「劇場、賞レースに縛られず」…だけどライブは即完売! “シン・芸人”エレガント人生の進化を見よ

SNSで大人気の男女コンビ・エレガント人生(山井祥子、中込悠)の単独ライブ『菊、あじさい、ハイビスカス』が、8月11日(金・祝)に東京・ルミネtheよしもとで開催されます。コンビ結成4年目、そして2回目の単独ライブという異例の速さで、憧れのルミネでの開催を実現させた2人。「ライフワーク」と語る単独ライブへの思い、そして、この1年の変化についてじっくり話を聞きました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

YouTubeやTikTokなどSNSを主戦場に人気を集めているエレガント人生。キャラの宝庫である祥子と、クズ男からハイセンス系おばあちゃんまで変幻自在に演じる中込がつくり出すバラエティ豊かな動画で、YouTubeチャンネル登録者数は30万人を突破。昨年7月に開催した初の単独ライブ『薔薇色の人生』は、チケットが即完売、オンライン視聴数も異例の600人を超え、大好評で幕を閉じました。

それから約1年。今年も単独ライブの開催が決定しました。今回は2回目の単独にして、なんと東京芸人の憧れの劇場であるルミネtheよしもとが会場となります!

「特殊な芸人」に振り切った1年

――昨年の単独ライブはすごい人気ぶりでしたね。内容は、それぞれのコントが独立しているようでじつは複雑に絡み合っているという緻密に練られたものでした。

祥子 お客さんにTwitterで感想をもらったんですけど、本当に、見てくださった方からはすごく好評でした。

中込 「映画みたい」とか、作品として褒めてもらえることが多かった。そういうところを意識して作ったので、それはうれしかったですね。

――今年はルミネtheよしもとで開催されるんですね。

中込 昨年、単独ライブが終わったその日に「来年はルミネでやれたらいいな」という話をさせてもらっていたんです。なので、念願が叶ったという感じです。

祥子 マネージャーさんとか、まわりの方の協力がめちゃくちゃあって決まったことなので感謝しかないし、本当にできるとは思っていなかったので、すごくうれしいです。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――若手芸人の劇場などに所属せず、賞レースにも出場しない。そうしたスタンスでのルミネ単独は異例中の異例で、とても“今っぽい”なとも感じます。

中込 特殊でありたいとは、つねづね2人で話しています。ふつうのそういうルートを外れている以上は、変にスタンダードなルートに戻るのではなく、はずれ切って自分たち流の道をと思っていて。中途半端じゃなくて、振り切ろうと決めたおかげかなと思います。

祥子 その意思が2人とも強まってきている感じはあります。賞レースは私たちも好きだし、劇場で切磋琢磨している感じも美しいなと思うんですけど、だけど、そこで自分たちがブレてしまったらダメだねって。あれもこれもやって、やっぱりこっちでとなると、せっかく積み上げてきたものが崩れてしまうし。

中込 そういった意味での変化は、昨年よりも強まった気がしています。「同期芸人はどんな感じなのか」とか、もっと去年はまわりを気にしちゃっていましたが、今年はそこがもうバスっとなくなって、より集中して前を見られるようになりました。

タイトルの秘密はライブ後のお楽しみ

――単独ライブは経験済みということで、今年は少しリラックスしてできそうですか?

祥子 いやぁ~、そんなこともなくて……。

中込 やっぱり去年は初単独だし、ぜったい見たいと思ってもらえたかもしれないけど、今年もそういうふうに思ってもらえるのかなという不安はめちゃくちゃあります。しかも憧れのルミネだし。おかげさまで劇場のチケットは完売なんですけど、リラックスとかはなく、逆に今年のほうが、気が引き締まっているというか。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

祥子 日ごろから劇場でライブをやっている芸人であれば、自分たちにどれくらいお客さんがいて、イベントをやったらどのくらいお客さんが来るというのがなんとなくわかるんだと思うんです。けど私たち、主催ライブはほとんどやらないし、まったく見えてこないんです。

――昨年がおもしろかったからこそ、今年はさらにお客さんの期待値が上がっているということもありそうですしね。

祥子 去年は勝手がわからなすぎたので、本当に、とりあえずやってみることしかできなかったんですけど。今年はだいたいどういう感じかというのがわかっているだけに、「ぜったいに面白くしなきゃ! するぞ!」という気持ちが強くて、そういう気合いの炎が燃え上がっています(笑)。

中込 去年は、お客さんがどういうところで笑うかとか、未知数だったんですよね。お笑いのライブ自体が初めての、YouTubeをきっかけに入ってきてくれたお客さんが多くて、ふだんお笑いライブを見ているお客さんとは違うだろうなと思っていたから。
でも、今年はそういうところもなんとなくわかったうえで、そういう人も、お笑い好きの人も、みんなが満足できるような作り方ができるといいなと考えています。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――『菊、あじさい、ハイビスカス』というタイトルに込めた思いは?

祥子 あるにはあるんですけど、ちょっとまだ言えないというか。「こんな意図です」と言葉にしてしまうと、そういうふうに見なきゃとお客さんに思わせちゃうから。

中込 だから、見終わったときに「こういうことなのかな」と思ってもらえたらいいなと。

祥子 そうそう。単独を見終わったときに、タイトルをフライヤー込みで見返してみると、「あぁ~こんな感じなのかも」と思ってもらえるかなと。なので、フライヤーもぜひ取っておいてほしいです(笑)。

中込 フライヤーを担当したイラストレーターさんには先にコンセプトを伝えて、そのイメージで作ってもらったので。

中込 僕たち、お笑い大好きな人だけに見てほしいとかでもないんです。YouTubeを見てくれている人もそうだし、フライヤーがおしゃれだなとか、そういうフラっとした感じでも見に来てもらえたらすごくうれしいです。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――たしかに、エレガント人生のフライヤーはすごくおしゃれですよね。今年はグッズも出るそうですが、やはりオシャレ感のあるものになっているんですか?

中込 初めてグッズを作ったんですけど、そうなんです!

祥子 かわいくて身に着けられるものって感じで、いろいろ考えています。

中込 今年はグッズを想定して、フライヤーもかわいいイラストにして、それを生かした感じのグッズになっています。

祥子 最近、女の子のファンがすごく増えてきているんです。動画で一瞬映る私のネイルとか服とかを見てくれている方もいて、すごいんですよ!

中込 まさかね、そんな存在になるとは……(笑)。

祥子 ほんと、それ。数年前までは、ほんとにぼぉーっと生きていたのに。いま注目されているのがうれしくもあり、恥ずかしくもあり。でもとにかく、グッズはみなさんに喜んでもらえる気がします!

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

新キャラ「おばあちゃん」で幅が広がった

――中込さんはこの1年で何かを越えたというか、女装系の役などとてもハマっていますよね。

中込 僕、小5から白髪が生え始めて、ずっと若白髪が中途半端なのが悩みで。で、去年の単独が終わったあとに「1回やってみよう!」と思って、グレーというかシルバーにしてみたんです。そうしたら、新キャラで「おばあちゃん」ができるようになった(笑)。
去年までは「祥子を引き立てるための隣のふわふわした役」みたいなのが多かったんですけど、「おばあちゃん」とかやるようになったら、逆に「クズ男」とかもやれるようになって。ふり幅がかなり広がって、いろいろできるようになりました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

祥子 私はもうちょっと女装とかやってほしいんですけど、女装することにハマる男の芸人さんってけっこういっぱいいると思うけど、そのタイプではないみたいで。でも、(女役を)上手にやるからたいしたもんだなって思って見ていました。いろんなキャラを演じることに対しての楽しさはあるの?

中込 楽しさは明らかに前よりもあって、それはやっぱり横で祥子を見ているからだと思う。いまは男で何パターンもあるし、女も何パターンも生まれてきた。そっちのほうがやっぱり楽しいということに気がつきましたね。

祥子 幅を広げるという意味では、私は劇団とかの人と絡んでみたいし、芝居とかも出たいです。ほかの人が書いた脚本や演じてほしいキャラに応えるっていうことを経験したら、もうちょっと表現力とか上がるかなと思っていて。

中込 祥子はこれ、ずっと前から言っているんです。その願望、僕は組んだ当初はほとんどなかったんですけど、興味が湧いてきました。そういう経験をしたらもっと幅が広がりそうだなと。

祥子 お芝居に限らず、以前、(相席スタート)山添(寛)さんのライブ(2021年の『山添展示会』)に出たことがあって、それがすごく楽しかったんです!

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

中込 山添さんがいろんな芸人さんと一緒にコントをやるというライブで、そのひとつとして、山添さん×エレガント人生でやったんです。作家さんが書いた脚本で、違うところから「こういうのやってみて」と言われることで新しく見つかるものもあるんだなって思いました。

映画、マンガ、小説からインプット

――では、ふだんの生活で最近、興味があることは?

中込 僕は映画とか観るようになりました。むかしは映画って「これを観始めると、このあとぜったいに2時間経っている」というのがイヤであまり観なかったんですけど、自分がやっていることを考えると、観ておくほうが間違いないなと気がついて、観るようになりました。

祥子 私は最近、マンガを読んでいて、1980~90年代の山岸涼子さんや大島弓子さんの、家族とか人生とかをテーマにしたマンガにめちゃくちゃハマっています。20代前半のころは恋愛とかそういう作品ばかりに興味があったんですけど、いまはもっと人間の深い根っこの部分に興味があって。
今回の単独にもちょっとそういう感じのエッセンス、とまでいかないけれど、要素は入ってくるんじゃないかなと思っています。

中込 それで言うと、映画と同じぐらいに小説を読むようになりました。下北沢のヴィレッジヴァンガードで見かけた一木けいさんの『1ミリの後悔もない、はずがない』(新潮社)という本の帯に、椎名林檎さんが「私が50分の円盤や90分の舞台で描きたかった全てが入っている」と書かれていたんです。それに惹かれて読み始めたら、めちゃくちゃおもしろくて。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

あまりにおもしろかったので、一木さんの作品をすべて読んで、全部がすばらしくおもしろかったのでその気持ちを伝えたくてDMを送ったら、お返事をくださって! そういうところにまで届いているというのがうれしくて、マジで頑張ろうって思いました。

――映画や漫画、小説とさまざまなところからインプットがあったということで、アウトプットとして今年の単独ライブがますます楽しみです。

中込 去年の単独の段階ではまだそういうモードに入っていなかったので、たしかにもっと複雑なものを作れるような気がしています。

祥子 そうだよね。今回は私たちのことをある程度知っていて、去年の単独も見たという人が多くなると思うので、より複雑にしてもいいかなと思えます。だからこそ、ネタを作るのは大変になるかな。やりたいこともたくさんあるし。ある種、去年はストレートにやった感じだったんですけど、今年はもうちょっと複雑になるんじゃないかなと思います。

中込 自分たちのなかでのハードルも去年より上がっているしね。

祥子 うん、お客さんをより満足させたいよね。

中込 そうそう、満足させたい。そして、自分たちも満足だと思えるようにしたいから。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――では、最後にメッセージを。

中込 劇場はおそらく売れてしまっているんですけど、配信で見ても、見終わったときに絶対によかったなと思ってもらえるものを作ります。やっぱり僕たち、単独ライブに力を入れているし、ずっとやっていきたいと思っているので、“生き様”として見てほしいです。

祥子 「念願の」と言えばいいのか、ルミネでやらせてもらえるということで、この興奮を分かち合いたい。そして、私も単独ライブはずっとつなげていきたいので、その過程を皆で一緒に楽しんでいきたいです!

中込 来年は東京以外でもやれたらいいなと思っています。まずは今年の単独ライブをぜひ劇場でも、配信でも見ていただきたいです!


YouTube『エレガント人生チャンネル』はこちらから。

公演概要

エレガント人生単独ライブ『菊、あじさい、ハイビスカス』

日時:8月11日(金・祝)   開演19:30 終演21:00
場所:ルミネtheよしもと
チケット:前売3000円 当日3500円 配信1800円
※オンラインの見逃し視聴は8月13日(日)19:30まで(チケット販売は同日正午まで)。

FANYオンラインチケット(配信)はこちらから

「よしもとYouTubeフェス2023」公式サイトはこちらから。