大阪・なんばグランド花月で史上最年長座長として公演を行っている吉本新喜劇のレジェンド、“ちっさいおっさん”こと池乃めだかが、7月3日（日）に79歳の誕生日を迎えました。この日は朝10時開演の第１回公演からチケットが完売！ 内場勝則やMr.オクレといった“盟友”はもちろん、山田花子、清水けんじ、諸見里大介ら新喜劇メンバーが一丸となって、めだか座長の“誕生日公演”を大いに盛り上げました。
笑いあり涙あり…めだかの真骨頂
物語の舞台は、山あいにある温泉旅館。番頭（清水けんじ）や土産物屋の親子（内場勝則、山田花子）がドタバタ劇を繰り広げるなか、従業員役のめだかが登場すると客席から割れんばかりの拍手が沸き起こりました。めだかは、清水の“ちっさいおっさん”イジりにボケ倒したあと、花子と力比べのガチンコ対決で笑わせます。
めだか演じる従業員の勤勉でやさしい顔の裏には、かつてある失敗で妻と子どもと生き別れになってしまった悲しい過去が隠されていて……。笑いだけでなく重厚な芝居でも客席を惹きつけ、演技に定評のある若手座員・伊丹祐貴とともに、ホロリとさせる感動シーンを熱演しました。
めだかと家族の物語を軸に、清水と女将（鮫島幸恵）の間にIT企業の社長に扮した佐藤太一郎が割って入るラブコメ風の展開や、謎の空き巣騒動、さらにはYouTuberの思惑も入り乱れて静かな旅館は大騒ぎ。内場と花子はストーリーを引っかき回し、チンピラ役の諸見里、警官役の瀧見信行らは持ちギャグを次々と披露します。オチで明かされるMr.オクレの役どころには観客もビックリ仰天！ 大爆笑のうちに舞台は幕となりました。
公演の模様は7月16日（土）の『よしもと新喜劇』（MBS）で放送されます！
内場も脱帽「この記録は破れない」
終演後の囲み会見には、めだか、内場、花子の3人が出席。史上最年長座長としての公演の感想を求められためだかは、「ほかにも頑張ってはる人はいっぱいいるのに、年が上やというだけで、いろいろ企画していただいて……本当に感激しております」と感謝しました。公演前は不安もあったそうで、こう振り返ります。
「座長ということで変な芝居はできへんし、とゆうて、その場の笑いに走ってちゃらんぽらんなことやってたら、『ええ年して何してんねん』と言われるかもしれん。なにより、お客さんが退屈してはれへんかが心配でね。でも、いいお客さんに連日囲まれて、幸せやったと思います」
内場はめだかについて「79ってすごいなと思って。この記録、破れないでしょう。自信ないなあ」と脱帽し、「セリフとか覚えてますもんねえ。動けるし、すごいと思いますよ」と感心しきり。花子はめだかとの対決シーンに触れ、「最近、ホンマに勝てるんちゃうかなと思って（笑）」とニヤリ。これに対してめだかは「オレも負けん気強いから、本気でいって……と思うねんけど、しんどくて（笑）。オチまで早くしてる」と明かしました。
また、内場から「めだかさんの芝居は、みんな自由にできるから、若い子らはやりやすい」と言われると、めだかはいまの新喜劇についてこう語りました。
「僕らの（若いころは）先輩が後輩に『そんなことしたらこうなるからやめとけ』と言うのをよう聞いてきたし、自分もそんなことを後輩に言ったこともあるけど、いまは正解がない。『絶対アカン、売れへん、おもんない』って言ったって、あるときドカーンときたりするからね。上から知ったかで言えないような時代になりました」
めだかが舞台袖を「徘徊」！？
めだかは、33歳で新喜劇に入団した当初、来る日も来る日も子ども役でセリフも少なく、「毎日、辞めようかな、辞めようかなばっかり考えてました」と振り返ります。その後、間寛平との出会いを経て、「新喜劇に残って、このままやっていこう」と決意したのが36、7歳のころ。当時は79歳まで舞台に立ち続けているとは思わなかったと言います。
「10年ぐらい前から、そろそろ引退を考えてもいいな、しんどいし……と思い始めたけど、まわりから『いやいや、まだまだ、元気元気』と言われて、それを聞いてるうちに、だんだんその気になってきてる自分がおってね（笑）。で、気がついたら今日のこの日」
日課を聞かれためだかは、毎朝、入浴してストレッチをすることと、万歩計をつけていることを挙げました。歩数を稼ぐために部屋の中を歩くこともあるそうで、内場からは「舞台袖をずっとぐるぐる歩いてるから、徘徊かと思った」とイジられます。
内場によると、めだかは昔から舞台の合間もずっと“動いている”とのことで、「ビリヤードに行ったり、ゴルフの打ちっ放しに行ったり。ずっとゲームしてたり、数独やったりとか……バイタリティはすごいあるなと思います。見習わないとアカン」と舌を巻きます。花子はめだかについて、「ゲームや将棋をして頭を使っているから元気なのかなと思います」と分析しました。
プライベートでは、誕生日は毎年、2人の娘家族とともに総勢11人で祝うというめだか。「誰かが誕生日のときは必ずどっかで集まって、ケーキをうちの嫁はんが作って、♪ハッピーバースデーをやって、プレゼントして。で、最後にケーキのローソクに火をつけて」と話し、「11人やから、ほぼ毎月誰かが誕生日やし、何やったら重なる月が2回ぐらいある。そのたびにね、おカネがね（笑）」と嬉しい悩みを口にしました。
来年、80歳の誕生日に最年長座長公演記録を更新する予定について、「こればっかりは自分で頑張ろうと思っても、神さんが決めることやから」とめだか。さらに「いつどこでどうなるかわからへん。せやから逆に、今日１日を一生懸命、自分のやれる限りのことをやろうと。１日を終わって、寝て、朝が来て、『今日もまた朝があったな』と感謝しながら……その繰り返しですね」と締めくくりました。
