史上初の総選挙で選ばれた30人による吉本新喜劇は、いったいどうなるのか!? 注目の一大イベント『吉本新喜劇まつり2022〜選ばれし30名の座員たち〜』が、10月10日(月・祝)に大阪・なんばグランド花月(NGK)で開催されました。この夏、間寛平ゼネラルマネージャー(GM)の発案で行われた「吉本新喜劇座員総選挙」で1位に輝いたアキをはじめ、上位30人による一夜限りのスペシャル新喜劇。惜しくもランク外だった座員たちも、受付や売店スタッフ、誘導スタッフなどさまざまな役割を担い、新喜劇がNGKをまるごとジャックしました。文字通り、座員全員が一丸となって盛り上げたイベントと、その後のGM会見の模様を、ファニマガがレポートします!
笑いに芝居に殺陣に大活躍のアキ
この日のNGKは、1階エレベーター横のお出迎えに始まり、あらゆる場所に座員たちがスタンバイしています。エントランスで帯谷孝史、西川忠志、ボンざわーるどらが観客を迎えたほか、演目看板の横には「爆乳三姉妹」でおなじみ服部ひで子、岡田直子がお目見え。カラースーツを着てチンピラに扮した佐藤武志、吉田ヒロらのまわりには、写真撮影の人垣ができていました。
さらに金原早苗は売店の販売員になるなど、新喜劇の世界がそのまま劇場全体に“降臨”するという大サービスでロビーは大変な熱気に包まれます。また、開演前にはやなぎ浩二、若井みどり、末成映薫、島田一の介という合計年齢300歳超のベテラン勢が、“シニア前説”で会場の空気をあたためました。
お待ちかねの新喜劇は、「花月旅館は大騒ぎじゃ〜!愛情編」と題し、豪華メンバーがドタバタ劇を繰り広げます。旅館の従業員役のアキを中心に、ひとクセもふたクセもある宿泊客や旅館オーナー、番頭、さらには悪徳開発業者、チンピラ、警官、会社社長ら、濃い〜キャラクターたちが入り乱れます。それぞれの鉄板ギャグはもちろん、思わぬ顔合わせのボケ合戦もあちこちで勃発し、2時間半近い大長編となりました。
前半はしっかり笑いを取りつつ、後半になるとシリアスな芝居で舞台を引き締め、得意の殺陣やアクションで大活躍したのは総選挙で1位に輝いたアキ。同じく従業員役のすっちー、酒井藍、街のチンピラ役の川畑泰史ら座長陣も、負けじと舞台をかき回しました。
さらに、内場勝則、辻本茂雄、島田珠代、山田花子といった人気者が次々と登場し、そのたび客席から大歓声が上がります。寛平GMは内場演じる番頭の父で旅館オーナーのおじいさんに扮し、杖を片手に大暴れ! 婦人警官役・森田まりことの“ゴリラVS.サル”対決を皮切りに、悪徳開発業者に扮した辻本とは、「お前、やりたい放題やな!」と辻本が叫ぶほどの熱いアドリブ合戦を見せました。
ほかにも、産休中だった宇都宮まきがこの日限定の舞台復帰を果たしたり、池乃めだかが「総選挙」での公約をまさかの方法で守ったりと、“まつり”感あふれるトピックスや演出がたっぷり用意されました。カーテンコールでは、寛平GMが「皆さんの応援のおかげで、こうした舞台ができた。できたら来年もやりたい」と感謝。出演した30人が、観客をお見送りするというサプライズもあり、最後までファンを楽しませました。
寛平GM「若い子にがんばってもらわんと」
終演後には恒例の「吉本新喜劇GM月例会見」が行われ、寛平GM、辻本、アキ、高井俊彦、小林ゆうが出席。MCは、もじゃ吉田が担当しました。
イベントの感想を聞かれた寛平GMは、「稽古の段階では、大丈夫かなと思いながらやっていた」と振り返ります。事前に「2時間半ぐらいやる」と発表していたものの、通し稽古では1時間強で終わってしまい、スタッフから「ちょっと延びてもいいですよ」と声をかけられたそうです。寛平GMが笑いながら、こう明かします。
「スタッフも、これ2時間半ぐらいやるって言ってるのに大丈夫かなと思ったんやろうね。だから、なんとか延ばさなアカンと思って、千葉(公平との絡み)から延ばしていったんよ」
すると、辻本からは「エンジンかかりすぎて、空回りしてたでしょ」とツッコみが入ります。寛平GMはうなずきながら、「あのへんから舞い上がってしもうて……だから、イス蹴るとこ忘れてもたんです。もう『延ばさなアカン』『やらなアカン』といっぱいいっぱいになって」と苦笑い。観客のあたたかい反応に助けられたと言いながら、「舞台袖で、みんなが笑い取ってるのを見て、涙が出るぐらいうれしかった。本当に、皆さんありがとうございました」と改めて感謝しました。
寛平GMからは、「ベテランのなかに、20代、30代がたとえ10人でも入ってくれたら」との希望も。「これからは若い子に頑張ってもらわんと持たない。次の総選挙は、もっと若い子ががんばると思う。(今回は)悔しかったと思いますよ」とハッパをかけました。
主役として真剣な芝居が求められるシーンも多かったアキは、こう振り返ります。
「途中から、グッと締めなアカンなと。(東映京都)太秦で(スタントマンとして)がんばっていた、19歳の僕を見つめながらやっていた。あのころ、東映のスターのお芝居もたくさん見せていただき、自分なりの引き出しができた。真剣な芝居では、そのときのスイッチが入るんです」
また、「(観客は)最初から最後までずっと笑ってはったし、見送りのときもすごいテンションで。あれがすべての答えやったと思います」と手ごたえを語りました。
そして、「次につなげたいと思ったし、これをきっかけに、いろいろ(新喜劇を)変えていきたいと思うので、お楽しみにしてください」とも。アキは、11月29日(火)〜12月5日(月)の期間、「総選挙」1位記念のNGK座長公演も控えていて、「アキの色はこんな新喜劇やというのをぶつけていきたい」と意気込みました。
総選挙の次は男前ランキング!?
一方、辻本は噛みしめるようにこう話します。
「選ばれた30人が一丸となって、お客さんに喜んでいただけたのはうれしかった。寛平GMありがとうございます。皆さんの笑顔が見られて、僕らは幸せでした」
そんな辻本も、11月6日(土)、7日(日)に、NGKで「総選挙」30位以内に入れなかった座員を率いて公演を行う予定で、「30位以内に入っていなくても、めっちゃおもろいメンバーがいる。茂造(辻本扮する人気キャラ)がナビゲーターになって、おもしろい新喜劇をやりますので、よろしくお願いします」と呼びかけました。
高井はこの日、吉田ヒロら“強面チーム”の一員として観客のお出迎えを担当。「皆さんが『入れたよ』『投票したよ』って言ってくださったので、なんで(30位以内に)入らんかったんやろうと……」と首をかしげます。
開演前の7時間におよぶYouTube生配信で、座員110人の似顔絵チャレンジを行った小林は、「新品の鉛筆を持ってきたんですが、こんなに短くなってしまいました」と、10cmにも満たない短い鉛筆を手に胸を張りました。
この日は新喜劇の新たな取り組みも発表されました。文化庁の「子どものための文化芸術鑑賞・体験再興事業」の一環として、奈良県橿原市内の小学校9校でミニ新喜劇&ワークショップが開催されます。参加する高井は、いまからやる気十分!
「7年前から赤ちゃんでも楽しめる『こども新喜劇』をやっており、寛平GMから『こんなことやったらどうや』と場を与えてもらった。子どもさんを笑顔にしに行きます」
寛平GMは「大きくなって新喜劇に入ってくる子もいるかもしれない。新喜劇は楽しいんやっていうことを知ってもらいたい」と期待を寄せました。
「吉本新喜劇まつり」が終わって「次なる展望は?」と聞かれた寛平GMは、「今度は男前人気投票をやりたい」とひと言。辻本からすかさず「僕と兄さん、すぐ外れますやん!」とツッコミが入りました。
『吉本新喜劇まつり2022〜選ばれし30名の座員たち〜』の模様は、10月17日(月)19:00までオンラインで見逃し視聴できます(チケット販売は同日正午まで)。
FANYオンラインチケット(配信)はこちらから。