千原ジュニアが、あらゆるジャンルで活躍するアカデミックな人々にインタビューし、聞き出したエピソードを番組内で披露するポッドキャスト番組「取材・千原 話手・ジュニア」の配信が、3月11日(月)からAmazonオーディブルで始まりました。ジュニアの話術が存分に楽しめるこの番組について、FANYマガジンはジュニア本人と、アシスタントとして番組に出演する好井まさおの2人にインタビュー。収録の感想や、「話す」ことや「聞く」ことへの考え方を聞きました。
ふだんの生活圏に入っていない人たち
――3月11日(月)に配信された『取材・千原 話手・ジュニア』の初回は、関西学院大学でアメリカンフットボール部の監督を長く務めた鳥内秀晃氏に聞いた「怒らない指導法」について。18日(月)に配信された2回目では、ロボットクリエーターの高橋智隆氏に聞いた「ロボットの次なる可能性」について。それぞれ、ジュニアさんならではの独自の角度で語られていました。いままで、こうした方々と話す機会は多かったのでしょうか。
ジュニア いや、まったくないですね。
――いろいろなジャンルで活躍されている人の話を聞くことについて、どんな感想を抱いていますか?
ジュニア やっぱり知らない人、ふだんの僕の生活圏内には入っていない方にお話を聞けるのは面白いです。もちろん、こういうところで声をかけさせてもらう方は、なにか人と違うすごい部分があるので、余計に楽しいですね。
――番組では、ジュニアさんが聞き出してきた話を、今度はアシスタントの好井さんが聞き手として引き出していますね。
好井 僕が質問をする役目なんですけど、ジュニアさんの話はもうできあがっているんで、緊張します。すでに話したことをもう1回、質問しちゃうみたいなことにならないように気をつけていますね。
――ジュニアさんは、好井さんを聞き手に話すことについては、どう感じていますか?
ジュニア それはもう、めちゃめちゃ話しやすいですよ。
好井 そう言っていただけると、ほんまにうれしいです。実はこのポッドキャストは、僕がコンビ(井下好井)を解散したあとに、ジュニアさんのYouTubeチャンネルに出て、「ラジオやりたいんです」と言ったのがきっかけとなって、呼んでいただいたんです。僕はNSC(吉本総合芸能学院)の履歴書にも「千原兄弟に憧れて入りました」と書いたくらいの人間なので、この番組に出られることは夢心地ですね。
――初回の放送では、好井さんも話し手としてのスイッチが入り、ジュニアさんに負けず劣らずエピソードトークをたくさん話している印象でした。
好井 いや僕はもう、おまけぐらいの感じですけど(笑)。ジュニアさんと話をさせてもらえる機会なんてそうないんで、できるだけ聞いてほしいことを話すようにしています。
ジュニア いや、ほんまにもうね、好井のしゃべりはめちゃくちゃオモロイし、聞きやすいんで。だから、好井の話が聞きたくて聞く人たちもたくさんいるでしょうね。
取材中は「とにかく聞くことに一生懸命」
――「聞く」ということと「話す」ということについて、それぞれの考えを伺いたいのですが、ジュニアさんはインタビューをする際になにか意識していることはありますか。
ジュニア いちばん気をつけているというか、大前提としてあるのは、インタビューを受けていただいた方が「取材を受けてよかったな」と思ってもらえるようにすることですね。それ以外は、あまり意識的にしていることはないです。とにかく自分が興味のあること、自然と浮かぶ質問をするようにしていて、無意識ですね。
――「番組でどう話そうかな」と考えながら、話を聞くんですか?
ジュニア 話すときのことも考えないですね。とにかく聞くことに一生懸命です。
――聞く際は、とにかく相手の言葉に集中しているんですね。好井さんは、相手の話を聞くときに気をつけていることはありますか。
好井 僕がジュニアさんと話していて感じるのは、あまり否定された覚えがないんですね。聞いているときに「いや……」とか、「でも……」と言う人もいるんですけど、ジュニアさんはひとまず肯定して、その流れで話を膨らませるので面白い。否定しないほうが話は広がるんだな、というのは感じるので、僕もそうなれたらと思っています。
話術を支えるジュニアの「メモ」の中身
――今度は、「話す」ときに意識していることも教えてください。毎回30~40分ほどのインタビューを5分ほどにまとめているとのことですが、構成はどのように考えるのでしょうか。
ジュニア 構成を考えるのは、収録の直前ですね。1日に何本か撮るんですけど、最初の収録の前にその回のテーマについて何を話すかまとめて、終わったら、次の収録の前にまた次の話をまとめて、という感じです。
好井 いや、構成が本当にスゴいんですよね。話が面白いだけじゃなくて、最後にばちんと決まるんですよ。起承転結ができているとかそんなのは当たり前ですけど、最後に話のいちばん気持ちいいところでバンって終わるんで、「スゴ!」ってなりますね。ジュニアさんの手元にはメモがあるんですけど、そこにはどんなことが書いてあるのか、いつもチラ見したくなります。
――そのメモにはどんなことが書いてあるんですか?
ジュニア まあキーワードですよね。取材時の話で、なにを太字にするべきか、それをどの順番でしゃべるのがいちばん聞きやすいかを考えて書いています。あとは、絶対に間違ってはいけない固有名詞とか数字とかもしっかり書いておくという感じですね。
好井 書いてある順番通りに話しているんですか?
ジュニア 順番通りです。まあ取材のときから、ほぼほぼ時系列で、いまに向かって話を聞くので、そのときから変えていないですね。
聞いている人が想像しやすいように
――読者の中には人前で話をするのが苦手な人もいると思いますが、面白い話をするのに大切なことは何だと思いますか?
ジュニア どうなんでしょうね。話が苦手でも印象がいい人はいると思いますし、難しいですけど……。でも、「優しさ」じゃないですかね。人に対する。
――「優しさ」ですか。
ジュニア このワードはわかりにくいから、こっちにしようとか。これはもうちょっと丁寧に説明しておいたほうがいいなとか。そういうことのような気がします。
――言語化能力とか、そういうものではなく?
ジュニア たとえば、「ラーメン屋に行ったら、隣に座っていたお客さんと店主がケンカをし始めた」という話をするときに、年齢も性別も伝えないまましゃべるよりも、「50ぐらいのおっさんが、80ぐらいのおっさん店主とケンカして」と言ったほうが、映像が浮かぶ。それは何かといったら、聞いている人が想像しやすいようにする「優しさ」じゃないかなと。
――確かに、そのほうが絶対に感情移入できますね。
ジュニア ねえ。
――好井さんにも伺いますが、面白い話をするのに大切なことは何だと思いますか?
好井 「優しさ」のあとには無理ですよ! 順番変えてください。
一同 (笑)
好井 でも大切なのは、情景を頭に浮かべてしゃべるということじゃないですかね。あと、主語は言わんでもいいときでも、入れるように僕はしています。なんのこっちゃわからなくならないように、「丁寧に話す」というのは大切だと思いますね。
ジュニアの語りで「名場面集」が聞けるぜいたくさ
――そんなおふたりの話術がつまった番組が、改めて楽しみになりました。いま何話ぐらいまで収録が終わっているんですか?
好井 7、8話ぐらいですね。
――好井さんはジュニアさんと話すのは緊張すると言ってましたが、その緊張はどんどん解けてきていますか?
好井 いや解けないですよ(笑)。めっちゃ硬いですけど、本当に徐々に解けるように努力しています。
――配信は始まったばかりですが、今後の番組の展望について、なにか考えていることはありますか?
ジュニア どうなんでしょう。聞かれている方の声も、これからもちろん届いてくると思うので、多少の微調整はあるかもしれないですけど、番組ってそういうものですからね。いまのところはどうなるかわからないけど、柔軟にできたらという感じですね。
――それでは最後にファニマガの読者に向けて、番組のアピールをお願いします。
ジュニア おそらく、ふだんの生活圏内からは非常に遠い方のお話を、ぜいたくに削いで、削いで、メインどころだけをお出しするという番組です。『徹子の部屋』をギュッと5分にしたみたいな、そんな感じで楽しんでいただけたら(笑)。短い時間にお手軽に、内容としては非常にボリューミーなものを聞いていただけるんじゃないかと思います。
好井 取材相手の現時点の人生のハイライト、名場面集をジュニアさんの語りで聞ける、音声メディアとして本当にぜいたくな番組です。僕は芸人をしていなかったとしても、絶対に聞いていたやろうなと思います。そんな番組のアシスタントとして横にいさせていただいて、本当に名誉なことなので、ぜひ聞いていただきたいです!
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