ジャルジャルらが別会場の相方と高速回線で実験的遠隔漫才「間がバッチリで最高でした!」

もしも東京と大阪という離れた場所にいるコンビが、高速ネットワーク回線を通じて、まったく違和感のない“遠隔漫才”ができたらーー。そんな未来のお笑いを予感させるイベント『NTT西日本presents「未来のお笑イブ!!」supported byよしもと』が、3月20日(月)に開催されました。大阪市内の3会場を結んで漫才やバンドのライブを実施。離れた場所にいるのにまったくライムラグがなく掛け合いや演奏ができることに、出演者は一様に感激していました。

出典: FANY マガジン
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イベントは、NTTが2030年を目標に研究開発を進めている次世代のネットワーク情報処理基盤構想「IOWN」を活用したもので、大阪の京橋会場(NTT西日本 QUINTBRIDGE)と難波会場(よしもと漫才劇場)、そして梅田会場(NTT西日本 LINKSPARK OSAKA)の3会場を結んで行われました。

「違和感ない! しゃべっていても普通!」

出演したのは、COWCOW(善し、多田健二)、ジャルジャル(福徳秀介、後藤淳平)、ジュースごくごく倶楽部(ジンジャエール阪本、辻クラシック、愛コーラ、堂前タオル、ポイズン反町、あたし)の3組。

この新しい形のライブを可能にした「IOWN」は、オールフォトニクス・ネットワークという技術を使った新しい高速回線の通信ネットワークです。遠隔であっても、演者の掛け合いや観客の笑い声などの音声・映像を遅延することなく伝送できるので、会場が離れていても、まるで同じ場所でやり取りしているかのような体験ができるといいます。

京橋会場に登場したのはCOWCOW・善し、ジャルジャル・福徳。そして、ステージ上の縦型の等身大モニターには、難波会場にいるCOWCOW・多田とジャルジャル・後藤が映し出されています。

出典: FANY マガジン
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まずは京橋会場と難波会場をIOWNの高速回線でつなぎ、遠隔でネタを披露することに。「モニター越しにネタをしたことがない」というCOWCOWの2人ですが、モニターに映し出された多田を、善しは「大きさも一緒で本当に横にいるような感じになってますね」と感心。一方、多田も「違和感ないですね! しゃべっていても普通!」と目を丸くします。

福徳は、画面に映る後藤を眺め、「つい(後藤の)後頭部が見たくなる」とモニターの裏を覗き込むしぐさも見せていました。

出典: FANY マガジン
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「早く劇場に採り入れたほうがいい!」

ジャルジャルは「国名分けっこ」、COWCOWは「あたりまえ体操」のネタを披露。どちらもテンポがよく、さらに動きのあるネタですが、多田は「違和感なくできました」。善しも「これはすごいですね! 遅延のやりにくさもないです」と驚いた様子。福徳が「本当に自然にできました。いっさいのズレもなくて、びっくりしました」と言うと、後藤も「間がバッチリで最高でした」と話しました。

早くもIOWNの活用法が浮かんだようで、善しはこんなアイデアを出します。

「早く劇場に採り入れたほうがいいです。2会場で、同じコンビが見られるということですもんね。吉本には東京や福岡にも劇場がありますが、片方ずつ、離れていても両方で開催できる。そうすれば交通費も浮きますね」

出典: FANY マガジン
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続いて3会場をつないで、ジュースごくごく倶楽部が『サボりの歌』を演奏。辻クラシック(ニッポンの社長・辻)、ジンジャエール阪本(マユリカ・阪本)、愛コーラ(ムームー大陸・山﨑おしるこ)の3人は京橋会場に、堂前タオル(ロングコートダディ・堂前透)とポイズン反町(シカゴ実業・山本プロ野球)は難波会場、そして、あたし(滝音・さすけ)は梅田会場からの参加です。

演奏を終えた阪本と愛コーラは「違和感がまったくなかった。いつもと同じように気持ちよく歌えました」と満足そう。梅田会場で、1人でセッションに参加したあたしは「一緒にいる感じがしました」と、離れていても一体感を持てた様子です。

難波会場のポイズンも「ドラムがずれると問題がありますが、遅延がまったくなかったです」。さらに堂前は「これはちょっと言いすぎかも知れませんが、いつもよりやりやすかったです」と会場を笑わせていました。

出典: FANY マガジン
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IOWNの先駆者を目指すジャルジャル!?

トークセッションのコーナーでは、COWCOW、ジャルジャル、辻クラシックらが「お笑い・エンタメ業界が IOWN によってどのように変わるのか?」をテーマに語り合います。

ちなみに、この日は偶然にも後藤の誕生日。NTTの川添雄彦副社長からモニター越しに誕生日ケーキが贈られると、後藤は「すごいうれしいんですけど、なんでケーキそっち(京橋会場)なん!?」と訴え、会場は大笑いです。

トークセッションで善しは「これからは、IOWNが通信の“あたりまえ”になるんじゃないですか?」と感心しきり。これまでリモートネタを数多く生み出してきたジャルジャル・福徳も、「IOWNの第一人者になりたいですね」と語ります。

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一方、ジュースごくごく倶楽部は、キーボードのあたしを残して全員が東京進出することを受けて、辻クラシックがこんな考えを。

「練習とか大阪に来たときにやろうか、と言っていたんですけど、IOWNがあれば1人が大阪でも全然参加できますし、交通費を節約してライブもこれでいいかなっていう(笑)。あと、お客さんもリモートで見てもらって、掛け声も返ってくるようになれば、生のライブ感が出ると思います」

また、2025年に開催される大阪・関西万博の話題も飛び出しました。

NTTグループと吉本興業はそれぞれパビリオンを出展する予定ですが、会場内でもオールフォトニクス・ネットワークが活用される計画とのこと。NTTの工藤晶子・新ビジネス推進室長は、吉本興業とのコラボは「乞うご期待」としながらも、「テクノロジーだけでは何も提供できませんので、吉本さんのおもしろいコンテンツ、ネタとコラボレーションして新しいエンターテインメントを披露できれば」と構想を明かしました。

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モニター越しの相方と漫才をする時代に!?

この日のお笑いライブを振り返って、多田は「リモートでネタもやってるけど、多少遅れがある。(今回も)最初はちゃんとできるのかな? と思っていたんですけど、タイムラグがないし、まったく違和感がなくできました」と語ります。善しも「別会場で、会場ごとに空気感が違ったと思うんですけど、その違いも楽しかったです」とすっかり感心した様子。

福徳も興味津々にこう語ります。

「僕ら、リモートネタは200本以上あるんですけど、偶然にも、リモートでいちばん最初にやったのが『国名分けっこ』で、当時のリモートバージョンと今日のバージョンが、どれくらい差があるのか見比べてみたいですね」

出典: FANY マガジン
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さらに福徳は、こんな“予言”も。

「これから新しいコンビが次々と入ってくると思いますが、これを使っていっさい画面から出てこない相方とコンビを組むというのも出てくるかも知れませんね。お互い生は見たことないような、すごく新しいコンビが現れるんではないかという期待感があります」

辻は「メンバーが6人いるので大丈夫かなと思ったけど、やってみたらその場にいる感じでできました。遠くにいても練習できるし、ライブもお客さんのコールアンドレスポンスもできるのかなとか、すごい時代になってきたなと思います」としみじみ語りました。

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