「毒舌漫才」で終始、会場を沸かせて悲願の第18代M-1王者に輝いたウエストランド(井口浩之、河本太)。12月18日(日)に開かれた『M-1グランプリ2022』(ABCテレビ・テレビ朝日系)の決勝大会で、過去最高となる7261組の頂点に立った彼らが、直後の優勝会見で優勝への思い、そして事務所の先輩・爆笑問題への思いを語りました。
「ネタが評価されるとは思ってなかったので…」
決勝戦の生放送終了後、新王者として記者会見場に現れたウエストランドの2人。7261組の頂点に立った心境を聞かれた井口は、こう語ります。
「年末の風物詩になっている大会。芸人として絶対に売れてやると思ってましたけど、ネタが評価されるとは思ってなかったので意外です」
一方、相方の河本が「僕は(井口に)ついてきただけ。7261組の頂点だとは思ってない。“腹がちぎれる”くらい怒ってる人もいると思います」と答えると、井口はすかさず「なんか表現違うなぁ!」とツッコみました。
今回の決勝戦のファイナリストは、優勝したウエストランドのほか、ダイヤモンド(野澤輸出、小野竜輔)、男性ブランコ(浦井のりひろ、平井まさあき)、カベポスター(永見大吾、浜田順平)、ロングコートダディ(堂前透、兎)、さや香(新山、石井)、真空ジェシカ(ガク、川北茂澄)、キュウ(ぴろ、清水誠)、ヨネダ2000(誠、愛)の9組に加え、決勝当日に行われた敗者復活戦で最後の1枠をつかみ取ったオズワルド(畠中悠、伊藤俊介)の計10組。それぞれが、決勝で今年いちばんの漫才を披露しました。
今年もMCは、今田耕司と上戸彩。審査員を務めるのは、松本人志(ダウンタウン)、礼二(中川家)、立川志らく、塙宣之(ナイツ)、富澤たけし(サンドウィッチマン)、そして新たに加わった山田邦子、5年ぶりに復帰した博多大吉(博多華丸・大吉)というメンバー。
例年通り、笑神籤(えみくじ)で決定されたファーストラウンドの出番順、そして得点は下記の通りです。
1:カベポスター・・・・・・・634点
2:真空ジェシカ・・・・・・・647点
3:オズワルド(敗者復活)・・639点
4:ロングコートダディ・・・・660点
5:さや香・・・・・・・・・・667点
6:男性ブランコ・・・・・・・650点
7:ダイヤモンド・・・・・・・616点
8:ヨネダ2000・・・・・・・ 647点
9:キュウ・・・・・・・・・・620点
10:ウエストランド・・・・・ 659点
この結果、さや香、ロングコートダディ、ウエストランドが上位3組に。最終決戦はウエストランド、ロングコートダディ、さや香の順で2本目の漫才を披露し、ブレずに2本続けて「毒舌漫才」を繰り広げたウエストランドが、審査員票を6票獲得して第18代王者となりました。
優勝が決まってすぐ、大粒の涙をとめどなく流す河本を見て、井口は「こんなに(漫才での)セリフが少なくて、ネタ飛ばしたヤツが大号泣してるんで腹立ちますね!」と毒舌ツッコミ。河本が「相方ばかり仕事が増えてヒマだった。コンビでどこか呼んでください」と呼び掛けると、井口は「自分の人生なんですけど、初めて主役になれた気がしました」と晴々とした表情を浮かべました。
井口、会見でも毒舌ツッコミ!
生放送終了後の優勝会見で、「まだ実感が湧かない」という河本はどこかフワフワとした様子。優勝決定の瞬間に大粒の涙を流した理由を聞かれて、「子どもが2人いるんですけど、涙腺がぶっ壊れてすぐ泣いちゃうんです。アニメでキャラがいいことを言うと泣いてしまうし、M-1のPV(プロモーションビデオ)も死ぬほど観て……」と、つかみどころのない回答をしたり、質問に対して何度も「なんでしたっけ?」と聞き返したりとマイペースぶりを発揮します。
そんな相方に前もって「とにかく泣くな」と話していたという井口。泣いている相方について聞かれると、「ドン引きですよ!」と言い放ちました。
賞金は「身体のメンテナンス」と「娘の学資保険」に
一方、会見では以前、ウエストランドが決勝に出た際に井口が放った「漫才はいいことがなかった人間の復讐劇だ」という言葉が話題に。「復讐劇」は完成したかと聞かれた井口は「今回はネタ2本、ちゃんとウケることが目標で、優勝はあとからついてくるものだと思っていたので、ウケることができたという意味ではリベンジできたと思います」と振り返りながらも、「復讐できたか、いまはまだちょっとわからない」と率直な思いを明かします。
また、賞金よりもチャンピオンの称号のほうが大きいと語った井口。ピンの仕事も河本と折半しているそうで、「そういうところが優しいって書いていただければ」と笑わせつつ、賞金は「これから忙しくなったときのために、身体のメンテナンスに使いたい」とのこと。一方、河本は「娘2人の、今年崩した学資保険に補填したいです」と答えました。
事務所の先輩である爆笑問題(田中裕二、太田光)への報告は、この時点でまだしてなかったそうですが、井口は決勝前、太田から「目の前のお客さんとテレビの前のお客さんを笑わせることに集中しろ」とアドバイスをもらったとのこと。さらに、田中とのこんなエピソードで笑わせます。
「(決勝戦で披露した)ネタができたとき、たまたま田中さんが見てくれていて。珍しいんですよ、田中さんが『このネタいいじゃん』と言ってくれて。(決勝が決まって)このネタをやるって報告したら、1ミリも覚えてなかったです」
最後は「爆笑問題さんと(事務所の)太田光代社長には、いい報告をしたいですね」と語りました。
その後のフォトセッションではトロフィーの重みに耐えきれず、「重い……痛ぇ~!」とぼやきながら、幾度か床におろして休憩していた井口。すべてを終えて、司会進行を務めたABCテレビのヒロド歩美アナウンサーに「忙しい毎日に行ってらっしゃい!」と送り出され、2人は足早に会場をあとにしました。