大阪府と大阪市がコロナ禍の「文化芸術」支援! 第1弾「歌舞伎特別公演」が9月開催「エンタメは生きるうえで必要」

新型コロナウイルスの影響を受けた文化活動を支援する「大阪文化芸術創出事業」がスタートし、その皮切りとして9月に「歌舞伎特別公演」が行われることが決定しました。8月1日(月)には大阪市役所で記者発表会があり、出演する中村鴈治郎、片岡愛之助、中村壱太郎が出席。そのほか吉村洋文大阪府知事、松井一郎大阪市長が、事業の意義などを語りました。

出典: FANY マガジン
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今回の公演は9月8日(木)から11日(日)の4日間、大阪松竹座で開催。上方にゆかりのある役者たちが、義太夫の名作「傾城反魂香」や男女の踊り比べが見どころの「男女道成寺」のほか、「神霊矢口渡」「博奕十王」「夏祭浪花鑑」といった演目を演じます。チケットの発売は8月5日(金)から。

公演に向けた特別な思い

発表会では、公演の見どころについて役者たちが語りました。鴈治郎は、自身が出演する演目について言及。「傾城反魂香」では市川猿之助との夫婦役が楽しみであること、そして「神霊矢口渡」について、「大阪の松竹座なのでベタッとした頓兵衛ができればと思う」と話しました。

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愛之助は「男女道成寺」について、「いつもの道成寺とは違った部分のあるところがやりがいがあり、おもしろい」と話し、久しぶりとなる女形への意気込みを見せました。

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壱太郎は今回の公演について、「楽しみで幸せ」と笑顔を見せます。そして「男女道成寺」での愛之助との息の合った踊りを見てほしいと話し、「夏祭浪花鑑」では10年分の思いを役に詰め込みたい、と熱く語ります。「神霊矢口渡」については、「いつか必ず関西に持ってきたいと思っていた」と明かしました。

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さらに、市川猿之助からビデオメッセージが届き、「久しぶりに大阪で芝居できることを喜んでいる。1人でも多くの人にご覧いただきたい」と笑顔で語りました。

「あやうく泣きそうになった」

一方、コロナ禍の歌舞伎界を3人が振り返ります。鴈治郎はコロナが蔓延し始めたころ、公演できないという状況に初めて遭遇し、半年以上舞台に立てないなかで「歌舞伎やエンターテインメントが本当に必要なのかについて散々考えさせられた」と言います。

最終的に「エンターテインメントは人間が生きるうえで絶対に必要なものである」と確信したとのことで、今回の公演も「こんなにうれしいことはない」と感謝していました。また、「毎年続けられるよう、万博に向けて大阪が誇る芸術として発信していく。そのきっかけになれば」と思いを込めました。

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愛之助も、コロナ禍で休止していた舞台が復活したときのことに言及。「本当にやってもいいのか」と悩んだそうですが、幕が開いたときの客席からの拍手の大きさに感動し、あやうく泣きそうになったことを明かします。そして、「4日間、精一杯務めさせていただきたい。万博に向けての助走として、今後も続けていただければありがたい」と締めくくりました。

壱太郎は「神霊矢口渡」で猿之助から指導を受けることに触れ、もう一度、しっかり習って芸を伝承するということも見せていきたいと話しました。

文化芸術活動で大阪を元気にする

「大阪文化芸術創出事業」の実行委員会は、大阪府、大阪市、大阪商工会議所などで構成され、今後も上方芸能、音楽、アートなど多彩なプログラムを実施する予定です。

吉村知事は「文化芸術活動は人の心を豊かにしていくもの。大阪府、市として応援していきたい」と語り、「上方歌舞伎の役者、江戸歌舞伎の役者が競演する非常に豪華な公演。(新型コロナの)日々の対策をとりながら、歌舞伎の素晴らしさ、魅力を堪能してもらいたい。多くの人に来てほしい」と力を込めました。

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松井市長は、コロナ禍でいかに芸能、芸術が生きるうえで必要か、ということを再認識したと力説。「この公演をきっかけとして、大阪が元気になることを期待している」と話すと、2025年に控える大阪・関西万博にも言及し、「国内外から大阪の文化を楽しんでもらえる、そんな街大阪を目指していく」と決意を語りました。

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