高校生漫才師No.1を決定する『ハイスクールマンザイ2022〜H-1甲子園〜』決勝大会が12月11日(日)に開催され、近畿エリア代表のレイジークラフト(石山蓮也さん/高3、安本悠人さん/高3)が優勝しました。コロナ禍によるオンライン開催から3年ぶりのリアル開催になった今回の大会。審査員のオール巨人も「レベルが年々上がっている」をうなる激戦となりました。
過去19回に、のべ1万396組、2万1122人の高校生が出場し、プロへの登竜門として、青春の1ページとして、漫才での真剣勝負が繰り広げられてきたこの大会。新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となった過去2回を経て、3年ぶりのリアル開催となった第20回は、史上最多の679組1386人がエントリー。厳しい予選を勝ち抜いた8組が決勝で火花を散らしました。
ラストイヤーの優勝にガッツポーズ!
夢の決勝の舞台は、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール。MCはタカアンドトシの2人、審査員はオール阪神・巨人、板尾創路、笑い飯(西田幸治、哲夫)、ハイヒール・リンゴ、メッセンジャー・あいはらが務めます。
また今回の大会から、新たな試みとしてプロの芸人が事前に決勝進出全組のネタを見てアドバイスするシステムを導入。今年は『ハイスクールマンザイ』OBでもある令和喜多みな実・野村尚平が、リモートで各コンビを指導しました。また、大会アンバサダーのインディアンス(田渕章裕、きむ)は、楽屋からのレポートを担当します。
決勝に勝ち残ってきたのは、くじ引きで決定した出番順に、爆速女(近畿エリア代表)、偽ビートルズ(北海道・東北エリア代表)、波乱万丈(中国・四国エリア代表)、バンコック(関東エリア代表)、メガレプトン(関東エリア代表)、ラジオメイト(九州・沖縄エリア代表)、縮緬雑魚(中部・北陸・甲信越エリア代表)、レイジークラフト(近畿エリア代表)という8組。それぞれが、この日のために磨いてきたネタを全力で披露しました。
優勝したレイジークラフトは、2年連続の決勝進出。童話「桃太郎」に少年マンガのような展開があったら……という導入から、予測不能な熱血ストーリーで爆笑をさらいました。ネタ終了後、板尾は「コントの展開がうまくちりばめられ、精密に練り上げられた漫才。上質なものを見せてもらった」と大絶賛。巨人も「うまかったね。さすが3年生という感じ」と、その実力に太鼓判を押しました。
優勝が決まった瞬間、2人は思わずガッツポーズ! ボケの石山さんは「最高です!」とニッコリ。ツッコミの安本さんは「ラストイヤーで、ここでぜったい優勝したいと思っていた」とうれしそうに話します。2人には、お笑い奨学金50万円とNSC(吉本総合芸能学院)の特待生(入学金・授業料免除)などの優勝者特典が贈られます。
次の目標はM-1決勝進出!?
終了後の囲み会見でも石山さんは、「3年間頑張ってきて、やっと結果が出た。明日からは日本一おもしろい高校生として学校に行ける」と喜びを爆発させました。一方の安本さんは「こういう活動をしていると、親に『勉強せんで大丈夫なん?』と言われる。今日は結果を残せたので安心した」とホッとした表情を見せます。
コロナ禍でリモート開催だった過去2回は、「実際に2人で会って練習できないのがストレスだった」という2人。今年は、間にアクリル板を挟んではいたものの舞台に立てたことが嬉しかったようです。安本さんは「お客さんの顔が近くで見えて、緊張もするけど、同時にテンションを上げてもらえた」と語り、石山さんも「もっと漫才が好きになったし、ウケると鳥肌が立つ感覚がすごい。漫才楽しいなと思わせていただいた」と振り返りました。
安本さんはすでに推薦で大学進学が決まっていて、石山さんは受験勉強の真っ最中。今後は大学でのお笑い活動も視野に入れる一方、NSCへの入学はまだ思案中だそうです。ただし、「将来的にお笑いに携わりたい」と口を揃えます。
オール巨人が「うまいからといって、すぐ吉本の舞台で勝負できるかというと、それは無理。やっぱり最低2、3年はかかる。だから、大学を出てから漫才をやってもいいし、それこそ二刀流もええんちゃう?」とアドバイスすると、レイジークラフトの2人は「M-1はアマチュアも出られるので、決勝を目指して頑張りたい」と新たな目標を掲げました。
ハイヒール・リンゴは女子高生の活躍に感激
オール巨人は大会を振り返って「レベルが年々上がっている」と総括すると、こう言って目を細めます。
「(出場者のうち)4組ぐらいは、10年、15年ぐらい前に出たら優勝できたやろうね。最初は噛むのが心配とか、途中で(ネタが)止まった子とかいっぱいいてたから。高校生でも、佐々木朗希みたいに160キロ投げる子が出てくるんやから、漫才もそうかなとか思うと嬉しいです」
一方、今年の決勝には3組の女性コンビ、1組の男女コンビが進出し、女性の活躍も目立ちました。リンゴは「参加してくれた女の子が、本当に女芸人に見えた。女の子が芸人になりたいと思ってくれてるっていうのが嬉しかった」と“後輩”たちの頑張りに感激した様子です。
板尾は、レイジークラフトの漫才について「ダントツにテクニックがすごい。漫才の構造をちゃんと理解してる感じが明確に出ていた」と評価。インディアンスの2人は「われわれも、もっと漫才を頑張ろうと思った」(きむ)、「この8組は、僕たちのM-1準々決勝より確実にウケていた。見習わなアカン」(田渕)と、むしろ自分たちが気を引き締めていました。