東京大学工学部卒の“理系芸人”である藤本淳史が、埼玉県立春日部女子高等学校の生徒たちと一緒に産業技術総合研究所(産総研)内を巡るツアーに参加しました。国内最大級の研究機関で藤本と生徒たちはなにを学んだのでしょうか――。知的好奇心を刺激されまくるツアーの様子をリポートします!
特別なたまねぎを使ったカレーのお味は?
「埼玉県民の日」で高校が休みとなった11月14日(火)に行われたツアーには、春日部女子高の理化部、生物部、地球科学部に所属する15人の生徒が参加。部員たちは現在、社会課題を考えるきっかけになる動画を産総研と共同で制作しています。今回のツアーは、その動画制作に役立つ知識を吸収するために開催されました。
朝9時半に東武鉄道の春日部駅に集合した藤本と生徒たち。およそ1時間かけて茨城県つくば市にある産総研に向かいます。バスの中では藤本が芸人らしく生徒たちとコミュニケーションをとり、「理科の計算が苦手……」という生徒に、「大学(入学後)のある時期から計算機を使えるようになるから!」とアドバイスするなど、和気あいあいとした空気に。
到着後は産総研の食堂でランチタイム。「身体にいいこと」を産総研が科学的に分析したブランド赤たまねぎ「さらさらレッド」を使用したスープカレーなどを堪能します。藤本は「甘くておいしい!」と味にも大満足。産総研の研究者も参加して、食事をとりながら生徒たちと親睦を深めました。
「プルシアンブルー」の実験に「すごい!」
食事の後は、いよいよ産総研のラボ見学です。
最初に訪れたのは、見えないものを“見える化”するX線の研究施設。X線技術を応用すれば、配管などのインフラ構造物の点検が効率的に行えるようになり、安全な社会の実現に貢献できるという説明を受けます。
生徒たちは、小型化した「X線発生器」やバッテリー駆動の「配管検査ロボット」を見せてもらって心が躍った様子。理化部の1年生の生徒は、「子ども心がくすぐられました。あまり入れる施設ではないので、ワクワクが止まらないです」と目を輝かせます。
続いて、「プルシアンブルー」についての研究施設を訪問。プルシアンブルーとは、葛飾北斎の富岳三十六景やゴッホの絵画にも利用されてきた青色顔料のことです。近年、アンモニアや放射性セシウムの吸着材として注目されており、産総研ではこの顔料を利用した吸着技術の開発を進めています。
実際に、プルシアンブルーの効果でアンモニアの匂いをなくす実験が行われ、生徒たちや藤本は「すごい!」と驚きの声を上げました。
藤本「すごくいい経験だと思う」
そのほかにも、常設展示施設の「サイエンス・スクエア つくば」や「地質標本館」など、産総研のさまざまな場所をめぐってツアーは終了。貴重な体験を終えて、理化部の部長を務める生徒は、こう感想を語りました。
「来る前に学校でも予習をしていたんですけど、そのときはわからなかったことが、ここに来て実際に実験を見たり、施設を見たりしたら、すぐに理解することができました。いま科学の力で解決に向かっていることがわかって、すごいなと思いました」
同行した藤本も、最新の研究技術に触れて大満足の様子で、「僕は高校時代にこういうツアーに参加したことがなかったですけど、すごくいい経験だと思う。またこういうツアーがあれば、別の学校のも参加したいです」と笑顔で語りました。