吉本新喜劇の間寛平GM(ゼネラルマネージャー)が、さまざまな挑戦の場として立ち上げた「吉本新喜劇セカンドシアター」(大阪・YES THEATER)。このステージで、新喜劇座員・平山昌雄の単独公演「チャンバラJAPAN」が6月4日(日)に開催されました。チャンバラトリオの最後の弟子であり、後継者でもある平山が、笑いあり、殺陣ありの見ごたえ満点のコントを披露した今回のステージ。当日の様子を、同じく座員で芸人ライターとしても活動する吉岡友見がレポートします。
殺陣は見事でもセリフは…
冒頭、場内に不穏な音楽が流れるシリアスな雰囲気のなか、幕前で辻斬り強盗が起こるシーンから始まります。迫力ある殺陣を繰り広げたのは、アクションチーム・森山企画の面々。
そんなピリリと引き締まったシーンから一転、幕が開くとお直(岡田直子)、おゆう(小林ゆう)が営むお茶屋を舞台としたコントが始まります。新名徹郎、多和田上人、永田良輔が登場し、多和田のコブダイイジりや永田の振り切ったキャラなどそれぞれの個性をいかしたネタで客席を沸かせました。
そこにタックルながい。が率いる辻斬り強盗の集団が登場。おゆうが襲われているところに本日の主役・平次郎(平山昌雄)が現れます。客席からは“待ってました”とばかりに大きな拍手! 平次郎は見事な殺陣で無事におゆうを救いますが、しゃべり出すと独特なテンポと間で共演者を困惑させ、新名がすかさずツッコんでいました。
おゆうは助けてくれたお礼として1冊の本を平次郎に手渡します。そこには西遊記の物語が描かれ、読み進めるうちに平次郎は夢の中へ……。
孫悟空が似合いすぎる吉田裕
舞台は転じて中国に。ゴダイゴの名曲「モンキー・マジック」が流れはじめ、新座長・吉田裕演じる孫悟空が登場します。孫悟空が似合いすぎる吉田に大きな拍手が起きると、三蔵法師の多和田、猪八戒の新名、沙悟浄の山本奈臣実が登場します。
そこに「目を覚ますと西遊記の世界に迷い込んでいた」と言う平次郎がやってくると、なぜか「座長になったことにより、調子に乗っているのではないか」と、吉田がお仕置きされる流れに。平次郎が吉田の代名詞でもある乳首ドリルを仕掛けますが、まったくうまくいかず、吉田は「お前、見たことないんかい!」とキレていました。
その後、同じくこの世界に迷い込んできた強盗のタックルや、村の若い娘をさらう妖怪(今別府直之)も登場。今別府の乳首ネタに対抗して、平次郎も独特な乳首ネタを披露します。
無事に娘を救出した一行は、お礼に村で酒や食べ物をご馳走になりますが、宴会で再び「座長になったことにより、調子にのっている」と吉田のお仕置きタイムに……。チャンバラトリオが生み出した歴史ある“ハリセンチョップ”を受けることになる吉田。見事、顔面に受けて、客席からは悲鳴のような歓声と大きな拍手が巻き起こりました。
その後、舞台は2023年の現代に移り、戦隊ヒーローショーの稽古場に迷い込んだり、またしてもタックルが迷い込んできたり、トランポリンを使った迫力あるアクションシーンで見せ場を作ったり――。
最後は、冒頭のお茶屋に戻り、本を読んだまま眠りに落ちた平次郎が目を覚まします。しかし、おゆうの姿はなく……そして、まさかの大オチに会場は笑いと拍手で幕を閉じました。
次の舞台はチャンバラ新喜劇!?
カーテンコールでは全出演者が登場。出演者の紹介を「自己紹介させていただきます」と言い間違える平山に総ツッコミが。そんな平山に、吉田は「新喜劇はみんなで助け合ってフォローし合っていくものやけど、平山さんのセリフの“一時停止”はなんとかしてほしい」と苦笑いしていました。
殺陣はキレキレなのに、セリフになると独特の間と言い回しに出演者が振り回される、平山の魅力(?)たっぷりのイベントでした。本人は「今回はコントでしたが、次回はチャンバラ新喜劇をしたい」と意欲を燃やしていましたが、みんなが巻き込まれる次の“平山ワールド”も楽しみです!