「関西演劇祭2022」MVOが決定! 実行委員長・笠井信輔氏ももらい泣き「こんなに感動的なものになるとは…」

「つなぐ」をテーマに2019年にスタートした「関西演劇祭」。これまでの参加者たちがテレビや舞台などで活躍の場を広げているほか、この演劇祭をきっかけに芝居に興味を持ったという声も多数寄せられるなど、演劇界に大きな影響を与えています。4回目となる今年は10組の劇団が参加し、11月20日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA SSホールで表彰式が開催されました。果たして栄冠はどの劇団に!?

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

激論で「巻き」が入った審査会場

表彰式には実行委員長の笠井信輔氏、フェステバル・ディレクターの板尾創路、スペシャルサポーター(審査員)を務めた、ネルケプランニング社長の野上祥子氏、映画監督の三島有紀子氏、NHKエンタープライズのエグゼクティブ・プロデューサーの山本敏彦氏、そしてスーパーバイザーで脚本家・演出家の西田シャトナー氏が出席。最優秀作品賞の「MVO(Most Valuable Opus)」を始めとする各賞が発表されました。

笠井氏は「どれも面白かった、楽しかった。その熱量とアイデア、さまざまな工夫によってこんなに楽しいステージが次々と展開するんだなと実感しました」と絶賛。審査については「議論百出でスタッフから巻きが入りました(笑)。とは言え、納得のいく結果が得られたと思います」と胸を張りました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

そして各賞の発表へ。脚本賞、演出賞はそれぞれ3人が選出され、そのなかから「ベスト脚本賞」は、かのうとおっさん・嘉納みなこ、「ベスト演出賞」はTAAC・タカイアキフミが受賞。さらに、アクター賞の6人のなかから「ベストアクター賞」にTAAC・北野秀氣、かのうとおっさん・藤井愛希子の2人が選ばれました。

「審査員特別賞」はTAAC・うえだひろしの手に。プレゼンターを務めた板尾は、1回目の舞台を見たときに「この人、すごいなと思った」と告白。審査会で全員が同じように思っていたことがわかり、「みんな思ってたんやとホッとしました」と笑わせます。そして、「演劇祭を盛り上げてくれた特別な方だと思ってます」と賛辞を送りました。

続く「観客賞」の発表も板尾から。選ばれたRE:MAKEは、全員でステージへ。代表の大西千保は、「たくさんのお客さんに投票していただいて手にした賞の重みを感じながら、進んでいきたいです。この子たちをこのステージに上げていただいたことを嬉しく思います」と感謝を述べました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

劇団メンバーが喜びの涙

そして、笠井氏から発表されたMVOは激団リジョロ! メンバー全員とともにステージに上がった代表の金光仁三は「もらえると思ってなかった」と正直な心境を吐露。劇団のこれまでの活動を振り返りながら、「今回は、両親の晩年期を感じたこと、2回目の演劇祭に出場したMayが解散したことで、出場を決意しました」と明かします。そして「若い子たちをどうしてもこういう大きな舞台に立たせたかった。僕にとって大満足です」と盾を掲げると、改めて大きな拍手が起こりました。

笠井氏は、劇団のメンバーが喜びの涙を流しているのを見て、「こんなに感動的なものになると思ってなくて……。本当によかったです」と感激の面持ちでもらい泣き。今回の芝居については「現実とリアルにリンクしていたこと、すべてを取り残さないことなど、さまざまな思いが入っていたことが伝わった結果」と評価。そして、「長く続けることってやっぱり大事なんだなとつくづく思います。続けていけば、皆さんの人生にいいことが起きるんじゃないでしょうか」と会場に語りかけました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

板尾「無駄な人、無駄なセリフはひとつもない」

各賞発表のあと、笠井氏は改めて、素晴らしい演劇祭であること、そして実行委員長を務めたことを幸せに思っていることを語ると、「この演劇祭が、これからもますます大きく重要な位置を締めていくのではと強く感じました。皆さんに敬意を評し、これからの活躍を期待しています」と締めくくりました。

スペシャルサポーター、スーパーバイザーの各氏からは、次のようなコメントが。

野上氏「こんなに光栄な仕事はない。演劇が好きでしょうがない。日本にあるいろんなエンタメには、一枚岩になって世界と戦える十分な力があります。いろんなエンターテインメントを楽しんで、自分の劇団も楽しんでほしい」

三島氏「参加して本当によかった。新しい劇団の新しい演劇を見て、毎日楽しんで、考える日々が続きました。もっと全国の皆さんに見てもらって、楽しんで刺激を受けてもらいたいと心から思いました。それぞれの劇団の公演も観たいです。また、いろんなところで、お会いしましょう」

山本氏「それぞれの劇団の公演を見て、どんな人がどんなふうに作って、悩んでいるのか、話させてもらったことが財産になっています。もう次のステージに向かって、明日から羽ばたいてもらえれば。ぜひ次のステージで会えることを楽しみにしています」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

西田氏「お芝居というのは幸福を作り出せると常に思っています。今年の演劇祭は幸福を感じる芝居が多かった。僕らはゼロからうれしい、楽しい、幸福を作ることができる。僕らが作れば作るほど、世界はプラス方向に行くと思います」

最後に総括としてフェステバル・ディレクターの板尾がコメントしました。まずは「無事に終えられたことが何よりです」と安堵の表情を見ると、こう語ります。

「10の劇団の作品が、全部ひとつにつながっているような感覚になりました。(演劇祭)4年目でここに到達したなという喜びがあります。もっと続けていけたらいいなという思いでいっぱいです」

そして、「無駄な人は1人もいなかった。無駄なセリフもなかった。全シーンがつながっています。これからの舞台人生、役者人生、演劇人生がんばってください!」とエールを送ると、会場は大きな拍手に包まれ、表彰式は終了しました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

関西演劇祭2022では、俳優、クリエイターなど、新たな人材を支援する「つながるファンディング」を11月30日(水)まで実施、さらに来年には、第5回の演劇祭開催が決定しています。関西だけでなく、日本中の舞台を盛り上げる演劇祭として、さらなる進化が期待されます。


『関西演劇祭2022』公式サイトはこちらから。
クラウドファンディングはこちらから。