10月15日(土)・16日(日)の2日間、今年も京都市内各所で開催される京都国際映画祭2022の先行企画として『風の中のピアノ』が上映されました。「自分たちが住む街の魅力を全国に伝え、地域を活性化したい」そんな思いの込もった地域発信型映画の一つです。地域の方にも映画制作に携わっていただき、もの作りの楽しさや喜び、地元愛に改めて気づいていただける良い機会となりました。そんな『風の中のピアノ』上映直後に行われた舞台挨拶で発信された監督&町長のメッセージをお届けします。
郷愁を誘う感動作
本作の舞台は奈良県三郷町。それぞれに悩みや問題を抱える家族の中で懸命に暮らす、21歳の柚が主人公です。ある日、1人の女性「千恵子」に出会った柚は、明るく無邪気な彼女の振る舞いに親しみを覚え、いつしか塞ぎがちだった心も溶けていきます。しかし、笑顔の陰でどこか寂しげな瞳の千恵子には、ある秘密が…。クライマックスに向けて徐々に浮き彫りになっていく家族関係。風化しかけていた家族の絆や思い出が、三郷町の豊かな自然や情感たっぷりに奏でられるピアノの音色と共に鮮明になっていくシーンが観る人の涙や郷愁を誘う感動作です。
映画の裏話も
上映直後に行われた舞台挨拶には、映画の舞台地となった三郷町の森宏範町長と、立川晋輔監督が登壇しました。
MCを務める木尾モデルから「役づくりに対する助言」や「作品テーマについて」「撮影中の裏話」などの質問が投げかけられところ、「千恵子役の太田さんは難しい役どころだったが、助言したのは『太田さんらしく』ということ。撮影が進むにつれて太田さんと千恵子が見事にリンクしていったと思う」「実は、撮影初日に急きょ、千恵子の役どころを変更した」「三郷町はとても美しい街。ただ、その魅力を伝えるだけでなく、地域が抱える課題なども表現したいと思った」などと答えた立川監督。一方、森町長は「コロナで撮影が1年間休止したが、その折、三郷中学の修学旅行も中止に。エキストラ出演したことで、生徒たちの良い思い出作りになった」という裏話や、「三郷町の地場産業が雪駄。劇中、父親が働く工場でも雪駄を作っているし、認知症の祖父の足元を見れば雪駄を履いている。うまく取り上げていただいた」といった感想を述べました。
舞台挨拶には登場できなかった辻凪子と親交があるMC木尾モデルは「実は三郷町にプライベートでバンジージャンプに行ったらしい」と明かす一幕も。すかさず、町長は「関西では唯一、三郷町の開運橋でバンジージャンプができる。私がファーストジャンパー」と、地域の魅力発信に努めました。
フォトセッション終了後は、観客への感謝の気持ちを伝えると共に「いろんなことを考えるきっかけになってくれたら嬉しい」(森町長)、「地域の魅力と同時に、抱える問題なども伝われば」(立川監督)という2人のメッセージで締めくくりました。