麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、前回と次回の2回にわたって放送される「川島・山内のおすすめマンガ」をお送りします(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。
自宅から一歩も出ず1人で静かに暮らす、夢のニーティング・ライフ
川島 今回のテーマは定番の「川島・山内のおすすめマンガ」!
山内 僕のおすすめはこちら。『NEETING LIFE ニーティング・ライフ』、筒井哲也先生です。単行本は上巻が発売中、連載は完結していてもうすぐ下巻が発売予定です。あらすじなんですが、コロナ禍によって生活スタイルが大きく変わった現代を描いてます。主人公、45歳のサラリーマン・小森建太郎は20年間勤めた会社を早期退職。貯金と退職金を合わせた2,000万円で安いアパートを借りて、自宅から一歩も出ずに、死ぬまで1人で静かに暮らすという究極の引きこもり生活「ニーティング」をスタートさせます。
川島 2,000万円で残りの人生を逃げ切ってやろうと。
山内 そうです。働いてる頃からシミュレーションを重ねて、「これだけあれば残りの人生を逃げ切れる」と計算した上で、夢のニーティング・ライフをスタートさせるんですよ。
川島 ちょっと夢やな、これ。
山内 安いアパートを借りるんですけど、暖房を使わずに暮らせるように、家の中でテント生活をするんです。食事も「計算上、これでいけば死ぬまで耐えられる」という分量で。そうやって完璧な計算の上でニーティング・ライフをスタートさせるんですけど、何者かがそのニーティング生活を脅かすんです。
川島 なんでやねん(笑)。もう放っといてあげーや。
山内 外で物音がしたり、置いてた物の位置が変わってたりしてたから、もったいないけど、予算を使って監視カメラを付けるんですね。そしたら、その監視カメラが壊されていたと。残った映像を見たら、何者かが部屋の中をのぞいてたんです。これはそのニーティング・ライフを守るための戦いを描いたマンガなんです。
川島 犯人の目的も全く分からない? ただニートが暮らしてるだけなのに。
山内 今のところ、全く分かんないんですよ。
川島 なんでこんな人が狙われるんや。出世する人を狙うんやったら分かるけど。そこが謎なんだ。おもろ! これはどうやって知ったの?
山内 クロスバー直撃の前野さんが……。
川島 呼べ(笑)! 1回、前野を呼ぼう(「このマンガがすごい!2022芸人楽屋編」参照)。前野にもちょっとギャラ払えよ。もう作家じゃない(笑)。でも今これ読むの、おもろいね。ちょっとみんなの夢でもあるでしょ。絶対読みます。
松尾諭の数奇な実話
川島 こちらでございます。『拾われた男』。これ、俳優の松尾諭さんの完全実話です。松尾諭さんはもちろんご存じですよね?
山内 はい。『SP』というドラマ、好きだったんで。
川島 『SP』とか、『シン・ゴジラ』でも有名ですよね。その松尾諭さんが2017年から2020年まで文春オンラインに連載した自伝的エッセイがありまして、それのマンガ化です。単行本は上下巻で終わっております。2022年には有料配信サイトで、主演・仲野太賀さんで実写ドラマ化されました。
山内 松尾さんじゃなく?
川島 自分がやってもええねんけど、やっぱり照れくさいということで断ったんですって。仲野太賀さんはこの役作りのために、松尾さんになるために10キロ太ったそうです。
山内 すごいな、俳優さんって(笑)。
川島 なんでこの人が俳優としてブレークできたか。この最初の部分だけ、ちょっと言わせていただきます。松尾さんが高校のとき、ある劇団が高校に来てお芝居をやってくれるんです。松尾さんはそれを見て、「芝居ってすごい。人をこれだけ感動させるんだ。俳優になろう」と思って、めっちゃ燃えるんですよ。でも今まで芝居のことを何もやってないから、友達にどうしたらいいんやろと尋ねるんです。そしたら「とりあえず東京へ行ったら?」と言われて、松尾さんは上京するんですよ。
で、東京の知り合いの家に、家賃を半分払って住むんです。でも何の実績もないし、練習もしてないので、どこのオーディションに行っても全然駄目、何の仕事もない。そうこうしてる間に同居人が女性を連れ込んで、自分はその声を聞きながら寝たりするんです。つらいな、どうしたらええんやろ、となったときに、夜、自販機でジュースを買って下を見たら、航空券が落ちてるんですよ。何これ?となって、友達に電話して、これなんぼで売れるやろと聞くんですけど、友達は「そんなことしたらあかん。警察に届けろ」と言うんです。で、その航空券を警察に届けるんですけど、「落とし主が現れた場合、お礼を希望しますか?」みたいな欄があるじゃないですか。松尾さんはお金がないから「希望します」にマルをつけるんです。
山内 珍しい(笑)。
川島 なかなかの航空券だったんで、たぶん落とし主はお金持ちで、1万円くらいもらえたらいいな、くらいの気持ちで。そしたら後日、その落とし主が現れます。その人……女性なんですけど、芸能事務所の社長だったんです。お礼を希望してたから、喫茶店みたいなところへ連れて行かれて、そこでビール券を渡されたんですって。「しょぼっ!」と本人は思ったらしいんですけど。それで「何してる方なの?」という話になって、「実は俳優を志望してるんですけど、いろいろオーディションをやって、今は結果待ちみたいな状況です」と言うんです。そしたら、その人は芸能事務所の社長だから、「もしオーディションが全部駄目だったら、連絡してみて」と言われるんです。結局、オーディションは全て落ちて、「そういえば……」と思い出して、その事務所に行くんですよ。行ったら、バリバリのモデル事務所で(笑)。
山内 全然本人の雰囲気と違いますよね。
川島 全然違うんですよ。でも無理やりそこに入っちゃうんです。入っていいと言われたから、何もしないよりはいいだろうと思って。
山内 入ったんだ。
川島 とりあえず勉強やと思ってそこに入るんやけど、モデルのウォーキングも一緒に練習して。これ、どういう状況?みたいなところから芸能人生が始まるんですよ。それでいきなり売れるわけもないんですけど、いろんなことがありながらいかに『SP』でブレークするか……までが描かれたのが『拾われた男』なんです。落とし物を拾ったんですけど、自分は拾ってもらったんで、『拾われた男』というタイトルなんですよ。ほんまおもろいですよ。井川遥さんの運転手とかもやってるんです。
山内 すごい経歴やな。
川島 ドラマ化されてるくらいおもろい人生が、マンガだともっと伝わりやすくなってます。松尾さんファンはもちろん、この世界を目指してる人も読んでほしい。松尾さんのブレイクは奇跡の連続なんで、「事実は小説より奇なり」ということで、これはマンガを読まない人にもおすすめです。
「事故に遭った宇宙船」と「難破した宇宙船」2つの時間軸で描くSFサスペンス
山内 僕のおすすめはこちら。『リバイアサン』、黒井白先生。2022年から『ジャンプ+』にて連載中、単行本は2巻まで発売中です。フランスで出版され、先行ヒットしていたマンガを逆輸入した作品です。
川島 フランスで売れてんねや。
山内 あらすじなんですが、宇宙旅行をすることが当たり前になった近未来を描いてます。で、ある中学校の修学旅行初日の夜に、突然、宇宙船が謎の爆発を起こしてしまいます。生徒たちはほとんどが助かったものの、爆発の影響で救助を呼ぶための連絡手段が断たれて、さらに宇宙船内の酸素タンクも爆発の影響で消失してしまいます。
川島 ヤバいじゃない。
山内 酸素がもつのは残り50時間。生き残るためにコールドスリープに入れる人間は1人のみ、という状況になるんですね。宇宙船というどこにも逃げられない閉鎖空間の中で、少年少女たちの生き残りを懸けた凄惨なサバイバルが始まる、SFサスペンスとなっております。
面白いなと思ったのが、最初は宇宙船が壊れて難破船みたいになって宇宙をさまよってるところからスタートするんです。事故が起きたよりもずっと未来の時間軸から物語が始まる。で、宇宙船を荒らす盗賊団がその難破した宇宙船を見つけて、何か金目のものはないかと入っていって、そこで日記を見つけるんです。そしたら、その日記に「宇宙船の中で急に爆発事故が起きて、酸素の残りがもう50時間になった」みたいなことが書かれてあるんですよ。
コールドスリープできるのが1人だけというのも最初はみんなは知らなくて、最終的に生き残れるのは 1人だけというのがみんな分かっちゃうんです。そこからバトルロワイヤルのような展開が始まる……みたいなところで1巻が終わる。その日記を読んでいる盗賊団は「このコールドスリープを開けたら、この日記に書いてある誰かが入ってるんだな」みたいに、推理するような感じで話が進んでいくんです。誰が最終的に生き残ったのかを推理しながら読み進んでいくマンガになってます。
川島 見せ方が新しいですね。
山内 推理も入ったり、サスペンス的なのもあったりして。
川島 これが先にフランスで当たったんだ。
山内 フランス人が描いたんですか?
スタッフ いや、日本の方です。フランスの会社が日本の作家を青田買いしてるみたいな感じですね。
川島 フランス、日本人気がめちゃくちゃすごいですからね。これは自分で、本屋さんで見つけたんですね。
山内 いや、これはクロスバー直撃の前野さんのおすすめです。
川島 前野やん! もう「川島・前野のマンガ沼」やん(笑)。なんで1回も番組に呼んであげへんの? 一番マンガ読んでるやないの。
山内 それはもう間違いないです。
『ひらやすみ』のエピソード・ゼロ
川島 『センチメンタル無反応』、真造圭伍先生です。業界でも絶賛されてる『ひらやすみ』の真造先生なんですけども、そのエピソード・ゼロとも言うべき、2017年から2021年までに描いた短編8本を収録しております。心地よいボサノバを聴いているような爽やかな気持ちになるんですけど、ちょっと寂しかったり、胸が締め付けられたりする作品もあるんです。今回は短編8本の中から、おすすめしたい作品を2つに絞りました。
1本目は「清水家のすべて。」という話でございます。このマンガだけ前編と後編に分かれております。この短編集の表紙を飾っているのが、主人公の清水美智子さん。この美智子さん、高校生なんですけど、彼氏がおります。卒業式が終わって彼氏の久保くんが、もうちょっと絆を深めたいということで、両親にあいさつしに行くんです。でも美智子さんはなんだか乗り気じゃないんですよ。「ウチ、ケッコーヤバいけどホントいいの?」とか言って。で、清水さんの家に着いたら、めちゃめちゃゴミ屋敷だった。
山内 (ページを見て)めちゃめちゃゴミ屋敷ですね。「けっこう」どころのレベルじゃない。
川島 久保くんは一瞬、止まってしまうんですけど、もう後には引けないですから、家の中に入るんです。でも家の前がゴミだらけなんで、2階から入るしかない。そんなゴミ屋敷に住んでるって、どんなお父さんなんだろうと思うんですけど、別に「ゴミ屋敷の主人」って感じでもないんですよ。お母さんも優しい感じだし。
で、久保くんがお父さんに「娘さんと同棲させてください!」と頼むんですけど、あっさりOKをもらうんです。その後でお父さんが聞くんですよ。「ところで、ココにあるモノ達をどう思う?」って。久保くんが「いいと思います」と答えたら、「そうだろう。ゴミじゃないんだ。すべて価値があるんだ」という感じで、話が進んでいくんです。
その後、美智子さんの部屋にいったら、そこはめっちゃきれいなんです。自分で掃除してるから。で、二人っきりになってイチャイチャが始まりそうなところで、突然ドンドンドンとすごい音がするんです。何だろうと思ったら、彼女の兄貴が激痛のYouTuberで、部屋で暴れ回ってるんですよ。
山内 最悪ですね。
川島 彼女の家はゴミ屋敷、おまけに兄貴はヤバめのYouTuber。現代における最低な条件が全部そろったところで、久保くんからその後、連絡が途絶えるんですよ。やっぱり駄目か……となって、美智子さんはお酒を飲むんです。未成年なんだけど。
これ面白いのが、前編はいかに家庭が崩壊しているかを描いているわけですよ。ゴミ屋敷やし、お母さんは何も言わない。兄貴はむちゃくちゃなYouTuber。自分だけがまともやけど、お酒を飲んだりしてる。みんながバラバラになってる状況で、その状況に全部耐えてたお母さんが倒れてしまうんです。それを美智子さんが見つけて、前編が終わる。ここから先は後編を読んでいただきたいんですけど。
山内 前編だけですごい内容ですよ。後編でまとめきれます?
川島 そこなんですよ。これ、すごい構成やと思います。ちょっと読んでみてください。これをどう思うかというのは、もう読む人によって感想が違うと思います。そしてこの短編集でもう1本紹介したいのが「悪性リンパ腫で入院した時のこと」。これ、実はノンフィクションなんです。
山内 実話なんだ。
川島 真造先生が2020年、血液のがんともいわれる悪性リンパ腫を患って、突然入院することになったんです。その入院生活を中心に描いたマンガなんですけど、入院したことで1回、冷静になるんですよ。自分の描きたかったこと、本当にやりたいことって何だろうと見つめ直す。それまで次の連載のことを考えても何も思いつかなかった先生は、悪性リンパ腫にかかってこう思ったんですよ「不幸をくれてありがとう」と。
そうやって悟りを開いたような形で始まったのが、『ひらやすみ』なんです。『ひらやすみ』のネームは病室で描いたんですよ。我々はすでに『ひらやすみ』を読んでるんで、「この静けさは何だろう? 若い先生なのになんでこんな冷静な作品が描けて、しかもちょっと寂しさと影があるのは何なんだろう?」と思ったら、こういう経験があったからなんですね。だからこれは『ひらやすみ』のエピソード・ゼロなんです。『ひらやすみ』のファンには絶対読んでほしいし、読んでない人はこれを読んでから「どんなマンガを描いたんだろう」と思いながら『ひらやすみ』を読んでもいい。そんな作品が入っている短編集です。
山内 先生に会ってみたいですね。どんな人なんだろう。優しいタッチの絵なんですけど、内容はちょっとパンチが効いてるし。
川島 最初の短編「ディパーチャー」も、めっちゃいいんですよ。どれも60分くらいの邦画にできそうな話ばっかりです。
『サンダー3』を紹介してくれたのは…
山内 続いて僕のおすすめマンガは『サンダー3』、池田祐輝先生。『月刊少年マガジン』にて連載中、単行本は2巻まで発売中です。第1話が掲載された段階で「次にくるマンガ大賞2022」にノミネートされた異例の注目作です。川島さんは読まれました?
川島 これはもう読んで、2022年で一番衝撃を受けました。「第1話で、なんでノミネートされんねん」と思うかもしれんけど、これは問答無用ですね。
山内 和牛の水田がマンガ好きなんで、この間、仕事が一緒だったとき、水田に「まだ読んでないんやったらちょっと確定のマンガあんねんけど」と言ったら、近くにいたバイク川崎バイクが「それ『サンダー3』?」と言ってきたくらい(笑)。
川島 俺も実は楽屋で教えてもらって。ノブがこれを読んで、「川島さん、『サンダー3』読みました? もうマンガはここまで来とる!」って言ったんですよ(笑)。
山内 ただ、これ紹介が難しいんですよね。
川島 難しい。もう今すぐ読んでほしいもん。
山内 本当に「読んでください」としか言えない。ノブさんがおすすめしてたのは、もともとはノブさんと佐藤健さんと僕でご飯に行って……。
川島 えげつない<サンダー3>やな(笑)。
山内 佐藤健さんもマンガめちゃ好きなんですよ。で、マンガの情報をお互いに交換してるときに、佐藤健さんから「まだ1話か2話が出た段階だけど、気になってるマンガがあるから読んでみて」と言われて、そこでノブさんと俺が読んだんですよ。
川島 そこから来たんや。
山内 それで度肝を抜かれて。そのときも「説明したいけど、とにかく読んでみて」って感じでした。とにかく本当に1話で、みんなが驚いてる理由が分かりますから。1話は試し読みできます。
川島 1話読んだら、もう買わなしゃあない。こんなん、俺、見たことないわ。
山内 本当のこと言うと、最初は僕の苦手な、ぬるいタイプのマンガだと思ったんですよ。「何をすすめてんねん、佐藤健さん」と思ってたら、そこからの加速度がハンパなくて。
川島 もうちょっと早く出てたら、「このマンガがすごい!芸人楽屋編」の1位になってたなと思う。今年このマンガは、とんでもないことになると思います。
『るなしい』の原液と言えるほど濃いマンガ
川島 次は私のおすすめです。『アマゾネス・キス』、意志強ナツ子さん。
山内 出た! せっかくポップなマンガを紹介してたのに。
川島 この番組で準レギュラーと言っても過言ではない、意志強ナツ子さんの作品です。単行本は全3巻。以前、「おすすめマンガ」「このマンガがすごい!芸人楽屋編」で、意志強先生の『るなしい』というマンガを紹介させていただきました。その理由が、妻に「『るなしい』読んでみて。めっちゃ嫌やねんけど」と言われたから。もうとにかく嫌なんですけど、先が気になってしゃあない。ずっと不気味。その『るなしい』の原液がこれです。
山内 えー!? じゃあ絶対しんどいですよ。
川島 これ、ほんまにしんどいです。『アマゾネス・キス』を炭酸で割ったのが『るなしい』ですから。
山内 そんなに濃ゆいんだ。
川島 主人公は岡本はづきさん。占い師なんですけど、占いだけでは食べていけないので、副業で就職してるんです。その勤め先がお菓子を作る会社で、なんでそこにしたかというと、自分が大好きなボタニカチョコというのがあるんです。このチョコレートもおいしいんですけど、1個1個、占いが入ってるんですよ。そのメーカーだったから、そこにお仕事をしに行ってるんです。
そのボタニカチョコを作ったのが天野純子さん。この方に憧れて会社に就職するんです。天野さんは話しかけるのも緊張するような憧れの存在で、「この人みたいになりたい」と思って、はづきちゃんは頑張ってるんです。その天野さんがもう会社を辞めるというんです。どうやら新しいビジネスを始めるらしい。何のビジネスかというと、トレーニングジム。普通そう聞いたら、運動するほうだと思いますけど、そのジムは超感覚知覚力をトレーニングすると。ヤバすぎるでしょ?
山内 ヤバいですね。
川島 何を言ってるか分からないですよね。超感覚知覚力という怪しい能力を開発、そして訓練するための会員制トレーニングジム。その名前が<アマゾネス・キス>なんです。
山内 ジム名なんだ。
川島 この天野さんは賢いというか、ずるいというか、もともといた会社の掃除のおばさんとか、いろんな同僚にめっちゃ声かけてるんですよ。「あなたの超感覚知覚力、開かせますんで」みたいなことを言って、お客さんを引っ張ってきてる。主人公のはづきさんも、自分だけ勧誘されてないのが嫌なので、そこに行くんです。で、入会費に45万円取られる。
山内 高いなー。
川島 それでこのジムに入るんですけど、天野さんを指名する場合はプラス5,000円とか、お金を払わなあかんのです。じゃあいったい何をするんだと。これはちょっと言葉を選びますけど、要するに女性専用風俗みたいなことをしてるんです。
山内 『るなしい』よりもさらに気持ち悪い。
川島 「何これ?」って思いますよね。それではづきさんは天野さんに胸をなめられたりするんです。ただ、肝心なところを触らなかったり、キスはしなかったりして、「その状態でイキなさい」みたいなことを言うんですよ。それが超感覚知覚力を手に入れるトレーニングだと。だから会社の掃除のおばちゃんもそういう目に遭ってるわけです。
山内 そういうことですよね。
川島 はづきちゃんは占い師じゃないですか。だからこの占い師に没頭してる男の人もいるんです。なのに、最近は占いをやってくれない。どういうことかと調べると、はづきちゃんがアマゾネス・キスに通っているのが分かって、今度はその男性が店の会員証を持って入ってきたりするんですよ。で、とんでもないトラブルを起こしたりして。「自己啓発ヒューマンドラマ」というキャッチフレーズがついてますけど、俺は決してそんなことではないと思います。
山内 怖いな。気持ち悪いな。
川島 でも、もうおもろいですね。どんどん人間の闇を見ていく感じがちょっと癖になって。読み直すたびに気分がちょっと落ち込むんですが、辛いもん好きと一緒ですよね。ちょっと中毒性があります。『るなしい』がおもろかったという人はぜひ源流に行ってください。『アマゾネス・キス』でした。
*次回放送は「川島・山内のおすすめマンガ」後編をお送りします。
(構成:前田隆弘)
マンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』は、読売テレビ:2月18日(土)深1:28~1:58、日本テレビ:2月23日(木)深2:59〜3:29の放送(※一部地域を除く)です。
おたのしみに!
番組概要
川島・山内のマンガ沼
次回放送
読売テレビ:2月18日(土) 深1:28~1:58
日本テレビ:2月23日(木) 深2:59〜3:29
「川島・山内のおすすめマンガ」後編を放送。
(TVerでも配信中!)
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