笑福亭仁鶴が「上方演芸の殿堂入り」! 8月の追善落語会は「師匠らしく決して派手でなく賑やかに…」

長年にわたって上方落語界を牽引し、昨年8月に惜しまれつつも逝去した笑福亭仁鶴が、大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)の「上方演芸の殿堂入り」を果たしました。7月14日(木)に大阪府公館で行われた表彰式では、弟子の笑福亭仁智が出席して師匠への思いなどを語りました。

出典: FANY マガジン
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長年の功績が認められた「殿堂入り」

ワッハ上方では、上方演芸の発展と振興に特に大きな役割を果たし、広く府民から愛し親しまれて後進の目標となった演芸人を「殿堂入り名人」として表彰しています。第25回となった今年度は笑福亭仁鶴と、浪曲師の初代・真山一郎が受賞しました。ワッハ上方で部会長を務め、今回の選考に携わった放送作家の相羽秋夫は、仁鶴の選考理由についてこう語ります。

「1969年に六代目笑福亭松鶴さんに入門され、あっという間に時代の寵児になりました。若者の間で圧倒的な人気が出て、当時、上方落語はもとより上方落語家の存在を大きく世に知らしめ、さらに仁鶴さんの登場によって落語家が一気に100名増えました。幅広い世代に愛される存在として、上方落語の普及に努められ、上方落語の中興の祖という存在でもあります」

出典: FANY マガジン
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表彰状などを受け取った仁智は、心境を語ります。

「師匠は昨年8月、突然、お亡くなりになって、われわれも本当にびっくりしました。若いときから大活躍で、先ほど相羽先生からご紹介いただきましたとおり、上方落語はもとより上方落語家という存在を全国に知らしめたパイオニアだと、弟子はもちろん上方落語家一同、思っております。師匠は僕が入門した1970年に『第3回大阪府民劇場奨励賞』を受賞されまして、その後、『第12回日本放送作家協会賞演芸部門』(1972年)、『第3回上方お笑い大賞大賞』(1974年)、『大阪市民表彰文化功労賞』(1994年)、そして2002年には『第53回日本放送協会放送文化賞』と、素晴らしい賞を受賞されておりますが、やっぱり噺家として今回の『上方演芸の殿堂入り』が、いちばん喜んでおられると思います。われわれ弟子、そして上方の噺家も誇りに思っております。師匠が育ててこられた上方落語を、われわれ後進が精一杯努力して、次の世代へ繋げていかなければならないと、ひしひしと責任を感じております」

出典: FANY マガジン
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殿堂入り名人になると、イラストレーターの成瀬國晴氏によって似顔絵イラストが描かれるのが恒例。仁鶴のイラストが紹介されると、仁智は「ほ~」と嬉しそうな表情でまじまじと見つめ、「いまにもしゃべりだしそうですね」と笑顔を見せました。この似顔絵イラストは上方演芸資料館に展示されます。

出典: FANY マガジン
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8月に「追善落語会」を無料開催

表彰式を終えて、仁智が改めて師匠への思いを語りました。

「(1996年度の)第1回『上方演芸の殿堂入り』で上方落語家は初代春団治師匠と五代目松鶴師匠、第3回では六代目松鶴師匠と、大先輩であり、上方落語の礎、そして中興の祖、育ててくださった大先輩方が名前を連ねておられるなか、弟子としてあえて言いますが、うちの師匠は皆さまに負けないような活躍をされたと思っております。吉本興業の大﨑洋会長が『(仁鶴が)吉本興業でも中興の祖なんだ』『いまの吉本興業を作り上げたのは仁鶴師匠だ』と常々、おっしゃっていました。『上方演芸の殿堂入り』という師匠にふさわしい賞をいただいて、先ほども申しましたが、弟子として誇りに思い、また心新たに頑張らねばと考えております」

出典: FANY マガジン
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そして、8月17日(水)に「笑福亭仁鶴一周忌追善落語会」を大阪・なんばグランド花月(NGK)で無料開催することを発表。公演開催の経緯について、仁智はこう明かしました。

「今年の4月に行われた吉本興業110周年の『伝説の一日』で大﨑会長とお会いしまして、『会社として顕彰、御礼、偲ぶという気持ちを表したい』とおっしゃってくださいました。私も弟子として1年経ったらどこかで追善の会をしようと考えておりましたので、『伝説の一日』のNGKの楽屋でそんな話になって、一門と吉本で一周忌に向けてイベントを考えようじゃないかと、話がポンポンポンと進みました」

当日の内容は現在、企画中とのことですが、仁智は「うちの師匠らしく、穏やかで、和やかに、そして決して派手でなく、賑やかに、そんな会をしようと思います。弟子が落語をして、師匠の思い出の話をし、師匠の映像を流して、最後は師匠の歌を全員で歌って盛り上げようと。お客さんも約2時間、師匠を偲んでいただきたいと思います」と語りました。

出典: FANY マガジン
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BSよしもとでも特別番組を放送

また、BSよしもとでは「笑福亭仁鶴一周忌追善特別番組」が8月22日(月)~26日(金)の5日間にわたって放送されます。仁智は、「師匠が亡くなって、芸人さん、新喜劇の座員さん、噺家さんなど、本当にたくさんの方からお悔やみの電話を頂戴しました。BSよしもとでは師匠の落語と皆さまの偲びの声、そして師匠のインタビュー映像などを紹介してもらいます」と説明しました。

また、それに続く8月27日(土)には、先ほどの「笑福亭仁鶴一周忌追善落語会」(8月17日開催)の模様も放送される予定です。

出典: FANY マガジン
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仁智は最後に、仁鶴から受け継いだ思いを後輩に繋げていきたいと決意を新たにしました。

「仁鶴師匠は決して細かいことはおっしゃらないタイプで、品のないことはするなとか、そういう基本を教えてもらいました。それはもう、噺家を長いことしていると身に染みてわかってきますね。それが師匠の教えであり、六代目松鶴師匠の教えであり、さらに先輩方の教えであると思います。後輩たちに最低限、しっかりと伝えていきたいと思います」

公演概要

出典: FANY マガジン
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笑福亭仁鶴一周忌追善落語会
日にち :8月17日(水)
時 間 :19:00開場 19:30開演 21:00終演
会 場 :なんばグランド花月
出 演 :笑福亭仁智、笑福亭仁福、笑福亭仁扇、笑福亭仁嬌、笑福亭仁幹、笑福亭仁昇
     笑福亭扇平、笑福亭智之介、笑福亭智六、笑福亭嬌太、笑福亭智丸、笑福亭大智

※本公演は特別招待公演となります。(入場無料)
※チケットは、FANYチケットで事前申込が必要となります。
※チケット申込期間:7月16日(土)10:00~8月10日(水)23:59(予定枚数に達し次第終了)
※チケットはおひとり様お申込み1回のみ、6枚までとさせていただきます。
チケットのお申込みはこちら

番組概要

BSよしもと 笑福亭仁鶴一周忌追善特別番組
■「笑福亭仁鶴一周忌追善特別番組」
日にち:8月22日(月)~26日(金)
時 間:21:00~22:00
語 り:笑福亭仁智
<内 容>
8月22日(月)第一夜
・落語:「質屋蔵」(第1回独演会より)
・笑福亭仁鶴インタビュー映像:① 舞台終わって倒れたのは初めて ② NGK について ③ 落語家になる前は
8月23日(火)第二夜
・落語:「池田の猪買い」(第3回独演会より)、「次の御用日」(第4回独演会より)
8月24日(水)第三夜
・落語:「崇徳院」(第5回独演会より)、「人形買い」(第7回独演会より)
8月25日(木)第四夜
・落語:「宿屋仇」(第6回独演会より)、「向う付け」(第4回独演会より)
8月26日(金)第五夜
・落語:「不動坊」(第2回独演会より)
・笑福亭仁鶴インタビュー映像1:① 「不動坊」について ② 桂春団治について ③ 桂米朝について
・上方演芸の殿堂入り授与式 映像
・笑福亭仁鶴インタビュー映像2:① 独演会について ② 奥様からの電話
※リピート放送 2022年8月29日(月)~9月2日(金)05:30~06:30
※内容は都合により変更になることがあります。予めご了承ください。

■「笑福亭仁鶴一周忌追善落語会」
日にち:8月27日(土)
時 間:12:00~14:30
<内 容>
8月17日(水)になんばグランド花月で行われた「笑福亭仁鶴一周忌追善落語会」の模様を放送。