大事なんですけれど、同じ場所でやっているとわからないこともあるので、いろいろな劇場や舞台で、どんどんコントをやっていきたいですね。

小川 あと、いままでは新ネタをやってみて、違うなと思ったらそのネタをやめて次のネタに取りかかっていたんです。けれど、今年はとりあえず、すべて手元に置いておいて、つんつん突きながら、育てながら、伸びそうなネタを探っていくやり方に変えました。『キングオブコント』の対策もしていきたいんですけれど……なかなか難しいですよね。

出典: FANY マガジン
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松浦 私のなかでは、『キングオブコント』ってストーリー性みたいなものが大事なのかなと思っていたんです。けれどこの前、ライス(田所仁、関町知弘)さんと一緒のライブに呼んでいただいて、仁さんと話していたとき、すごくハッとしたんです。「俺、モニターでスパイクを観てて、女版5GAPだって思ったんだよ。俺らは『5GAPさんとインポッシブルは、決勝に行ったら絶対に優勝できる』ってずっと言ってるんだ」って言われたんです。バーっとボケていくコントは順番的に不利な部分もあるけれど、ちゃんと面白いものだと。で、「決して物語性にとらわれるな」と話されていたのを聞いて、そこに固執しすぎないほうがいいのかなと思いましたね。

――『キングオブコント2016』王者の言葉は説得力がありますね。

松浦 本当にいろいろな人からアドバイスもいただいているので、今年は皆さんの期待にも応えたいですね。

小川 それに、昨年の決勝は身近にいる∞メンバーが多くて。みんなが「仲間が多くて楽しかった」って言っているのを聞いて、私たちも決勝へ行きたい! と改めて思いました。大好きなコントで結果を残せるように、そしていままでのような悔しい思いをしないように、さらに真剣に向き合って、予選までしっかりと練っていきたいですね。

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